わたしの日本ぽつぽつ北上記 第3回

yoshika

大牟田市(福岡市)[その2] 旅は道連れ、助っ人あらわる

 

佐藤温夏
(第16号で「どうしても柔道には惹かれてしまう」を執筆)
 
 
 
map01 omuta yoshikasato
 
 福岡での仕事を終えた翌日、博多駅前でレンタカーをピックアップした私は大牟田方面にクルマを進めた。天気は快晴。最高のドライブ日和である。助手席のAさんは、カーナビの指示にことごとく逆らいながら、道案内をしてくれている。

 Aさんは地元の新聞社の記者さんで、私がスポーツ系の出版社に勤めはじめてから、取材現場で何かとお世話になっている社会人としての先輩だ。やわらかい博多弁と鋭い質問、ストレートな表現で取材対象と距離を縮め、とくに九州出身者から厚い信頼を得ている人情味あふれる記者さんである。

 
 そのAさんがなぜ助手席に座っているかというと、前夜、仕事が終わったあと、Aさんを含めた知り合いとの酒席で、明日は大牟田に親戚宅とお墓探しに行くつもりである旨を話すと、それなら一緒に行ってやる、と同行をかって出てくださったからだ。

 聞けば、Aさんは若いころ大牟田支局に勤務したことがあり、親戚も住んでいらっしゃるという。私は大牟田はもちろん初めてだし、手がかりといえば、親戚宅の住所しかなかったから、こんなに心強い助っ人はいないとお願いすることにした。もちろん、(一応)遠慮はした。でも、からりと明るいAさんと一緒ならきっと道中は楽しいだろうし、ルーツ探しという、ちょっとミステリアスな目的の旅をおもしろがってくれたらいいかな、と考えた。やっぱり私はひとりではどこか不安で、同行者がいてくれるのであれば、それは助かるなぁと思った。
 
 だって考えてもみてください。会ったことも話したこともない親戚の家をアポなしで訪ね(やっぱりまだ連絡は取れていなかった)、実はワタクシ、札幌の○○子の孫でして、その○○子が昨年死にまして、本日はそのご報告に参りまして、じつは分骨を視野に検討しておりまして、つきましてはそのご相談をさせていただきたく存じまして、せっかくですからお墓にお参りさせていただけますでしょうか……なんてことを説明&打診しなくてはならないのだ。

 どう考えても怪しいし、門前払いの可能性も十分にあり得る。通報されたって文句は言えない。あれこれシミュレーションするだけで気が滅入ってくるのもおわかりいただけると思う。うだうだ考えずシンプルに突撃するのもそれはそれで一興だろうが、コトがコトだけにそういうわけにもいかない。などと思っていると、父がなかなか大牟田に足を運ぼうとしなかったのも、なんだかわかる気がしてくるのだった。

 そういうわけで、Aさんを道連れに、親戚宅&お墓探しの旅に漕ぎ出したわけだが、案の定というか何というか、大牟田の地図の準備もなく、カーナビ頼みで決行した安易なプランは、すぐに破綻を迎えることになった。
 
map 02 route 03回
 
(次回につづきます)
 
 
 
-ヒビレポ 2014年7月18日号-

Share on Facebook