MAKE A NOISE! 第37回

メリル・ストリープのお言葉(第1回をご参照下さい)に従い、まだ知れ渡っていない面白い映画をロンドンからMake a noise!
 

ライバル

 

山口ゆかり
(第13号で「ロンドンでゲイ、レズビアンたちに混じる」執筆)
 
 
 
『The Case Against 8』は、アメリカ、カリフォルニア州で同性婚の是非を問う裁判のドキュメンタリーです。
 直訳で「8に対する訴訟」となるタイトル、8とはプロポジション8のこと。「男女間の結婚のみ認めるものとする」というプロポジション8が通ったため、カリフォルニアでいったんは合法とされた同性婚が、2008年11月、違法にもどされました。
 プロポジション8が人権侵害であると訴える2組の同性カップルが、カリフォルニアを相手に戦います。愛が勝つ感動ものを予想したのですが、意外なポイントが面白かったです。
 
 そのポイントとは、かつてのライバルの関係。ライバル同士が、実は一番お互いの力量を知っている、そして、敬意をいだきあっているのは、どんな物語にあっても大変しびれるところ。古くは『あしたのジョー』のジョーと力石から、最近では『RUSH ラッシュ/プライドと友情』のジェームズ・ハントとニキ・ラウダもそうでした。
 

 

 

『The Case Against 8』では、それがテッド・オルソンとデヴィッド・ボイス。同性カップル陣営弁護士チームの要になる2人です。最初にチームに加わったオルソンは、ジョージ・W・ブッシュ対アル・ゴアの大統領選の際、投票数の数え直しをめぐって争われた裁判で、ブッシュ側の弁護士を務めた人物。それが同性婚を推そうとは、保守派から裏切り者呼ばわりされる一方、同性婚推進派からは、わざと負けに導く気では?と疑いの目を向けられます。
 そのオルソンがチームに引き入れたのがボイスでした。大統領戦時にゴア側の弁護士だった、いわば敵だった人です。その2人が、実はお互いを高く評価しあっていたのが、同じチームで協調する中に見えてきます。

 アメリカ最強の弁護士2人はさすがの手腕で、裁判劇としてもワクワクするものになっています。ボイスが強硬な反対派だった人をコロッと賛成派にしてみせれば、オルソンは白人と黒人の結婚をめぐる1967年の裁判を引き合いにだし、まさに同じことが繰り返されていると人々に気づかせます。
 
 予想したポイントも予想以上でした。カップルのお互いへの愛のみならず家族愛の部分、特にカップルの1組の子どもたちが、ハンパではない戦いを感じさせてくれました。裁判が始った頃には少年だったのが、裁判の終わりには青年になって、母たちを支えます。長い年月をかけた末、家庭として認められて、ほんとに良かったねと思ったのでした。
 

 
 
 次回は、予想できなかったのが面白かった映画です。
 
 
-ヒビレポ 2014年6月7日号-

Share on Facebook