今朝はボニー・バック 第49回

bonnie

ローカル路線バス アナウンス広告巡りの旅⑨

 
ボニー・アイドル
(第11号で「原稿料よりバイト料が多くても、ぼくは断然ライターだ!」執筆)

 
 
 
前回まで、ぼくは都内を走る6つの路線バスに乗り、停留所前に車内放送されるアナウンス広告を採取して広告出稿主の姿を写真に収めてきた。
一応、その路線を紹介しておくと、
関東バス・西03系統「上石神井駅発大泉学園南口行き」
関東バス・西01/02系統「上石神井発西荻窪駅北口行き」
関東バス・中36系統「吉祥寺駅発中野駅行き」
京王バス・鷹64系統「久我山駅発三鷹駅南口行き」
関東バス・荻07系統「練馬駅発荻窪駅行き」
関東バス・吉53系統「吉祥寺駅発柳沢駅行き」
となる。

6つの路線で採取したアナウンス広告は移転・閉店した広告主も含めて、占めて95。 ※複数の路線に広告を出している店・企業は1とカウント。
思えば、この旅を始めたきっかけは、たまたま大泉学園駅南口のバス停前で耳にした、
「オシャレなあの人は大泉学園前で降りるらしい。ブティックみゆき前です」
という広告に惹かれたからだった。こんなオシャレなコピーを出している店はどんな営業してるんかいなと。
その第1回(http://www.repo-zine.com/archives/12337)のルポを終えてからも、もっとおもしろいアナウンス広告を出している店はないかと調査継続のモチベーションになったんだから「ブティックみゆき」、つくづく恐るべしである。
「ブティックみゆき」以外で秀逸だったコピーは、第2回(http://www.repo-zine.com/archives/12444)の「上石神井発西荻窪駅北口行き」善福寺一丁目停留所前で放送された、
「健康の近道はこちらです。ひばり整骨院前」。
バスの乗客に近道を教えるとはなかなかやりおるなと。


 
ただ、途中でむやみにおもしろいコピーを出している店を追うのはやめにした。
今は便利な世の中で、Twitterの検索窓に「バス アナウンス広告」とぶち込めば、ユーザーがつぶやいた奇抜なコピーを見つけるのもたやすい。が、路線バスに広告を出しているのはそのお店、企業だけではないのだ。
ひとつの路線に広告を出している企業を仮に10社とすると、「おもしろい、ひねった」コピーは1社あればいい方。すべて差し障りのない当たり前のコピーだった路線がほとんどだった。
でも、だからこそ「ブティックみゆき」「ひばり整骨院」のオリジナリティが輝くのだし、次の路線へのモチベーションにもつながる。
始発から終点までくまなくバス路線を巡ることで、複数の路線に広告を出しているクリニックを発見したり、移転やつぶれてしまって音はすれども姿は見えずの会社に出会うこともある。その度に、出稿主の繁盛度合いや路線の特性に思いを巡らすのだ。
特定の広告を狙い撃ちの「点」はなく、バスが走る地域を「線」として考えるようになってから旅によりコクが出てきた。

さて、今回はこれまで採取した95の広告を基に、路線バスに広告を出稿する個人店や企業の傾向を探ってみたい。
広告出稿主を業種やサービスごとに分けると、次のような結果が出た。

○ 医療関係42(歯科11、整形外科7、内科5、接骨院・整骨院4、耳鼻咽喉科3、獣医科3、眼科3、皮膚科3、外科2、総合病院1、薬局1)
○飲食10(パン・ケーキ屋3、焼肉屋2、そば屋1、鮨屋1、磯料理屋1、ラーメン屋1、肉屋1)
○ 教育8(幼児教育・保育施設3、学習塾3、小学校1、美術教室1)
○ スポーツクラブ4(テニス、フィットネス、バレエ、ヨガ 各1)
○ 宗教4(教会2、寺1、神社1)
○建築3
○ 老人ホーム・介護サービス3
○ 葬儀場3
○ メガネ屋3
○ 不動産3
○ 印刷2
○他10(花屋、クリーニング屋、アパレル、相続相談、自動車教習所、美容院、レンタカー屋、アクセサリー、パチンコ、畳屋 各1)

バスに乗っていて実感した通り、最も広告を出していたのはやはり「医療関係」だった。全体の44%を占めている。その中でも、歯科クリニックは全アナウンス広告の1割強を占めており、今やコンビニよりも数が多いという噂も納得である。
意外と伸びなかったのは「飲食」か。業種別では2番目の構成数だが、パン・ケーキ屋、焼肉屋以外はどれも1店舗のみ。特に、ラーメン屋は街を歩いててしょっちゅう見かけるだけに、1店舗というのは少なすぎるような気がする。

まとめると、路線バスのアナウンス広告はシニア層向けサービスが多いということだろうか。
東京都では70歳以上の都民に、都内を走る路線バスに1,000円で乗り放題の「シルバーパス」を発行していることもあって、今やバスは「お年寄りの乗り物」という認識が一般的である。
「医療関係」で歯科の次に整形外科が多いのも、老人ホーム・介護サービスと葬儀場がそれぞれ3票ずつ入っているのも、路線バスという広告媒体の特性を考えると当たり前のことなのかもしれない。
(続く)
 
 
 
-ヒビレポ 2014年9月3日号-

Share on Facebook