今朝はボニー・バック 第38回

ブルーカラー派作家から無頼派作家へ

ボニー・アイドル
(第11号で「原稿料よりバイト料が多くても、ぼくは断然ライターだ!」執筆)

 
 
 
ぼくも出演させてもらった、昨年10月29日収録のレポTV「刺繍入りドカジャンを作りたい!」はすでにご覧いただいただろうか。この回はタイトルどおり、北尾トロさん、えのきどいちろうさんと共にドカジャンの魅力について語り合う内容になった。
お二人がドカジャンにまつわる思い出やドカジャンの胸部にどんな刺繍を入れたらいいか議論している中、ぼくが一言口を挟んだ場面がある。
「そういえば、ドカジャンとランチジャーってすげえ相性が良いですよね」
この言葉に「弁当嫌い」のトロさんはもちろん、えのきどさんも興味を示すことはなく、「そうだよね」とだけ返答。それ以上話が広がることはなかった。
しかし、ドカジャンとランチジャーの相性が良いのは紛れもない事実である。

これまでぼくはこの「ヒビレポ」の連載中に、第3回「ランチジャーの逆襲①」第4回「ランチジャーの逆襲②」第5回「ランチジャーの逆襲③」第20回「ランチジャー、再び」と4回にわたってランチジャーの魅力を紹介するキャンペーンを行ってきた。メーカーから白米の下にびっしり現ナマが敷き詰められたランチジャーをもらったわけでもないのにだ。
ここまでぼくがランチジャーを推す理由についてはこれまでの連載を読んでいただけるとわかると思うが、一言でいうと「男らしさ」である。
昨今流行った「弁当男子」がモテ目当てで作っているチマチマした弁当なんか一蹴するような外見の迫力と男たちの鉄の胃袋をも満たす大容量の容器。
つまり、ランチジャーはインターネットによって便利になった現代で急速に失われつつ「現場感」に溢れているのである。現場で働く男たちのユニフォームであるドカジャンと相性がいいのは当然。「ランチジャーにドカジャン」は、「キース・リチャーズにテレキャス」に匹敵するコーディネートといっても過言ではないだろう。
 

 

ランチジャーは1964年に大阪のグロリア社が開発してから、今年で50周年を迎える。つまり、去年が「あまちゃん」の「じぇじぇ!」なら、今年はランチジャーwithドカジャンの「じゃじゃ!」の年。ぼくとしては、この節目の年をどんな形にせよ自分なりに祝って、ランチジャーを推す「ブルーカラー派作家」の看板を下ろしたいと思っている。いつまでも一つのことに固執しているわけにはいかないからだ。
そしてブルーカラー派作家の次にぼくが掲げる看板はもう決まっている。「無頼派作家」である。

物書きを目指した者なら一度は憧れたであろう、無頼派作家。日本の文壇では坂口安吾、太宰治、織田作之助らがその先達として知られている。野坂昭如、色川武大、中上健次、中島らも、伊集院静、西村賢太らもその範疇に入るだろうか。
読書量が少ないもんでどんな作風が無頼派なのかはわからないが、イメージだけいうと、「作家版横山やすし」。オノレの芸のためでも芸のためじゃなくても、女はもちろん、周囲の人すべてを泣かす。知り合いにしてみたら厄ネタ以外の何者でもないが、欲望に忠実な身の処し方は究極の「人間だもの」的生きかたともいえる。

ただ、無頼派作家に憧れているといっても人に迷惑をかけるのは気が進まない。ただでさえ友達が少ないぼくである。案外、気も小さいし。実社会では飲み屋で空気を読まない発言するぐらいで止めておいた方がいい。
しかし、小学生の頃、ほうきをギターに見立ててロックスター気分に浸れたように、アイテムを持つことで「その気」になることはできる。
ここからが今回の本題なのだが、ぼくが考える無頼派作家変身アイテムとは、「スキットル」である。

スキットル。別名フラスコボトル、ヒップフラスコ、ウィスキーボトルとも呼ばれている。
イマイチ、ピンと来ていない人に説明すると、よく昔の外国映画とかにくたびれた中年男がスーツの中から文庫本サイズの鉄製の小瓶を出すシーンあるじゃないスか。小瓶のフタをコップにして、中に入っているウィスキーかなんかをクイっとこう飲みますよね。あの小瓶がスキットルです。
これまで見た映画の影響からか、ぼくの頭の中には「大人の嗜好品→スキットル→無頼派」という方程式ができあがってしまっている。
それに、無頼派作家にスキットルはよく「映える」のである。例えば、太宰治や野坂昭如の文机に上にスキットルが転がっているところを想像してほしい。どうです、無頼派という雰囲気が増すでしょう。先ほど挙げた作家以外にも、北方謙三や浅田次郎辺りは膨大な数のスキットルを保有しているのではと睨んでいる。

スキットルの一本や二本持っていないで何が無頼派作家か、ということでスキットルを求めて大丸や東急ハンズに繰り出したのだけど、高けぇ!
2千円台の商品もあることはあるが、安いのはどれもステンレス製だ。前調べによると、ステンレス製はサビにくいが鉄の臭いが鼻について酒の味が落ちてしまうという。もう一段ランクが上の錫(スズ)が主体のピューター製は8千円〜。柔らかい合金なので潰れてしまうこともあるらしい。
アイテムにハマれるかどうかは、最初に買った商品の出来にかかっている。やはり、ここはどうしても耐食性と強度に優れたチタン製が欲しい。ただし、銀製ほどではないにしろ、1万2千円〜とかなりの高額商品。ボブ・ディラン来日公演のチケットを買ったばかりなので、今の懐事情は厳しい。購入するのは確定申告の還付金が入ってからにしよう。
4月中には無頼派作家に転身したぼくの姿をお目にかけられると思う。

 
 
 
-ヒビレポ 2014年3月19日号-

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