イメージの詩 第38回

クラブ・ド・トキオ

 
 
えのきどいちろう
(第12号で「山田うどんの青春性、そして僕の非・青春性」を執筆)
 
 
 
 で、のんびり『やるMAN』やって、帰りに四谷の文鳥堂書店(日ハムファンのナカジマが店長だった)で取り寄せてもらった文庫版の『ドカベン』を1巻ずつ買ってた生活が一変する。JーWAVEから「土曜の番組やんない?」とオファーをもらう。『クラブ・ド・トキオ』という既存の番組のリニューアルらしかった。もちろんタイトル通りクラブ系の音楽番組だ。

 確かこの最初の打ち合わせに遅刻したんだよな。もうめっちゃ先方を待たせちゃって恐縮だった。打ち合わせとしては戦わずして負けている。すんごいヘコヘコして、あ、もう、何でもやらせてもらいます、マジすいません。まぁ、僕らの仕事は「現実的な制約のなかでベストを尽くす」だから、リニューアルという条件のなかで何ができるか検討に入る。
 

 

 集まったのはJーWAVEのプロデューサー・斎藤茂さん、フリーディレクター・ピストン西沢さん、放送作家のナイトーさん等々。打ち合わせしてるうちに何かスイッチ入っちゃって、最初の顔合わせなのにネタ出ししたんだね。で、特にピストン西沢が面白がってくれた。西沢さんは今、JーWAVEやなんかでパーソナリティーになってる人。当時は裏方だった。どうもこの番組が転機になったらしいよ。

 ナイトーさんはなかなか素晴らしい作家だった。僕の出すネタをバッチリふくらませてくれる。直電スタイルのDJトーク番組をやることになる。アメリカなんかでよくあるスタイルだね。テーマを振って、ネタを受け付けて、面白そうな人にこっちから電話をつなぐ。で、画期的だったのは西沢さんだ。この人は手が早いんだね。直電つなぐ生番組でコワいのは、リスナーが何言い出すかわかんないところ。政治的なプロパガンダかもわかんないし、あるいは放送禁止用語かもしれない。

 だからこの番組はオープニングとエンディングだけ、メインのスタジオで相方の桑田真紀さんといっしょにしゃべって、あとは別スタジオで電話トークを「収録」してたんだ。電話つないでそれをテープに録って、西沢さんがざっくり編集して、それを次々オンエアする。このメンバーが揃ってなかったら実現しなかった番組だね。

 僕がFMでやった仕事ではいちばん面白かったと思う。「狭いツボでも出力上げれば皆、なぎ倒せる」を実行に移した。気に入ってた企画は「デニーWHO?」(デニーズのデニーってどんなキャラか誰も知らないでしょ。でっちあげの目撃談を寄せてもらう)、「どう斎藤、どう?」(ありふれた名字、斎藤。あなたのまわりにも斎藤くらいいるでしょ。今日はJーWAVEに斎藤情報を集めたい)なんかだな。

 当時はJーWAVEとしては異色の番組だったんだけど、その後、ピストン西沢の「グルーヴライン」につながっていくことでひとつの潮流はつくったと思う。他には渡辺祐さんね、「ラジオドーナツ」やってる。タスクさんは僕がJーWAVEに紹介したんだよ。

 
 
 
似顔イラスト/日高トモキチ
 
 
 
-ヒビレポ 2014年2月10日号-

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