明と暗の報告書 第10回

霊感はないけれど

木村カナ(レポ編集スタッフ)

湯島〜御茶ノ水界隈をぶらぶらとレポする当連載、
今回は日枝神社に遠征。
1週お休みしてしまいました、どうもすみません……!

 
 
 第8回で書いたように、神田明神の神田祭と日枝神社の山王祭は隔年開催、神田祭が蔭祭の今年は山王祭が本祭である。
 それにちなんでの特別企画展「天下祭と山王さん 〜江戸っ子は、山車に絵巻に、木遣り唄〜」を、末広町にあるアーツ千代田 3331で見てきた。
 

 
 神田明神も日枝神社も、アーツ千代田 3331も、同じ千代田区なんだ、とちょっと意外に感じた。
 日枝神社には行ったことがなかった。住所は永田町、Googleマップで見ると国会議事堂のすぐそば、外堀通りを渡ったら港区だ。
 神田明神(現在の正式名称は神田神社)の住所は外神田、千代田区と文京区が入り組んでいる場所にある。というか、神田明神の一帯が千代田区、湯島聖堂の一帯が文京区で、そこだけが互い違いになっているのには、どうしてなんだろう? 何か理由があるんだろうか??
 そして、アーツ千代田 3331(旧錬成中学校)の住所は外神田、秋葉原のいちばん北、この辺りも千代田区と文京区と台東区が入り組んでいる。
 区の境界(地図記号では「区界」というようだ)がはっきりしている地図で眺めてみると、その辺り以外にも、凸凹になっているどころか、境界線がいきなりギザギザになっている地点があったりして、ここってどうしてこんな風になってるんだろう?と、考え出すとひどく不思議に思えてくるところがいくつもあるのだった。

 天下祭と山王さん展を見て、日枝神社に行ってみることにした。
 新御茶ノ水から千代田線に乗る。
 大手町、二重橋前、日比谷、霞ケ関、国会議事堂前、赤坂……地図で見ると、皇居を半周、ぐるりと回っているのである。皇居の下に地下鉄も通っていない事実をあらためて実感する。そりゃあロラン・バルトも「空虚の中心」なんてつい言っちゃいますわな。ちなみに『表徴の帝国』(※)の「中心―都市 空虚の中心」の章に挿入されている図版は、「十八世紀末から十九世紀初頭にかけての」「東京の地図」、葵の紋が大きく描きこまれた「御城」を中心とした江戸の地図である。

「この都市は表意文字である。
文章(テキスト)はとだえることがない。」


 

 
 赤坂駅から歩いていくと、道の向こうに大きな山王鳥居が見えた。高くて急な石段に一瞬恐れをなしたが、脇に上りエスカレーターがある。とりあえず行きはよいよいってか。
 

高低差がこんなにあるのだ!

 

日枝神社の神様のお使いはお猿さん。
狛犬ではなく夫婦猿がいました。

 

山王祭で使う山車が展示されていた。

 

山車の上の「御幣を持った美少年の像」、
お猿さんのお面も持っている。

 

山王祭に備えて?
酒樽の入れ替え作業中でした。

 

フェンスの向こうの石のアーチが猛烈に気になった。
この先に何があるのか……?
境内案内図によれば「山の茶屋」「赤坂トランクルーム楽庫(ラッコ)」があるのだが。

 
 まずは参拝をし、境内をしばらく歩き回ってから、御朱印をいただいて、高くて長い石段を今度は下りる。
 石段を上る前には、日枝神社のある小高い丘の下を通っている道路を、ぐるりと一周してみよう、と思っていたのだが、そんな気にはなれなかった。なんだかもう、とにかく早く帰りたくなった。赤坂よりも一駅手前の国会議事堂前駅まで歩いていこうとしたら、いちばん近い出口は首相官邸の裏手、交通規制が行われている通りに沿って、数メートルおきに制服警官が警戒態勢で立っているのだった。わたしには、おまわりさんがそばにいると、無駄に怯えて緊張する、という良くない習性があり、地下鉄出口にたどりつくまでずっとびくびくしまくりであった。
 

改修工事中の国会議事堂前駅ホーム、
“Kokkai-gijidomae”に
“National Diet Bldg.”を付記。
これもおもてなしの一環か。

 
 日枝神社に行った翌日、体調が悪くなった。日枝神社の境内にいるときから、ここはなんだか息苦しいなあ、と思っていた。ビルに囲まれて、その中でまた壁で囲ってあって、なんとなく風通しが悪いような感覚があった。だから居心地が悪くて、早く帰りたくなったんだと思う。霊感は全然ないし、オカルトは好きなだけであんまり信じていないんだけど、風と水の通り具合は気になるのだ。思想ではない風水。たぶん、あの辺りの土地柄と、相性が合わなかったのだろう。おまわりさんもやたらといっぱいいるし。

(※)わたしの手元にあるのはちくま学芸文庫、宗左近訳、1996年。
 

https://mapsengine.google.com/map/edit?mid=znWZk_wCdeJc.k0znbXsQH6y0

 
-ヒビレポ 2014年6月10日号-
 

Share on Facebook