ちょっとプアンなタイ散歩 〜新婚旅行編〜 最終回


ふたりの背中(完)

吉野 歩
(第13号で「選挙事務所に混じる」執筆)
 
 
 
 タイの人たちって、新婚旅行どこに行くのだろう? ちょっと聞いてみたら、あんなにきれいな海をたくさん持っているのに、やっぱり外国の島に憧れるらしい。あと人気なのは、ヨーロッパ、韓国、日本だって。
 タイ人のカップルなんて見たことないけどなぁ。きっと京都とか、(あっちでは見られない)雪の降る地方とかでイチャイチャしてるんだろう。

 で、この男はどうか? 深夜のスワンナプーム空港で、相方はボソリと言ったのだ。
 「タイ、いいんじゃない。また来てもいいよ」。
 ふふふ、ついにやりましたよ。彼は常に上から目線の「高飛車病」に犯されているため、“是非○○したいです”という気持ちが、口から出る際に“○○してやってもいい”に変換されてしまうのだ。本当はすんごく楽しかったくせに。
 素直じゃないなぁという言葉をグッと呑み込み「ありがとう」と頭を下げる。まぁ、この国を気に入ってくれたのだから良しとしようじゃないか。
 

 

 帰国後、相方のタイ熱には眼を見張るものがあった。勤務先でバンコクの素晴らしさを語り回り、「チェンマイ地方の貴族女性と結婚した兄」を持つという逸材を社内から見つけてきた。逸材くんは、「夏には豪邸に一緒に行きましょう。話つけときますんで」などと持ちかけてきたそうだ。貴族が何たるものか分からんが、すごそうだぞ。空港についたら、本気でレッドカーペットの迎えが来るらしい。
 次に行くときは、ヌイの結婚式か貴族の豪邸訪問だろう。どっちが先になってもいいし、同時にやってきたら777の大フィーバーだ。我々は晩酌の度にその話題を持ち出し、念のため夏休みの予定まで押さえ、今か今かと心待ちにしていたのだった。

 なーんて、ちょっといい話でまとめたかったのに。

 おとといヌイに連絡取ったら、例の恋人・タイ版いちろう(第10回参照)に浮気発覚! 僧侶をやめて実家に戻ったところで、別の女性とイイ仲になってしまったらしい。けっ、エロ坊主め。別れは濃厚であるとの報告を受けたため、彼女の結婚式は当分延期だろう。
 「チェンマイ地方の貴族と結婚した兄」を持つ逸材も、面倒くさくなったのか、豪邸訪問の計画は一向に進まない。のらりくらりとしたまま数カ月。立ち消えの匂いがプンプン漂っている。 
 なんだか腰砕けな結末だ。しかし、このグズグズで締りのない感じもタイっぽいと言えばタイっぽい。何事も気の向くままです。計画しない、がんばらない、マイペンライ。
 
 それでは皆さん、またどこかでお会いしましょう。コップンカー。

 
 
 
-ヒビレポ 2014年3月27日号-

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