ノスタルジック中華の研究  第2回

“堀切菖蒲園駅周辺の町中華、どこで食べる?”の巻

 
下関マグロ
(第17号で「散歩の途中に見かけた書店で」を執筆)
 
 
 
 
 
 ある街を歩き、町中華をさがす。そして、いくつか見つけた町中華のうちに外観だけで判断し、どこに入るかを決める。そんな遊びを北尾トロとやっている。今回はその最新作。堀切菖蒲園駅周辺を歩き、町中華をさがした。木造家屋が密集している木密地域というが、僕は堀切菖蒲園を中華密集地帯ということで、中密集域と呼んでいる。今回、町中華の外観を順に並べていくので、読者のみなさんも、自分ならどこに入るか考えながら読んでもらうといいかもしれない。というわけで、堀切中央商店街を行こう。
 
001こちら、駅からすぐの場所にある「タカノ」さん。かなり本格的町中華。ノスタルジック度もけっこう高い。看板にある「柳麺」というのも気になる。店内をのぞいた北尾トロが「カツ丼がない、でもオムはある」と言った。自分はよく見えなかったが、とにかくメニューは豊富のようだ。
 

 
002同じ並びにある「来集軒」さん。こちらはさらに古そう。店内をのぞくと手書きのメニューがちょっと見えた。北尾トロの反応は薄い。
 
OLYMPUS DIGITAL CAMERA「光陽楼」さん。ここの看板で特筆すべきは「中華 パーラー」の文字。パーラーと中華が一緒に書いてあるのをはじめて見た。表に出されているホワイトボードには今日のおすすめランチの文字。カキフライ定食、アジフライ定食など、中華ではなく食堂のようなかんじだが、しっかり「ラーメン+半チャーハン」もあった。
 
004「中華大八元 御食事処」という看板。中華食堂といったかんじ。表にはメニューの写真がいっぱい貼ってあって、おいしそう。
 

005「長門」さん。赤いノレンが風になびいていた。自家製麺のお店。かなり実力がありそう。ラーメンだけではなく自家製餃子、酢豚や八宝菜なども看板にあった。
 
006「竹葉軒」さん。手書きのメニューが表に貼りだされている。「オリエンタルライス」や「広島風スタミナ丼」「トマト塩ラーメン」など珍しいメニューが並んでいる。
 
007「美山亭」さん。残念ながら北尾トロと行った日はお休みだった。「開いていたら、ここにした」と北尾トロ。自分もここはかなり好印象だった。
 
008「大江戸ラーメン」という看板。店名は「らーめん あろま」。コーヒーラーメンを出す、亜呂摩という喫茶店の系列だそうだ。自分はラーメン店だと思ったが、北尾トロは「カレーもあるから町中華」と認定。うまそうな感じはした。
 
OLYMPUS DIGITAL CAMERA「哈爾濱餃子(はるぴんぎょうざ)」さん。テレビなどで紹介されている有名なお店。
 
010ぐるっとまわって、再び駅が近くなった。こちらが「海華」さん。チャイナ系だと思うのだが、北尾トロは町中華と認定。それより「隣の太田新一の店が気になるねぇ」とのこと。カラオケスナックか。
 
OLYMPUS DIGITAL CAMERA駅まで戻って、道を渡ったところにある「中華料理 三河屋」さん。表には誇らしく「創業86年 不動の人気メニューベスト3」とあり、そこには「餃子 400円  炒飯 630円 チャンポン630円」とあった。
 
 
さて、今回、北尾トロと回ったのはこの11軒だが、美山亭さんは休業だったので、全部で10軒だ。あなたなら、どの店に入るだろうか。そして、北尾トロの決断はどの店だったのか。

これまで、お店の選定にはあまり時間をかけず決断できていた北尾トロだが、今回は難航。最初は「タカノ」にしようと言っていたけれど、急に、「ちょっと待って」と悩み始めた。「まっさんは、どこがいい?」と僕に聞いてくる。実は、僕もここがいいっていうところがない。ここ、堀切菖蒲園駅周辺のエリアには突出してここという店がない。どこも行きたくないかというと、逆で、どこも特徴があって行ってみたいのだが、ひとつだけ選ぶというのが悩ましいのだ。ちなみに食べログでの点数も全体的に低調。テレビなどで有名な「哈爾濱餃子」さんが3.59といちばん高得点だった。しかし、こちら、お昼時だけど、お客さんはいなかった。客の入りでいえば、タカノ、三河屋、光陽楼、長門あたり入っていたかな。もっとも外から見ただけなので、よくわからないの部分はあるのだけれど。
それにしても、堀切菖蒲園の駅周辺は街全体がノスタルジック。
今回歩いたコースはこちら。
ここに11軒の町中華があったのだ。

そして、悩みに悩んだ末、北尾トロが出した結論は、「中華料理 三河屋」さん。えっ、なんか順当というか、「うーん、どうでしょう」とプリティ長嶋のようなセリフが頭に浮かんだが、飲み込んだ。異を唱えてもますます混乱するばかりだからだ。しかし、ここで何を食べていいのかわからない。あ、でも表に貼られている紙に人気ベストスリーが出ていた。それにしよう。「やっぱり、86年も営業しているっていうのが、すごいよね。戦前からやっているわけだから」と北尾トロ。
 
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外観を撮影して、いざ店内へ。けっこう広めの店内。テーブル席と小上がりがある。座敷のテーブルに座った。メニューを一瞥して、北尾トロは店の人(女将さんだろうか)を呼んでいる。「炒飯と餃子」をコール。ああ、ヤラれたと思った。店頭に出ていたベストスリーの1位と2位だ。3位はなんだったけ、あ、チャンポンか。うーん、チャンポンはないなぁと逡巡しながらも、「あの、おすすめってありますか?」と聞いてみた。女将は即座に「ありますよ、エビチリでいいですか?」とのこと。一瞬答えに詰まったが、どうやら“おすすめ定食”というものがあって、それがエビチリ定食なのだろう。なんだか敗北感に包まれながら「じゃ、それで」と言ってしまった。なんとも脱力。と、北尾トロ、鞄をゴソゴソ、何かを探している。タバコがないそうだ。「買ってくれば?」というと「そうだね」と北尾トロは店を出ていった。あー、なんでエビチリ定食にしちゃったんだろう。麺類にすればよかったなぁ、なんて思いながら、なんとなくメニューを見ていたら、こんなの発見。
 
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定食には半ラーメンが120円でつくそうだ。安いよね。それ、お願いしちゃおう。女将さんに声をかけると、「はいー」とそれを厨房に伝えている。ちなみにこのシリーズ、会計は北尾トロがしてくれる。ぶんか社の「ExMax」という雑誌で“さすらいの町中華”というのをやっていて、この町中華歩きをもとに原稿を書いているからだ。トロが帰ってきた。煙草をスパスパ。こういう昭和テイストの食堂は普通に喫煙が可能だ。
 
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さて、やってきたのは北尾トロがたのんだ炒飯と餃子。いいかんじ。少しもらったが、炒飯は焼き飯というかんじで、なかなかうまい。で、餃子は皮が厚め。昔、こういう餃子ってけっこうあった気がする。
 
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そして、エビチリ定食とハーフラーメン届く。
 
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なんだろう、別にまずいわけでもないのだが、なんだかテンション上がらず、というか、モヤモヤした気持ちのまま、エビチリ定食をいただいた。そんな気分だったからか、ここでは簡単に動画撮れたのに撮影するのをすっかり忘れてた。

動画はこちら。

不思議なもので、食べ終わったあとで思ったことは、タカノだったらどうだったのか、パーラーの店内ってどうなってたのかなぁ、長門のラーメンもうまそうだった。いやいや、竹葉軒の「オリエンタルライス」を食べてみたかった、などなど。行ってない店のほうに心が残る。僕はいつもそうだ。

 
 
-ヒビレポ 2014年10月11日号-

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