今朝はボニー・バック 第46回

bonnie

ローカル路線バス アナウンス広告巡りの旅⑥

 
ボニー・アイドル
(第11号で「原稿料よりバイト料が多くても、ぼくは断然ライターだ!」執筆)

 
 
 
8月4日朝4時50分。自転車に乗って三鷹市井の頭にある自宅を出た。目指すは、今回の旅で最初にアナウンス広告が流れた東電支社前バス停。録音は前々日の夜、バスに乗って採取した。
アナウンス広告巡り5本目の路線は、関東バス・荻07系統「練馬駅発、中村橋駅経由荻窪駅行き」。
昇り始めた朝日に向かって、環八を北上して四面道で天沼本通に出たあとは中杉通りをひたすら上った。東電支社前に着いたのは5時35分。

今回、実地調査を早朝にすることにしたのは、ドラクエの作戦コマンドでいえば「いのちをだいじに」モード。
この練馬発荻窪行きの路線というのは、停留所の数は27と第3回の「吉祥寺駅発中野駅行き」より2つ少ないものの、アナウンスされる広告の数は倍以上の26。
35度を超える日中に練馬〜荻窪間を自転車で走り回ってたら、よくて熱中症、悪くて寿命の向こう側。ガンガンいく気には到底ならない。
ただ、アナウンス広告の出稿主がどんな営業をしているのかを調査するという、この企画の趣旨を考えた場合、「早朝の調査ってどうなのよ?」ってトコはある。ほとんどの店(会社)がまだシャッターを下ろしている時間だし。
この点に関しては、素直にすんませんとケツをまくるしかない。
でも、この路線には一件だけ早朝の6時から営業を開始している個人商店があるので、この店に免じて許してほしい。
そこがどんな店かは調査を進めながら明らかにしていくことにして、さっそくアナウンス広告巡りを始めてみよう。


 
「次は東電支社前、東電支社前。腰痛、関節痛、スポーツ障害など酸素カプセルがあるマツダ整形外科リウマチ科前です」
アナウンスの内容通り、「まつだ整形外科」は停留所の真横に立っているクリニックビル2階に発見。
元来た千川通り中村橋駅の方に向かうと、停留所を見つけるより早く歩道脇に2つ目にアナウンスされた店の看板が出ているではないか。
「次は中村橋駅、中村橋駅。磯料理アヤメはバス停すぐそばです」
 
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②-
 
「磯料理菖蒲(あやめ)」の写真を撮り、同じバス停でかかった出稿主を求めて駅の方へ。
「西武線中村橋駅より徒歩5m、サイトウ皮膚科入口でございます」
目印の建造物から徒歩5mとはこの調査を始めて以来、最短距離である。果たして、斉藤皮膚科は駅構内にある西友から小路を挟んで向かいのビル3階にあった。改札からは50mほどあるが、たしかに駅の壁からは5mぐらいしか離れていないので、誇大広告ではない。
 
③-
 
駅からそのまま中杉通りに入る。
「次は中村三丁目、中村三丁目。歯科一般、口腔外科のソフィア歯科医院前でございます」
「次は中村八幡、中村八幡。介護付き有料老人ホーム、グレースメイト鷺ノ宮一番館二番館へはこちらよりお越し下さい」
ソフィア歯科医院はバス停から10mほど先に、グレースメイト鷺ノ宮は二番館がバス停の次の信号を右折した先に、一番館がさらにその小路を右折したところにあった。
 
④-
 
⑤-
 
調査は順調に進むかと思われたのはここまで。ここから先は鷺ノ宮駅一帯を抜けるまで右往左往の泥沼状態に入る。
「次は中村三丁目。明るい環境の若宮幼稚園は都立鷺ノ宮高校裏門の隣です」
「中村三丁目。アケノ眼科にお出での方は鷺ノ宮駅でお降りください。踏切を渡り、川沿い右方向でございます」
2つ先の停留所近くにあるアケノ眼科は置いていて、若宮幼稚園を目指す。
バス停から一本目の路地を左折し、妙正寺川を越えると若宮小学校が見えてきた。グラウンドでラジオ体操している住民を横目に、下り坂をさらに東に向かったところに鷺ノ宮高校を発見。
周囲を窺いながら、高校東側の裏門にある幼稚園を写真に収めるとすぐさま元来た坂道を引き返す。
 
⑥-
 
中杉通りに戻り、駅に向かって自転車を走らせていると、前方に次のバス停が。ここから「白鷺一丁目」まではかなりアナウンス広告が入り組んでいるので、ダイジェストでお楽しみください。
「次は、鷺宮四丁目、鷺宮四丁目。今日という日を大切に。お子様を預けるなら、レインボー・プライマリー・スクールへどうぞ。白鷺一丁目下車が便利です」
「次は鷺ノ宮駅。ニシヤマ耳鼻咽喉科医院にお越しの方は白鷺二丁目でお降りください」
「鷺ノ宮駅。あきらめてしまっている痛み、痺れなどでお困りの方、ご相談ください。メグミ接骨院は踏切を渡り、バス通り沿い右手です」
「鷺ノ宮駅。日帰り白内障手術の、レーザー治療を行える眼科専門医。鷺宮のネギシ眼科前でございます」
「次は白鷺二丁目。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医のイシイ皮膚医院前」
「白鷺二丁目。頼れる介護のパートナー、アサヤケはバス通り沿いにございます」
「次は白鷺一丁目、白鷺一丁目。ルーテル武蔵野協会入口でございます」

ワケがわからないので、広告出稿主の場所をバス停の順番ごとに整理する。
○ 鷺ノ宮駅→アケノ眼科、メグミ接骨院、ネギシ眼科
○ 白鷺二丁目→ニシヤマ耳鼻咽喉科医院、イシイ皮膚科医院、アサヤケ
○ 白鷺一丁目→レインボー・プライマリー・スクール、ルーテル武蔵野協会
鷺ノ宮駅で3件アナウンスされたのにも驚いたし(過去調べた路線では多くても2件まで)、何より最寄り以外の停留所に広告を出していることに戸惑った。
なぜ、現地から離れた場所に広告を打つ? 鷺宮四丁目で放送された「レインボー・プライマリー・スクール」なんて現地から2つも前の停留所だ。
前回も同じ疑問にぶち当たったが、「競合他社を避けるため」という一応の結論を導き出すことがだすことができた。しかし、今回はたしかに医療クリニックが8件中5件あるが、診療科目が被っているのはアケノ眼科とネギシ眼科のみ。
では、なぜ「ニシヤマ耳鼻咽喉科医院」が最寄りの白鷺二丁目ではなく、鷺ノ宮駅のバス停に広告を?
もしかすると、実際の場所は幕張なのに「東京」と謳っているディズニーランドのような一種のイメージ戦略なのかもしれない。

釈然としないまま、まず鷺ノ宮駅エリアの捜索から進める。
最初に見つけたのは踏切手前の鷺ノ宮駅のバス停から百メートルほど手前のファミリーマート上にあった「根岸眼科」。続いて、踏切を渡って川沿いに「明野眼科」を発見。「めぐみ接骨院」は中杉通りの進行方向右手にあった。
 
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さらに入り組んでいる白鷺二丁目〜一丁目エリアに入る。
「西山耳鼻咽喉科医院」は白鷺二丁目のバス停から3ブロック手前に発見。「石井皮膚科医院」はバス停の真横に建っていた。「朝焼け」がなかなか見つからないなあと思ってスマホで住所を検索してみると、すでに通り過ぎていたので駅近くまで戻って発見。
 
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「ルーテル武蔵野協会」はバス停から二つ先の路地を右に入ったところに難なく見つけた。困ったのは、鷺宮四丁目で放送された「レインボー・プライマリー・スクール」だ。「白鷺一丁目下車が便利です」という説明ではおおざっぱすぎて場所がつかめない。スマホで検索してみると、住所は阿佐谷北六丁目。ルーテル武蔵野協会で入った道を今度は東に向かって走り、住宅街の一角にやっと発見した。
 
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やっと鷺ノ宮駅一帯の調査を終了し、早稲田通りを越える。もうTシャツは汗でびっしょりだ。帰って酒飲んで寝たいという気持ちが頭の片隅にもたげたが、次は今回の目玉のお店なのでこらえる。現在の時刻は7時14分。調査を始めてすでに1時間半以上経っている。
「次は阿佐谷北六丁目。くるみパンが話題のロードベーカリー前です。朝6時からほっかほかの焼きたてパンをとりそろえております」
お店は中杉通りを挟んで、進行方向逆側のバス停前にあった。リアルジャムおじさんみたいな人形が店前に立っているので簡単に見つけることができた。
 
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小腹も減ってきたし、絶品と名高い焼きたてくるみパンをいただきながら、今回こそ広告料金や費用対効果について店主から聞き出そうと、財布を握りしめ入口に近づくも——。
 
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(次号につづく)

 
 
 
-ヒビレポ 2014年8月13日号-

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