旧宅探訪  最終回

無駄の象徴が江古田で借りていた音楽部屋

 
下関マグロ(第14号で「僕の八〇年代エロ本仕事」を執筆)
 
 
 
 
 

僕が住んでいたアパートを北尾トロとともにめぐるというこの企画も最終回。実はその後も転宅を繰り返すのだけれど、とりあえず今シリーズは前回の「ハイコーポ明大前」で終了。

最後にどうして行ってみたい場所があった。それは江古田。ここで一時、僕と北尾トロと岡本くんの3人共同で借りていた部屋がある。楽器を置き、マルチトラッカーやリズムマシンを置いて、曲を作ったりする場所として借りていた。時代は80年代の後半ころかな。「若気の至り」という言葉があるが、ここ江古田に部屋を借りたのもそのひとつだ。まったく無意味だったからだ。

部屋を借りる経緯はすっかり忘れていた。場所もよく覚えていない。江古田駅から南に歩いたのだが、おおよその場所しかわからない。今回、北尾トロとここを歩いてみて、かすかにその経緯を思い出した。
 

 

タナベビルでバンドの練習をしていたとき、上の階の住人に「静かにしてくれ」と言われたことがきっかけだった。それで、楽器演奏も可能な部屋をさがした。

最初は音大のある国立で探したのだがなくて、誰かが日芸がある江古田にそういう物件が多くあるというのを聞いて、3人で部屋を見に行った。たぶん最初に紹介された部屋で即決したのではないだろうか。防音ならなんでもよかったのだ。
 
 

 
 
今は大江戸線があるので、江古田へは行きやすくなったけれど、当時は、荻窪から中央線で新宿、山手線で池袋まで行き、そこから西武池袋線に乗って江古田まで行った。もしくは、荻窪から中野まで行き、中野から江古田へのバスが出ていた。いつも中央線に乗って、中野で降りてバスにするか、池袋経由で行くか迷った。バスはこないときはなかなか来なかったからだ。しかし、連絡が良ければこちらのバスのほうが圧倒的に早かった。

そんな通いづらい江古田だったが、借りた部屋には岡本くんが買ったばかりのマルチトラッカーという録音機材がここに置かれていた。これにギターやドラムマシンの音を重ね録りができた。が、僕はまったく録音機材が使いこなせず、せっかく江古田へ出かけても、部屋でゴロゴロしたり、駅前のパチンコ屋へ行ったりしていた。

「洋庖丁へよく行ってたよね」と北尾トロが当時のことを思い出して言った。おお、あったあった、洋包丁ね。「野菜炒めの上に生卵が乗っててね、独特の味付けで、ご飯に合うんだよね」となぜか熱く語る北尾トロ。残念ながら、洋包丁はいま江古田にはない。そういえば「トキ」という昔ながらの喫茶店も今はもうない。駅前にマクドナルドがあったが、そこはいま更地になっていて、またマクドナルドができるようだ。

この日、歩いて、南長崎方面。トキワ荘の前にあった松葉へ行くも、お休み。そのまま山手通りを歩いて東中野。大盛軒で鉄板麺。これこれ。洋包丁ではないけど、ここの鉄板麺もうまいんだよなぁ。 今回は僕の撮影した動画も!

 
 
北尾トロの撮影した動画はこちら→

 
 
なわけで、またどこぞでお会いしましょう。

 
 
 
 
動画撮影/北尾トロ  似顔イラスト/日高トモキチ
 
 
 
-ヒビレポ 2014年3月23日号-

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