超小市民あるあるパラダイス  第11回

言われるとカチンとくるあるある

 
田中稲(11号で「大阪から来た女」執筆)
 
 
 
 
トーク。私はこれが上手い人がホンットに羨ましい。
私は要点をまとめて喋るのが本当にダメである。ライターという「大切なポイントを拾い出し、人に分かりやすく伝える」という仕事をしているが、書くと話すとは全くもって別物だと思いませんかッ。書いたものは消せるが、話し言葉は戻ってこない。行ったっきりの片道切符よ…フライアウェーイ…(昭和歌謡風味久々にぶちこんでみました)。
舌の先に一度乗ってしまった言葉は、飲みこむのがヒジョーに難しい。頭の中では、それを言ったらどうなるかある程度ちゃんと予測がついていて、
「アカンアカン、空気が凍りつくってば!!」
と猛烈にストップをかけているのに、時すでに遅し。その「一言」はドヒンシュクというK点目指してシャ―ッと滑り出していってしまった後だったりするのだ(泣)。
私がよく「それやめてよー」と注意をされるのは
「大丈夫?」
という言葉だ。気が小さく心配性なので、友人知人親姉に対し、少しでも「いつもと様子が違うな」と感じたら、ついつい言ってしまう。しかも何度も何度も……。で、最初の方こそ「ダイジョウブ、心配してくれてありがとう」と笑っていた相手も次第にイライラし
「そんなに何回も大丈夫ダイジョウブ言われたら逆に不安になるっちゅうねーん!」
と終いにはブチ切れる、というのが毎度のパターンである。
いや、分かっちゃいるのだ。私も覚えがある。友人に何度も心配そうに
「大丈夫? なんかちょっと疲れてる?」
と言われ続けた時、特に何もなかったのに段々体調が悪くなってしまった事があったっけ。その時思ったものなあ。「人は言葉で殺せる」と。マイナス言葉の連発はちょっとした毒薬より怖いぞー。証拠は残んないし、言ってる本人は全く悪意が無いわけだから(むしろ善意で言っている…)罪に問う訳にもいかないし。「言霊」とはよく言ったもんだ(汗)。このパワー、ぜひともプラス方面で使いたいものである。私も「大丈夫?」は禁句にします。宣言!


 
さてさて、逆に私が「これ言われるとカチンとくる」言葉ナンバー1は、今のところ
「私は○○ですけどそれがなにか」
である。誰も聞いちゃいねぇのに勝手に自慢し、しかも「それがなにか」と畳みかけてきてスパッと会話を終わらせるという理不尽さ! 「それがなにか」の後に「文句ありますか?(ドヤ顔)」という隠し言葉が見えるのは私だけですかッ。初対面の男に「俺は優しいし金もあるけどアンタとは結婚しませんが問題なかろう?」と言われてるのと同じようなもんだ!(違う違う)。
この言葉の元凶(流行の発端)は、何年か前に放送された大人気ドラマ「ハケンの品格」で、確か篠原涼子演じる主人公の口ぐせだった覚えが。「私は○○の資格を持っていますがそれがなにか」としょっちゅう言われて黙り込む上司役の大泉洋や小泉孝太郎に同情したもんである。これが流行ったらかなわんなーと思ってたら、見事に流行ってしまったではないか。むぉーん!
いやもう、ドラマって本当に罪作り。その昔ドラマ「家なき子」が流行った時も、
「同情するなら金をくれー」
と安達裕実を真似る小生意気なガキンチョが増えて本当にイライラした。しかし、流行語は時代を作る種(たね)。個人的にイライラするというだけで否定するわけにはいかん。ということで、「上手に返せる」対応語が欲しいところである。
「私は○○ですけどそれがなにか」
と急に言われたら。しかも偉そうに。さあ、どうする。どう返すッ!
「私はもっと○○ですけど、それがなにかッ。ケーッ!!」
と叫んでみる…とか。コドモかーぃ。とほほ。

「これ言われるとカチンとくる」言葉ナンバー2も勢いで発表してしまおう。
オカンの口癖で「どこで!?」「誰が!?」という厳し過ぎるツッコミ言葉がそれ。例えば、穏やかな母娘の会話も、中途半端に話を振れば、次のような状態になってしまうのだ。
私「そういえば、心斎橋においしいパスタの店ができたって聞いたんだけど」
母「誰が言ってたん!?(←なぜか責めるような口調)」
私「ラジオ体操が再ブームらしいって書いてあったよ」
母「何に書いてあったん!?(←やはりなぜか責めるような口調)」
どうも情報源や詳細があやふやだと我慢できないらしい。しかもその質問っぷりは昭和の鬼刑事、平塚八兵衛もビックリの厳しさ。思わず、意味もなく「おやっさん、アッシがやりました…」謝りそうになる勢いである。
ところが、これはオカンだけのクセではないことがこの間判明した。親戚の叔父さんが遊びに来た時、オカンとの会話がもう凄まじかったのである。
母「この間、近所の喫茶店に友達と行ってねえ」
叔父「近所ってどこの!!友達って誰!!(←責め口調)」
母「やっぱり京都の湯豆腐はおいしいよねえ」
叔父「京都の湯豆腐ってどこの!!(←責め口調)」
叔父「有馬の温泉の券もらったから今度やるわ」
母「有馬の温泉ってどこの! 誰にもらったん!!(←責め口調)」
……(震)。
怖い。怖いよー。ケンカ? ケンカじゃないよね??
あまりにも熱い「どこ! 誰!?」合戦。しかも両者全く引かず。高度成長期を乗り越えてきた人たちの、重箱の隅を突き過ぎて穴を開ける勢いな「問い詰め口撃」に圧倒され、私は「彼らを止めるのは無理」と悟った。
では、私が変わらねばなるまい。ということで、常に明確かつ詳細な情報源を把握し、皆さまのどんな質問にも対応できるようぷしゅー……(←力尽きた)。
 
 
 
-ヒビレポ 2014年6月12日号-

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