土偶をつくる  第7回

土偶を形つくる〜じれったい篇

 

めるし
(イラストも)
(第9、10号で「北千住大喜利ハウス」執筆)
 
 
 
 
 いよいよ今回から土偶の形を作っていく。ふう、意外とここまで長かった。
 ハート形土偶のレプリカ、地元出土土偶のレプリカ、オリジナル土偶、この3つを作る。
 レプリカの土偶については、実物の写真を見ながら形を作っていく。実物大の1.15倍の大きさで作る。これは、粘土は乾燥と焼成の際に縮んでしまうからだ。土偶師匠・三上社長から教わったことだ。
 
(これは地元出土土偶のレプリカを作っているところです)
 
 実際に作り始めてみてわかったこと、それは、土偶作りには「待ち」が必要だ。そして「こつぶっこ」も必要だ。
 ただひたすら形づくっていけばいいのではない。「乾燥待ち」という過程が土偶作りの要であった。縄文人は、完成までに至る過程を頭の中でイメージし、現代のサラリーマン顔負けのタイムマネジメントをしていたのかもしれない。
 

 

 先の写真の地元土偶、これは平面的な形をしているので、作るのは比較的楽であった。台に寝かせたまま形を整えたら、それでよい。しかし、ハート形土偶のような立体的な土偶、これの造形には、ほんと難儀した。
 3次元的な形をいきなり粘土で成形すると、まだ乾燥していない粘土が重力にひっぱられるので、まるで春が遠くないことを感じる日の雪だるまのような、でろでろゾンビな土偶になってしまうのだ。
 

 
 そこでどうしたものか。私は考えた。まず、土偶の体幹の芯となるようものものをつくるのだ。この芯を数日乾燥させて硬くなったら、そこに柔らかい粘土で肉付けていく。
 

 
 立体的な土偶をX線写真で撮ると、芯のようなものが写っているそうなので、おそらく縄文時代でもこの方法で作られたのだと思う。

 こうして体の形はつくり上げていった。
 次に、体の表面に文様をほどこしていく。
 ここで、「乾燥待ち」の連続が待ち構えていた。
 

 

 
 誰にでも経験があると思うのだが、土偶に限らず、何かを作るときって、やっているうちにだんだんと気分が乗ってくるものだ。しかし、土偶作りは、その気になったところで、乾燥のために「待て」をくらう。乾燥を待って再開をして、また気分が乗ってきたところで、また「待て」をくらう。この繰り返し。これはいわゆる焦らしプレイというやつではないか。縄といい焦らしプレイといい、土偶作りはもしかしたらSM愛好者の方々に向いているのかもしれない。
 私はあまりそういう性癖が無いようで、気分にまかせて一気につくれないと、もう、じりじりしてしまう。ああじれったい、じれったい。土偶作りを通して、これがいちばん辛かったことかもしれない。じりじりとしながらこつぶっこを噛み砕く。こつぶっこからグリーンピースが無くなっていたことにもいらいらしてしまう。
 
 そんな思いをしながらも、やっとのこと、なんとか形を作り上げた。
 

 
 しかし、ちょっと動かしたところでこのように、
 

 
 ばっきーん、といかれてしまった。
 

 
 ばっきーん。ばっきーん。
 ばっきーんとなってしまったら、折れた部分に粘土を塗って接続する。塗った粘土が乾燥するのを、こつぶっことかっぱえびせんを食べながら待つ。粘土がほどよく乾燥したら、成形のやり直しと文様のつけ直しだ。また乾燥待ち&こつぶっこの繰り返しである。ぐう。
 
 次回も、引き続き土偶の形作りですぐう。

 
 
 
 

-ヒビレポ 2014年2月18日号-

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