土偶をつくる  第3回

粘土を掘る

 

めるし
(第9、10号で「北千住大喜利ハウス」執筆)
 
 
 
 土偶は粘土から作られる。
 土偶師匠・三上社長から購入した粘土を分けてもいいと言われていたが、せっかく土偶を作るなら、なるべく縄文時代と同じやり方で作って、縄文のこころを感じたい。
 そこで地元の博物館に行き、自然の粘土が採れそうな場所を尋ねてみた。しかし、この辺り一帯は火山灰地。粘土を見つけるのは困難だそうだ。
 それでもなんとか、もしかしたら粘土に近い土があるかもしれない、という場所を二か所、学芸員さんから教えてもらった。
 
 一つ目の場所は、地元を流れる川の傍らにある三日月湖。この沿岸に堆積した土が、もしかしたら粘土に近いかもしれないとのこと。
 スコップとバケツを携え、三日月湖にやって来た。はたしてここで粘土は採れるのか。
 

 

 
 
 水が見える。これが湖なのだろう。
 さて、土が採れそうな場所を探してみるが、湖の淵ぎりぎりまで植物が生い茂っており、そこからすとんと水になっている。河原のようになっている場所はないかと、湖の周囲を探してみたが、そのようなところは見つからなかった。
 それでも水際に近い地面を掘り、土を手にとってみる。
 

 
 ぱらぱらしている。
 しっとりしているけど、ねちねちはしていない。腐葉土というやつなのだろう。
 三日月湖の周りでは、粘土は見つからなさそうだ。
 
 やはり、この辺りで粘土は採れないのか。
 なるべく縄文時代と同じやり方で作ってみたいと思ったが、おとなしく三上社長から粘土を分けてもらった方がいいのかもしれない。自然と目に三上社長の顔が浮かぶ。
 

 
 三上社長の面影とともに、私は博物館で教わったもう一つの場所へ向かった。
 
 二つ目の場所は、空港の付近だという。そこで工事が行われており、地層が露出しているとのこと。
 その場所はあっさり見つかった。
 

 
 聞いていた通り、地層が露出している。工事会社の人に、博物館で聞いた旨、説明する。
 はたして、今度こそ粘土はあるのか。
 一番下の層の土を手にとってみる。
 

 
 ねちねち・・・していない。
 別の層の土をとってみる。
 

 
 ねちねち、していない。さっきの土よりしていない。
 もしかしたら、粘土というのはこんなものなのだろうか?いや、これでは形を作れなさそうだ。だから粘土ではないだろう。そもそも、粘土とはなんだ。地質学の知識の無い私にとって、粘土かどうかはねちねちしているか否かである。が、よく、わからなくなってきた。
 
 ともかく、ここにも土偶を作れそうな粘土は、無い。
 失意の私は、粘土の意味崩壊を起こした頭を垂れ、再び眼前に三上社長の顔をちらつかせながら、地層の崖の上へと、とぼとぼ歩いていった。
 すると、私の前に縞模様が現れた。
 

 
 今まで見ていた地層の上にも、まだ地層があったのである。
 それにしても、なんてきれいな層構造。一番下の層の土を手にとってみた。
 

 
 ・・・ねちねちしている。
 やったー、これこそ求めていたねちねちだ。
 さあ、採掘だ。
 自然のでっかいミルフィーユをスコップでいただく。
 
 ところで、縄文人は土器や土偶の材料となる粘土を、このように地層が露出している場所から採掘していたそうです。
 

 
 
 粘土をバケツ2杯分採って、ほくほく顔で帰路についた私は、もう三上社長の幻覚を見なくてもよかった。
 

 
 

 次回、採ってきた粘土をそのまま使えるかというと、そういうわけではないのだぐう。
 
 
 
 
-ヒビレポ 2014年1月21日号-

Share on Facebook

タグ: Written by