土偶をつくる  第10回

土偶を焼く

 

めるし
(イラストも)
(第9、10号で「北千住大喜利ハウス」執筆)
 
 
 
 
「消防に電話してください」
 土偶を焼ける場所がない。
 縄文時代は何処でも焚き火し放題、それどころか焚き火が出来ないと生活成り立たない。土偶も焼き放題だったのだろうけど、平成の世では、焚き火は自治体の条例で禁止されている。
 市役所に電話し、市内で焚き火が出来る場所を訊いてみたが、公園でも市営キャンプ場でも禁止とのこと。それなら浜はどうか。海があるのでその砂浜では、どう。海水ですぐ火を消せるよ。そう思い市役所職員に尋ねてみたら、返ってきたのが、冒頭のセリフである。そりゃあ立場的にそう答えなきゃいけないんだろうけど。これで私が言われた通りに消防本部に電話したら、(それくらい勝手にやれよ)と思われそう。しかも「土偶を焼きたい」とか、「面倒くさい人」だ。
めるし「平成の世は、世知辛いねぇ・・・」
土偶「・・・」
 私はこの頃もっぱら土偶を話し相手にしていた。私が何を言っても、土偶は「ぐう」と肯定してくれる。しかしこの時は返事が返ってこなかった。前回、首がもげたからだ。頭部が無い土偶は返事が出来なかった。
 

 

 首無しになった土偶を含め、乾燥した土偶を3体持って、私は民間のキャンプ場に来た。
 民間のキャンプ場なら「焚き火台」を使用すれば焚き火をしてもよいらしいことがわかったからだ。家に「焚き火台」なる物は無かったが、バーベキューコンロならあった。焚き火台の代わりにバーベキューコンロの中で焚き火をするのでもOKとのことなので、バーベキューコンロの中に、薪を入れていく。
 なるべく縄文時代と同じやり方、野焼きをして焼きたいと思うのだが、条例で禁止されていては仕方がない。
 

 
 本焼きの前に、土偶を直火に当てずに、30分くらいあたためる。急に高温の中に入れると割れる事があるらしい。
 頭部が破損したハート形土偶だが、とりあえず残った体を焼いて、頭部は後から作り直すこととした。成形中に折れた箇所が、接着したけれどやはり脆いのか、また離れてしまった。
 土偶が網の上で炙られ、体の表面が焦げていく。ここがキャンプ場でなく、牛角であるような気分になる。
 
 引いて写真を撮ると、こう。
 

 
 北海道。この日の最高気温は0度。
 キャンプ場に私の他の客は1人もいない。そうだよね。こんな日にキャンプしたら凍死するよね。

 土偶があたたまった。次は本焼き。薪をぼうぼう燃やし、その中で焼く。
 

 

 
 こうして30分くらい焼いて、火がおさまってきたら、土偶を取り出す。
 土偶を取り出したら、地面の上にでも置いといて、自然と冷えるのを待てばいいらしい。だけど地面、雪で覆われている。冷却、急すぎじゃないか。しかし他に置ける場所もない。雪の上に熱々土偶を置く。じゅっという音がし、土偶に接した部分の雪が溶け、ずぶずぶと置いた土偶が沈んでいく。土偶の形に雪が溶けて、青い芝生が見えた。そこだけ春が来たよう。土偶型の春が。

 次回は、いよいよ完成した土偶をお披露目しますぐう。

 
 
 
おまけ
 
焼き芋もできたよ。土偶風味。
便秘がちの妹も「美味しい美味しい」と言って繊維質を摂っておりました。
 

Cpicon 焼き芋★土偶味 by め_る_し

 
 
 
 

-ヒビレポ 2014年3月11日号-

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