初めまして津島ですけど、いい年なんで大人やってます。  第11回

tsushima

私とBLとゲイとオカマと

 
津島千紗
(第16号で「探偵失格」を執筆)
 
 
 
 普段あまりテレビを見ないのだが、たまたまたくさんの芸人が次々とネタを披露する二時間のお笑い番組を見た。一つの番組の中で何組かが、「ホモ」をネタにしていて、私は本当に腹立たしく感じた(「ゲイ」や「同性愛」などではなく、「ホモ」と言ったほうがしっくりくるネタだった)
 コンビのうちの一人が突然ホモになって、ツッコミが「って、ホモかよっ」と突っ込むようなネタは、もはや定番となっている。何がおもしろいのか?
 なんにも面白くない。人を楽しませるためのお笑いなのに、こんなネタで笑いをとろうとするだなんて、芸人として恥を知ってほしい。

 また、あるときは、テレビをつけたら吉本新喜劇をたまたまやっていた。大阪出身で子供の頃毎週土曜の昼に欠かさず見ていた私は
「お、なつかしいな」
 と思って少し見ようとしたところ、明らかに女装の「オカマ」であるおまわりさんが出てきて
「おまえ、オカマやないかい!!」
 と突っ込まれるといったネタが冒頭から始まった。私は黙ってテレビを消した。

 と、いちいち怒っている私の立場はいったいなんなのかと問われると、ヒビレポ第六回第七回でも書かせていただいたとおり、私は「ちょっとBL漫画が好きな腐女子気味のただのそのへんの女」である。BL(ボーイズラブ)漫画が生み出した新たな文化、それは、「なんか、ゲイって素敵やん・・・」という謎の価値観である。
 だから、セクシャルマイノリティをバカにしている人や差別している人を見ると、とても腹が立つ。


 
 が、実際にゲイの方がそれをどう思うかがわからない。例えば私は、「色白で肌が綺麗な男」しか好きではないし付き合いたくないのだが、それを全然関係ない他人に「なんかそういう趣味のあなた自身がむしろ素敵だよね」とか言われるのと同じことだろう。「関係ねえだろほっといてくれよ」となる。そう考えると、ゲイを素敵だと思ってしまっている自分、うっぜ!!ゲイの方からしたらうっぜ!!と殴りたくなる。私はゲイが好きなので、絶対にゲイの方から嫌われたくないと思うのだが、でも、ゲイが好きだからやっぱり興味を必要以上に持ってしまう・・・!とすごく自分の中でぐるぐるしてしまうのだ。

 そんな腐女子の秘めた想いについてどう思うかなどを聞けるような知り合いのゲイはいない。知り合いにいなくはないのだが、本人からゲイだという話など一回も聞いたことないのに私が勝手に勘付いて知っている(思い込みや勘違いではない)という現状だ。腐女子だから、気付くのだ!

 そう。私が勝手にゲイだと気付くという点だが、私はゲイが好きなので、普段から、そのへんにいないか常に意識している。おそらく、ホモをネタにしたお笑い芸人の人なんかは、そのへんにゲイの人なんていないと思っているし、友達や親しい人にいない(いても気付いていない)から平気でそんなネタを作ったのだと思う。
 別にゲイだと気付いてももちろん私は何もしないし黙っているが、花火大会やディズニーランドなんか、ゲイカップルを見つけやすいので、見つけると一人で喜んでいるだけだ。花火にカップルで浴衣着ている細身の長身男子二人とか最高だ。まあ、例えるならば、ベッカム夫妻を見て「なんかかっこいいカップルだなあ、素敵だなあ」と勝手に一人で思っているような感覚だと思ってもらいたい。

 でも、私がゲイについて強く意識している反面、「Aさんが同性である男性を好きである」ということ自体をどう考えているかというと、例えば「Aさんは島根県出身」とか「Aさんは三人兄弟の長男」みたいな感じと同じに考えている。人となりを表す要素の一つに過ぎない。
 ふとしたときに、
「ああ、島根弁出た〜」
とか、
「やっぱり長男はしっかりしてるなあ」
とか思う部分があるだろう。しかし、それでAさん自身に対して、好きとか嫌いとか思うわけでもないだろう。AさんはAさんだからだ。そういう感覚だ。いや、でも、「ゲイって素敵」と思ってしまうのは「島根県出身って素敵」とは思わないだろうから(島根の方すみません)なんか、まあ、素敵具合でいえば、
「パリの帰国子女」
とかのほうが近いのかもしれない。ただ、パリの帰国子女でも、ブッサイクなキモい人はもちろんいるし、性格が悪くて嫌いな人もいるだろうし、それと同じなのだ。ただ、「ゲイだから」という理由だけで、その人を好きになったり嫌いになったりすることは絶対にない。その人自身で判断しているし、そうあるべきだと思う。

 しかし、こうした同性愛に対するスタンスを持っているため、「こいつには話せる」と思われたのだろうが、以前、百人いれば九十五人は「キモい」と言うであろう風貌の巨漢デブのオタク男から突然、自分はドMのバイだとかなんだとかカミングアウトされ、生々しい初体験話を聞かされたときはブチギレそうだった。おまえ、それは違うだろ、と。というか、おまえが違うぞ、と。別に同性愛でもバイでもそれ自体は全く構わんしむろ好感度が上がっているが、おまえのそういう話は聞きたかない。駅でニキビ面の男とデブの女が濃厚に抱き合ってキスしているのを見たいか? 中年のよくわからん酔っぱらいのカップルがラブホテルに入っていくところ見て、ときめくか? 違うだろ。おまえの今勝手にしゃべってきた内容はそれと同じだ!!!わきまえろ!!という考え方も同時に持っているので、私がゲイが好きだからといって、なんでも許されるとは思わないでいただきたい。
 むしろ、BL漫画が好きなので、ヴィジュアル面に関しては厳しい。

 昨年の夏、たまたま新宿二丁目で一杯飲んでいたところ(文字通り、ほんとうに一杯飲んでいただけであり、終始挙動不審である。行きつけなどではないし、知り合いもいない・・・)、新宿二丁目界隈には、メンバー全員ゲイのゲイアイドルグループがいることを知った。「虹組ファイツ」というグループ名の彼らの当時の新曲「HEY!夏マッチョ」がこれまたなかなか素敵な曲なのだ。
 

 

「恋召しませ夏マッチョ♪」
というポップかつ意味不明な歌詞とメロディがとても楽しい。というか、メンバー全員ゲイのアイドルというその存在がたまらない。腐女子としては、大歓喜である。
 が、メンバーのヴィジュアル面が、数名イケメンはいるものの、全体的にあまり腐女子として夢中になれる感じではなかった・・・てか、オーディションはないんか!?ホームページのメンバー募集などで確認すると「容姿不問」など書かれている。どちらかというと、彼ら自身がアイドル活動自体を楽しむサークルのようなものらしい。別に腐女子などから人気を得たいという趣旨では決してないので、これはまあ、しかたがないが残念だ。全員美形のゲイアイドルなんかいたら絶対ファンになるのに!

 なお、商業的か否かを問わず、オカマやニューハーフも大好きだ。昨年タイのプーケットに行った際、そういった方が普通にたくさんいて私は大喜びだった。

 最終日の夜、プーケットの新宿二丁目にあたるレインボータウンのバーで一日二回行われる「レディボーイショー」を喜んで見に行った。私としては、綺麗なニューハーフのダンスや歌があったり、お笑い担当のおデブのオカマちゃんが出てくる楽しいショーを期待していたし、そういうものかと勝手に思っていたが、実際には全く観光客向けではない内容となっていた。薄暗い店内に客も私たちの他には、ゲイの白人のおじさま二名ほどしかいなかった。

 思いっきり下ネタなので、内容をできるだけ簡略にあっさりと説明させていただきたい。
 まず冒頭からパンツ一丁とハイソックス姿で、パンツに番号札をつけた少年たち約二十名によるやる気のないダンスに始まり(気に入った子がいれば外に連れだせるシステムのゲイ売春である)この時点で私の思っていたオカマショーとは違うということは察した。中盤、綺麗なオカマさん達のダンスや歌もあったものの、アソコ丸出しで踊る男たちの踊りが入ったあたりから雲行きが怪しくなり、後半には筋肉すっげえなっていう男二名のまさかの合体が目の前で行われた。
 やはりマッチョの男同士ならではというか、とんでもないアクロバティックな体位が可能であり、合体したまま吊り輪などにぶら下がって回転をしたりしたのは本当に圧巻だった。しかしあれは、オカマのショーが見たかっただけの私にはなかなか衝撃的で、「すごーい!!」と無邪気に喜べずさすがに引いた。合体したままステージからこちらに下りてきて、「ヘイ、チップ!」とかなんとか言いながら私の連れのひざを持って腰を動かしたり、至近距離で満面の笑みで目を合わせてきたときにはもう、さすがの私にも手に負えなかった。ひざを持たれた連れは固まっていた。
 
 ショーが終わってから、ダンス担当の綺麗どころのニューハーフたちとお店の外で写真を撮ってもらって嬉しかった。普通の観光客だなあ私・・・
 
写真 11-1s
 
 
 
 
-ヒビレポ 2014年9月9日号-

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