初めまして津島ですけど、いい年なんで大人やってます。  第7回

tsushima

イケメンBLカフェ行ってきた(後半)

 
津島千紗
(第16号で「探偵失格」を執筆)
 
 
 
 (前号より続き)

 さて、ボーイズラブ(BL)がコンセプトのイケメン喫茶のドアを開けた瞬間のことから後半を始めたい。

「おはようっ」
 という挨拶ののち、席に案内してくれたのは美少年のグランマニエであった。あ、なんかもういきなりすごいイケメンだ・・・!!とすでに頭が沸騰しそうである。クラス一なんてレベルではない、学校に一人いるかいないかの逸材である。突然、目に幸福が訪れた。

 席では、グランマニエが店のシステムについて冗談を交えながら丁寧に説明をしてくれた。普段人の顔を見ない私なのに、彼の顔をガン見してしまった。
 料金については、すでにHPにて予習済みな上に峰さんから詳しく説明を受けていたが同じ説明をまた受けた。実に明瞭会計であり、事前の説明がしっかりとしている。

 また、ここは、上下関係の秩序を大切にした学園であり、新しく学園に入学した私と吉川さんは「新入生」であるから、学園内の二年生以上には敬語を使わなければならないとのこと。つまり、グランマニエ達は先輩になるため、私たちは敬語を使わなければならない。そして、彼らは私たちにタメ語で話すことになる。
 ちなみに、ポイントカードのポイントを貯めれば進級ができる。峰さんは当然三年生である。
 年齢や客という立場はここでは考えてはいけない。私たちは新入生の高校一年生、十五歳なのである! そして、本日のスタッフ、いえ、在校生は三名とも三年生であるから、私たちの先輩である。非常に突飛な設定に最初は思えたが、意外と入り込みやすかった。けっこう順応性高いな自分!
 中学でも高校でもこんな素敵なかっこいい優しい男の先輩なんていなかった・・・こんな漫画みたいにかっこいい男の子を先輩って呼んでいいだなんて!! むしろ夢のようである。というか、ほんとうにほんとうにそれ、ずっと憧れてましたどうもありがとうございます状態である。もう二度と叶わないと思っていた夢が実現されてしまった。


 
 また、在校生に触ってはいけない、店内で写真撮影禁止、などの校則の説明も一通り受けた。触ってはいけない、って・・・触らないだろ普通・・・と思うが、わざわざ校則のトップにされているだなんて、中には触る人もいるということだね・・・。

 一通りの説明とドリンクの注文が終わるとグランマニエはキッチンのほうへと戻って行った。ここはホストクラブではないので、常に男の子がテーブルにつくわけではない。また、キッチンスタッフがいるわけでもなく、ドリンクやフードは彼ら自身が作る。
 時折自分の席に来てくれたときにお話ができる程度と思ったほうがいい。とはいうものの、結構来てくれていた。

 お店にいる間、三人の男の子(グランマニエ、風早くん、F4氏)が代わる代わる何度も席に来て、お話をしては去っていく。

 風早くんのトークスキルは天下一品で、明るく優しい人柄で非常に楽しい。
イケメンなど、心ではなにを考えていることやら怖いわ…という猜疑心を吹き飛ばしてくれる。

 私たちが飽きないように、また、お店の雰囲気がわかるようにと、お店の内外で撮った男の子たちの写真アルバムやらいろいろ持ってきたりもしてくれる。写真を見ると、他の男の子たちもみんなとんでもないイケメンばかりで、他の日にもまた来たくなってしまった。

 他のお客さんの女の子たちも、男の子と話している時間以外は一人でゆっくりと過ごしたり、一緒に来たお友達同士、もしくは顔見知りの常連でお話をしている。なお、気になる客層だが、私の想像通り、太めの女子が多かった。やはり・・・! あとは、女の子っぽいひらひらした服装の子が多いように感じた。ピンクや花柄、レース、ワンピースなどの着用率が明らかに高かった。腐女子のファッション傾向だろうか。

 決して広くはないお店の中は、海外から買い付けたというヨーロッパ調のアンティーク家具で統一されており、非常に乙女チック趣味ながらも、なんだか落ち着く素敵なカフェとなっているのは意外だった。雑居ビルの2階がこんなにおしゃれになっているとは外からは想像もつかない。
 かなり昔だが、秋葉原のメイドカフェに友達と行ってみたことがあるのだが、実に店内の何もかもが適当で、真っ白な安壁に蛍光灯、パイプ椅子と会議机並のものが並ぶ店内だったのである。学園祭以下だ! けっこう有名店だったのに。実際メイドの人もそんなにとんでもなくかわいいってこともなく普通の人がメイド服を着ているだけだったため、女同士ということもあるが、メイドにも一切興奮しなかった。注文したカフェオレに「お砂糖入れてもいいですかっ?」など言われ目の前でゆーっくりと砂糖を入れられ、マドラーでゆーっくりとかきまわされ「どうぞっ」と差し出されたくらいしか、メイドとの接点もなく、実にガッカリしたのだが、それとは何もかもレベルが違いすぎる。

 BL学園内にて写真撮影が唯一許可されているのは、注文したドリンクやフードのみである。が、実際にイケメンが持ってきたドリンクは、普通のコーヒーなどを注文しただけなので実に普通であり、写真を撮る気に一切ならない。小声で
「これ撮ってもしょうがないですね・・・」
 と言ったところ、峰さんが
「でも、パンケーキとか頼むとすっごくかわいい絵とか描いてくれるんでっ」
 と言って実際の写メを見せてくれた。なるほど、フードの盛り付けがかわいいのか。文字や絵を描いてくれるようだ。私は納得した。そのへんはメイドカフェなんかと同じシステムを導入しているようだ。

 ちなみに、ホストクラブとは違い、男の子たちの分のドリンクやフードを注文する必要もないので、自分の分しかお金はかからない(峰さんの話では、ご馳走もしたければしてもいいそうだが)

 その頃、一人で来店していたお太目女子の座っている席の目の前で、グランマニエと風早くんがソファに倒れこむようにして、なにかイチャついていた。BLだからこんなパフォーマンスのサービスもあるのか・・・など納得していたら、峰さんの説明が入った。
 サービスじゃなかった、有料である。
 950円のポッキーを注文すると、指名した男子二名が男子同士で目の前でポッキーゲームをしてくれるのだという。もちろん、自分としてくれるわけではないし、一本だけである。あとは自分で普通に食べることになる。太目女子、注文したんだね・・・彼女はテンションが上がりまくって奇声をあげて大笑いし、たいそう喜んでいた。
 なお、キスまでの流れのBLお芝居をしてくれるので、設定やシチュエーション、セリフのリクエストもできるのだそう。いいねいいね!
 目の前で美形男子二名がポッキーゲームをするなど、普段見ることのできない眼福なのであるが、なんか、他人の注文したものだし無料で横から見たら悪い気がする・・・など、変なところで遠慮してほとんどちゃんと見なかった! 私は普段図々しいくせに、なぜかこういうところだけ、変な遠慮をするところがあるのである。
 それにしても、この話を男性にしたところ、
「男同士のポッキーゲームなんて見て何が楽しいんだ!」
 と言われてしまった。そうか、そういう考え方もあるのか!!と目から鱗である。これって最高!と当然思っていた私は、自分で思っていたより腐女子であるようだ。これは、自分ではごく普通のちょっとBL漫画をたしなむ程度の女子だと思っていたので、新発見だった。いや、美少年同士のBLの具現化とか最高だから。

 さて、峰さんは本日、男の子たちにプレゼントを持参していた。峰さんやたら荷物が多いな、買い物でもしてきたのかと思っていたら、全部男の子たちへのプレゼントだったのだ。
「違うんですっいつもはこんなの用意してないんですよっ!? 今日はたまたまですから!!」
 と二、三度は言っていた。お店の三周年イベントに参加できなかったので今回持ってきただけだ、とやたら言っていた。
「いつもこんなことしてたら破産しちゃいますよ! それに全員に渡すわけじゃないですし!」
など言っていたが、峰さんのプレゼントのチョイスはもう明らかにセンスが良く、素敵なお土産やプレゼントを普段から渡し慣れている人の感じがものすごく出ていたのを私は見逃してませんけどね・・・。私のような無粋者は知らないお店だが、こういうのに詳しい人は知っている有名店なんだろうなって感じの絶対美味しい品を選んできました、という感じだったのだ。

 お目当てのF4氏もちょうど本日お店にいたので、彼が席に来たときに手渡していた。
「くれるのー!? うれしい! ありがとー!!! 開けていいっ? わーっすごーいっありがとー!」
 などと目の前で喜んでもらえてよかったねえ、峰さん、今日彼がいてよかったねえ。。。と私も老婆のように心の中で喜んだ。

 ところで私は、プレゼントなど当然持っていないが、待ち合わせの前に自分で買い物したどうでもいい買い物袋を持っていた。安いマグネットや、にんにくをつぶす器具、光る靴紐(犬の夜の散歩に使えると思ったのだ・・・)などという、本当にどうでもいい雑貨ばかりである。その袋を見たF4氏が
「なにこれ? 買い物してきたのー?」などガンガン聞いてくるのである。
「いや、ほんとどうでもいいマグネットとかなんで・・・」
 など、本当に心からほっといてくれよ聞くなよ・・・とあからさまな態度をしているはずなのだが、ものすごいぐいぐい来て、
「開けていい? 見ていいー?」
 など言ってきた。おいおまえふざけんなよ!!!! ぜってー見せたくねえよにんにくつぶすやつとか入ってるし!と思ったのだが、
「なに恥ずかしがってんだこのブス」
 など思われたくないという虚栄心から、「え、ああ、まあ、べつに・・・」など言ってしまった。実に、事故にあったようなもんである。相手がイケメンだから、私もこんなことになっているのだ。これが例えばブサイクなキモメンだったら、
「は? なんで見せないといけねえんだよ、てか触んなよ」
 という態度をもっと毅然と取れたはずなのである。「あーもう、こいつ、これ、ただの調子乗ってるイケメンじゃねえかよ・・・」と、峰さんのご贔屓男子であるにも関わらず思っちまったよ!! F4めが!

 前号にて、このF4氏に関する人物説明に若干悪意が混ざってしまったのは、この事故により彼に対してけっこうムカついていたためである。他の二名の洗練された完成度の高い接客に対し、一人だけ無駄に生々しいのである。峰さんたちにとっては、そこが彼の魅力なのかもしれないが。

 
写真7-1
 
 なお、この写真が、イケメンF4氏によって、テーブルの上に無残に一個一個出されて見られたどうでもいい雑貨である。見てわかっていただけるように、人に見られて困る物でもないが、なんか、間抜けで見られたくないと感じるどうでもいい雑貨の数々だ。イケメンカフェに行くときは、どうでもいいもんを買い物などしてから行くべきではない、というのが今回の教訓となった。話すネタ探しだかなんだか知らんが突っ込んできよるで、あいつら!!

 さて、帰るときも居酒屋ではないので「お会計お願いしまーす」などは言ってはいけない。
「下校しまーす」
 というのがルールである。

 下校時には、在校生全員でお見送りをしてくれた。峰さんはF4氏と二人っきりで楽しそうに話していた。よかったね峰さん…

 一階に下りて、振り返るととびっきりのイケメン在校生三人が最高の笑顔でいつまでも二階から手を振ってくれていて、本当に、目と心へ栄養が染み渡っていくのを感じた。

支払った料金は

入学金 300円
学費 1500円(1時間半)
ドリンク 480円(アイスコーヒー)

である。コーヒー一杯で2280円だ。考えようによっては破格の値段ではあったが、イケメンを間近で見られて、お話までできて本当に夢のような時間を過ごし、実に満足だった。むしろ安いんじゃないでしょうか!!! 日常でこんなこと、ないですからね!
 お店を出てからも、あまりの非日常体験に頭がぼおーっとしてしまい、その日の夜は、異常に眠りの入りがよかった。

 その日いなかった他の在校生の男の子たちにもぜひ会いたい。次回の登校のため、学生証(ポイントカード)は大切にとってある。

 私の行ったときにはいなかったが男性の入学もOKとなっている。たまにはイケメンで目に栄養はいかがでしょうか。

 
 
 
-ヒビレポ 2014年8月12日号-

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