明と暗の報告書 第4回

御朱印デビュー

木村カナ(レポ編集スタッフ)

湯島〜御茶ノ水界隈をぶらぶらとレポする当連載。
第4回の今回は御朱印収集をはじめたことについて。

 「御朱印」なるものがあることは知っていた、それを帳面に集めていくという趣味(?)があるのも知っていた、でも、自分でやってみようとはちっとも思ったことはなかった。第1回で書いたように、初詣に行く習慣がないぐらいで、信心深いどころか、信仰心というものが身についていない。と言っても、無神論者というわけでもないのだけれど。
 それなのにどうして、参拝の証である「御朱印」にあらためて興味を持ったのか、きっかけはふとしたことだった。あかりちゃん絵葉書も売っている神田明神休憩所をうろうろ見ていたら、レジの女性が、御朱印を頼んだ人を呼び出しているのを耳にして、ああそういえば、そういうものがあったんだっけ、って。
 あかりちゃん詣でをするようになって、神田明神が急に身近になって。信心がないと書いたばかりだけど、神社仏閣に行くのはむしろ、元々、嫌いじゃないのだ。家の近所に有名なのがこんなにいっぱいあるんだし、せっかくだから御朱印でも集めてみようかな、と、そのとき以降、なんとなく思うようになったのである。
 で、どうせならば自分好みの御朱印帳が欲しいかも、と、ネットで検索してみたら、うっかり見つけてしまったのだ、これ以上はないくらいにジャストミートな御朱印帳を! これは買うしかなかろう! そして買ったからには活用せねばなるまいて!

買っちゃいました……。(※)

 そしてさっそく、まずは神田明神で、御朱印をいただいたのであった。
御朱印そのものの写真は公開できないので、すでに御朱印をいただいた寺社を、動物シリーズで紹介してみたいと思います。

神田明神、あかりちゃん。

湯島天神、撫で牛。

湯島聖天、放生池の亀。
湯島聖天には「亀の子寺」という愛称も。

湯島聖天、放生池の金魚を食べに鷺が飛来するという。
「皆さまも、鷺と詐欺にはご注意を。」

 ところで。湯島天神と神田明神のちょうど中間ぐらいに、小さな神社がある。引っ越してきてから、ずっと気になってはいたのだが、足を踏み入れたことはなかった。
 湯島天神の門前がラブホテル街になっていることはけっこう有名だと思う。引っ越し先が湯島に決まったという話をしていた頃に、「湯島ってなんか不倫のにおいがするよねえ」と言って笑った人がいた。渋谷や新宿、あるいは鴬谷なんかのラブホ街とは一味違った、独特のイメージがある、と。そのときの会話を脳裏に置いて引っ越してきて、ラブホ街の狭間の路地裏に見つけたのがその神社、「妻恋神社」……不倫のイメージとは裏腹な、その名前!
(湯島のラブホ街なのだが、昨年後半に2軒が廃業して、取り壊しの真っ最中である。周辺で高層マンションがどんどん建設されているから、その跡地もたぶんマンションになるんじゃなかろうか。マンションの建設、そのための取り壊し、それから外壁の修理や何かで、作業中の土地が今、本当に多い。日中にはそこら中からずっと、建築機械の作業音が聞こえてきているような感じ。それもこれもアベノミクスの効果なんだろうか……? マンションばっかりどんどん作って、そこに住む人がそんなにいるのかな、と、歩きながらぼんやり考えたりする。)

ひっそりと妻恋神社。

 ここでも御朱印がもらえたりするのかな、と、ぶらりと立ち寄ってみた。境内では年配の男性たちが数人、木の剪定作業をしていた。社務所はあるが、カーテンが閉まっている。でも、お守りや絵馬などの値段を書いた看板は掲げてあって。絵馬が多すぎてナイアガラの滝状態の湯島天神に行った直後、妻恋神社に納められている絵馬は、湯島天神のものすごい量の何百分の一かに見えた。とは言え、掲示されている由来によると、その起源は日本武尊(やまとたけるのみこと)にさかのぼると伝えられているという。つまり、この辺りでいちばん古い神社だということになるのではないだろうか。

湯島天神、お礼参りのだるまの絵馬の瀑布。

妻恋神社の絵馬掛所。
「これさあ、誰が作ったの?」「いや、プロの仕事でしょ」
とおじさんたちが話し合っていた。

 おじさんたちが剪定作業の手を止めて、こちらの動向を気にしている雰囲気だったので、思い切って御朱印についてたずねてみると、すでに紙に書いてあるものに日付を入れるだけになるけど、それでもよければ、と言われた。それでもいいです、と答えると、「××さん、日付、頼むよ〜」と、いちばん年上らしきおじさんが呼ばれて、社務所の中で書いてきて、笑顔で手渡してくれた。
「縁起っていうのがあるんだけど、興味ありますか? これ、ちゃんと調べて書いてあるから。ぜひまた寄ってくださいね。」
 神田明神や湯島天神のこなれた対応とはえらい違いであった。観光名所ではなくて、地元感覚というか何と言うか。それもそのはずで、妻恋神社は、近隣住民の熱意によって、大火や震災、空襲を乗り越えて、今日まで維持されてきた神社なのであった(と、もらった縁起に書いてあった)。木の手入れをしていたおじさんたちも、おそらくはご近所にお住いの方たちだったのであろう。神社なのに境内に馬頭観音も祀られていたり、本殿裏に水子地蔵があったりする、宗教的にはなかなかカオスな場所でもあったりする……湯島と言えば天神様、だけど、妻恋神社もここ、湯島にあり!と、なんだかとってもしみじみしてしまったのでした。

「水子(地蔵)この奥です」

(※)ご朱印帳専門店「HollyHock(ホリーホック)」 http://www.goshuincho.com/ のネットショップで購入。
一緒に写っているポーチは別途購入したもの。

https://mapsengine.google.com/map/edit?mid=znWZk_wCdeJc.k0znbXsQH6y0

-ヒビレポ 2014年4月22日号-

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