超小市民あるあるパラダイス  第10回

よく○○されるあるある

 
田中稲(11号で「大阪から来た女」執筆)
 
 
 
 
題名だけでは何が何だか、であろう。うむ。私もどう書けばよいか悩んだ挙句、この題名を付けたが、これで良かったのだろうか、いやー良かねぇよなあ、などといまだに首を左右にヒネヒネしている。
まあ簡単に言うと、自ら特に何をアピールしている訳ではないのに、不思議と知らない人から「○○されることが多い」という話である。
私の知人・友人でけっこういるのが
「なぜかやたらと道を聞かれやすい人」
である。私のオカン、そして事務所の社長が揃ってこのタイプだ。老若男女がゾロッゾロゾロゾロ歩いている大通りでも、ピンポイントで遠くから狙いを付けられ、
「ここどこですかーここに行くにはどうすればいいですかーぁぁ」
と迷える子羊たちが寄ってくるそうな。私も実はオカンと一緒の時、その現場に立ちあったことがある。わざわざ道路の向こう側から地図を振り回し
「エックスキューズミーー!!!」
と叫びつつ、しかも信号無視をしてまでダッシュでオカンに駆け寄るアメリカ人(多分)。しかも、そのアメリカ人は横から首を伸ばし「えー何々なんば駅? ナンバステーショーン?」などと話に入ろうとする私をスルー。オカンのみに熱い視線を注ぎ
「オシエテクダサーイ」
と地図を差しよるのだ。おいーっ、無視すんじゃねー!うむむ。納得できない。そんな私を横目に
「多いのよねー、私、道を聞かれる事。困っちゃうわ―」
オカンはなぜか得意げに、そして堂々と
「右行って左行って」
とお答えしておった。くっそーぅ。なにこの差。横にいる私の立場の無さ。私は場をもてあまし「へっ」とニヒルに笑いを浮かべ様子を見守っていたが、アメリカ人はそんな私のヤサグレ笑顔すらきっと目に入っていない…。

 
オカンのこの「道聞かれる現象」は地元大阪だけでなく、本人全く土地勘が無い東京でウロウロしている時すら何度もあるというから不思議。もう一人、事務所の社長も、
「今日も若い旅行者に道聞かれちゃったよー。他にたくさん人がいるのに。なんで俺なのかな」
と〝選ばれし者特有の優越感たっぷりな微笑″を浮かべながら自慢げに報告してくるのを3.4度聞いたことがある。くーっ、なんか羨ましい! 私も道聞かれたいっ(←なぜ…というツッコミが聞こえてきそうだが、なんとなくだ!)
この人たちはどうしてこうも道を聞かれやすいのか。私は2人の共通点から、そのミステリーを紐解いた。
推理の結果をズバリ発表すると、この2人、良く言えば堂々と、悪く言えばものっすごい偉そうに歩いている。これしか思い浮かばない!
「この道、私は(俺は)100年間通ってんのよオラオラ」
という地主的威厳すらある歩き方。そう。無敵な表情で姿勢も良く、しかも歩くのが速い。これが、あらゆる迷い人を惹きつけると思われる。オカンが東京で道を聞かれるというのも、彼女は大阪から旅行に来ましたというキョロキョロ感を一切見せず「東京生まれヒップホップ育ち」くらいのドヤ顔で闊歩しているからだ、きっと。
本人にとっては「理由が分かんない」かもしれないが、「○○される」にはちゃーんと理由があるのだ。

実は、私にもやたらと「○○される」ことがある。それは「酔っ払いにからまれる」。大学時代の友人Mも私と同じタイプであり、お互い「何が理由なんだろうねえ」と首をひねったものだ。
Mは、大学のクラブのイベントからの帰り道で、酔っ払いが笑いながらMの方に近寄ってきて、スパーンと器用に髪飾りを叩き落としていった、というなかなか凄まじい経験をしている。しかも、その直後Mまでがなぜか酔っ払いにつられて「あははは」と笑いながら髪飾りを拾ったというから、どれだけ彼女が混乱していたかが伺える。
私はといえば、電車の中での酔っ払いに被害に遭った事が何度もある。しかも
「ねーちゃんめんこいのぅ付き合えよー」
という電車男的な褒められ(ナンパ?)系ではない。なぜか一方的に怒られるという危険なタイプである。
「おうねーちゃん、俺が切符持ってないと思ってるやろ」
一度、新今宮から乗ってきたワンカップの香り漂うオッサンに凄まれた時は本当にビビった。で、周りも助けてくれない(泣)。
「おう、俺をバカにしとるやろ。俺切符持っとるぞ見せよかオラオラ」
ひー。誰も疑ってないですぅぅぅ。心の中は号泣、表情は能面という状態でその場をしのいだが、怖かった―。ホントに怖かった―。この他にも
「なに笑っとるんや。ええっ、何がおかしいんじゃコラ」
とイチャモンをつけられたこともある。ひー。地顔なんですー。多少嫌な事があっても常に上っている口角はチャームポイントだと思ってるんですけど、腹立ちますか。腹立ちますかー。えーん。
なんなのか。この緊張感低めの顔が悪酔いした人のカンに触るのだろうか。そして、その原因がいとも簡単に解ける日が訪れた。酔っ払いがいる電車に乗り合わせた時、一緒にいた友人が、私の様子を見てこう指摘したのである。
「ちょっとアンタ、見すぎ」
へっ? ウソ。私全然自覚ないんだけど。
「いやいや、うわー酔っぱらってる、うわーこっち来んな、という表情アリアリで見てた」
げげげ。友人によると、私は細い目を最大に開け酔っ払いをガン見しているらしい。ありゃりゃ、からまれるのはそれかー(汗)。そりゃオッチャンら、不愉快だわ。これからは気を付けます…。
で、この日を機に、酔っ払いと同じ電車になったら寝るふりをするなどして、目を合わせず過ごすことにしたら、効果てきめん。全然からまれなくなりました…。

いやはや、知らない人から「○○される」。この他宗教に勧誘されやすい人、ケンカを吹っ掛けられやすい人などいろいろいるでしょうが、絶対自分からそうされやすいオーラを放っているはず。気を付けよう!(相変わらず荒いまとめですいませんとほほ)。
 
 
 
-ヒビレポ 2014年6月5日号-

Share on Facebook

タグ: Written by