今朝はボニー・バック 第40回

bonnie

ローカル路線バス アナウンス広告巡りの旅①

 
ボニー・アイドル
(第11号で「原稿料よりバイト料が多くても、ぼくは断然ライターだ!」執筆)

 
 
 
3月某日、上石神井駅から大泉学園駅南口行きのバスに乗って取材先に向かっていると、終点間際に次のようなアナウンス広告が流れてきた。
「次は終点、大泉学園南口、大泉学園南口です。オシャレなあのひとは大泉学園で降りるらしい。ブティックみゆき前です」
なんとも前時代的というか、オシャレじゃない広告があったもんだなあと思ったけど、その時は約束の時間が迫っていたのでどんな店か確認することなく、バスが停留所に着くや一目散に取材先に向かった。
取材後、帰りのバスに乗り込んでしばらく経った頃、大事なことを忘れていることに気づいた。
「ブティックみゆき見るの忘れた!」
試しにスマホで検索してみると、大泉学園南口商店街のHPにブティックみゆきの紹介ページを発見。
画像は一応人様が撮ったものなので、URLを貼っつけておく。
http://oizumigakuen.jp/shop_info.html?shop_id=66
ショーウィンドウには「SALE」「50%オフ」「半額」の特売を知らせる貼り紙が護符のように貼られている。頭の中に幼い頃見た「霊幻道士」シリーズがフラッシュバック。


 
ブティックみゆきがアナウンス広告同様のオシャレなお店だったことはわかったが、果たしてバスに広告を出稿している他のお店というのはどんな営業をしているのだろうか。
やはり古くから地元に根づいた個人経営の店が多いのか? コンビニとかファミレスの広告は聞いたことないしなあ。病院とか診療所のはよく耳にするけど・・・。
そもそも普段バスに乗っててアナウンスに気に留めることもないし、当然放送を聞いて「おもしろそうな店だな、帰りにちょっくら覗いてみっか」となったこともない。他の、乗車マナーや交通マナーに関するアナウンス、区からのお知らせと同じ感覚で漫然と聞き流しているだけだ。
というわけで、バスのアナウンス広告を出しているのがどんなお店か実態調査することにした。できれば、お店に伺って広告の効果や広告料金なども聞いてみたいところである。

まずは、広告を出稿しているお店を把握するため、もう一度同じ「上石神井〜大泉学園南口行き」の路線バスに乗ってすべての広告アナウンスを採取することに。以下は停留所とアナウンス広告の内容である。お店の名前はまちがってるといけないので、とりあえずカタカナ表記にしといた。
①次は、上石神井中学校入り口。親知らず、歯周病、インプラントのオオツカ歯科は交差点左にございます。
②次は、早稲田高等学院。世界の花と園芸用品のオザキフラワーパーク入り口。新青梅街道沿いです。
③次は、愛宕橋。お手入れは任せて安心、ハイスピードの仕上がり。クリーニングナガヌマ前でございます。
④次は、上石神井北小学校。整形外科、リハビリテーション科のタケ整形外科前。みんなで食事を楽しめる、酒とつまみと二八そば。そば匠ヤブイズ前でございます。
⑤次は、富士街道。いつまでも健康で快適な歯を。オオモリ歯科医院前でございます。
⑥次は、第5上石神井住宅。耳鼻科、咽喉科、キムラ耳鼻咽喉科医院前。
⑦次は、学芸大付属前。24時間対応のカワミツ外科は大泉学園駅南口です。
⑧次は、終点大泉学園駅南口。オシャレなあのひとは大泉学園で降りるらしい。ブティックみゆき前。お好み寿司60品、料理80品しなぞろえ。手頃で極ウマのカンタロウすしは北出張所下車そばです。

西武バス「上石神井〜大泉学園南口行き」間で放送された店舗は全部で10軒。1つの停留所につき1店アナウンスされるかと思っていたけど、決してそうではなく、「上石神井北小学校」のように2店舗放送されたり、逆に「庚申塚」のようにまったく放送されない停留所もある。
次はいよいよ現場に向かっての実態調査である。路線バスと同じルートをチャリで走りながらお店を探すことに。
果たして、各店どんな店構えなのか。また、アナウンスではよく、「次は井の頭2丁目。ボニー宅前でございます」と放送されるけど、本当に“前”なのか。停留所から100mも離れていたら“前”とは言わさねえJARO。

最初の「大塚歯科」は、上石神井中学校入り口停留所からほど近く、上石神井駅から伸びる北口商店街と新青梅街道が交わる交差点前にあった。
 
①-
 
幸先のいいスタートを切ったと思ったら、2件目の「オザキフラワーパーク」が見つからねえのなんのって。スマホを持ってくるのを忘れたので、アナウンスの「新青梅街道沿い」という情報だけを頼りに、新青梅街道を東に西にチャリをこぎ続けること約20分、上石神井団地前のサミット内にあった。
 
②-
 
続いて、「クリーニングナガヌマ」は愛宕橋を越え、道を挟んで右手に発見。「そば匠薮伊豆」は上石神井北小学校停留所を過ぎて1本小路を入ったところに、「たけ整形外科」はバス通りに戻ってすぐの場所に発見した。
 
③-
 
④-
 
⑤-
 
アナウンス広告が流れなかった庚申塚停留所を通り過ぎる。通りの左方向には動物病院や化粧品店などが入ったビルもあるので、広告会社はもっと新規顧客の獲得に力を入れてほしい。
「大森歯科医院」はアナウンスどおり富士街道を渡って左の路地に発見。「木村耳鼻咽喉科」も「第5上石神井住宅」停留所から眼と鼻の先のバス通り沿いに、「川満外科」は大泉学園駅の駅ビル「ゆめりあフェンテ」手前、進行方向右手の路地に入ったところにあった。
 
⑥-
 
⑦-
 
⑧-
 
大泉消防署を越え、残す停留所は終点の大泉学園駅南口のみ。停留所の向かいのビルに、この旅を始めるきっかけとなった「ブティックみゆき」を発見! 商店街のHPに載っていた画像と違って、SALEの貼り紙がない。お客の中にもお客がちらほらいて、けっこう繁盛している様子だ。
 
⑨-
 
調査終了、と思ったらもう1店舗残っていることに気がつく。最後にアナウンスされた“手頃で極ウマ”の「カンタロウすし」。「北出張所」下車と案内があったので、交番に行って北出張所の場所を聞くことに。
ところがおまわりさんは「北出張所といっても、出張所にもいろいろあるからねえ」と困り顔。「じゃあ、カンタロウすしは?」と聞き直すと、電話帳から住所を調べてくれた。
おまわりさんの「かなり遠いよ」という忠告どおり、大泉学園通を北上し、白子川、関越自動車道を越えても着かなかった。埼玉との県境もそろそろという大泉学園町4丁目、「北出張所」のバス停すぐ右に「勘太郎鮨」はあった。
 
⑩-
 
何でまた、店から遠い大泉学園駅南口のバス停にアナウンス広告出したのか、そして広告料金や費用対効果、“手頃で極ウマ”というコピーは誰が考えたのか、寿司でもつまみながら大将から聞き出したかったのだけど、その時のぼくには体力も止まっている寿司を食うアゴ代もなかったのである。
(続く)
 
 
 
-ヒビレポ 2014年7月2日号-

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