ノスタルジック中華の研究  第3回

“新東京通りの来集軒へ行く”の巻

 
下関マグロ
(第17号で「散歩の途中に見かけた書店で」を執筆)
 
 
 
 
 
 街歩きをしていて町中華を見かけると、必ず写真を撮影するようになった。暖簾が出ていないお店は、単に営業時間ではないのか、廃業してしまったのかわからない場合がある。たとえば、このお店。暖簾が出ているのを見たことはなかった。
 
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 看板の店名も剥げかかっているが「来集軒」とある。あの、浅草の老舗ラーメン店の来集軒となにか関係があるのかな。場所は、台東区台東2丁目あたり。近づいてみると、こんな張り紙があるのを見つけた。
 

 
 
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 営業時間が11:30〜3:30とある。ちょうど僕はこの時期、神保町の半ちゃんラーメン店や木下三兄弟のお店を取材するため、上野から神保町まで歩いて通っていた。行きはこの通りを歩かないのだが、帰りはここを通ることが多かった。たいてい午後4時くらいだから、暖簾が出ていなかったんだ。しかもお休みが「水、木、日、祝日」となっている。ここで初めてネットで検索してみたのだが、なかなかおもしろいお店だということがわかった。

 浅草の来集軒から暖簾分けしたお店だそうだ。こちらは、旧地名である竹町から、竹町来集軒と呼ぶ人もいるのだとか。浅草の来集軒の創業が1950年、こちら竹町来集軒は1956年創業だそう。

 実は一度、浅草の来集軒には行ったことがあるのだけれど、どうも自分には合わないかんじだったんで、どうだろう。なんて、思っていた8月10日、竹町来集軒の前を通るとこんな貼り紙。
 
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 がーん、9月いっぱいお休みなんだ。ああ、残念。実はこの数日前だったか、暖簾が出ていて、おっ、やっているのかと思って、のぞいてみようかと思ったら、中から女性が出てきて、暖簾をしまったのだ。しかし、その女性を見て、おやっと思った。食べログへのレビューを読んでいると、店主はかなりご高齢の女性だとあったからだ。そして、9月の終わり頃だったか、お店の前を通ると10月3日から営業を開始するという貼り紙。これは行かなきゃ。

 ところで、この来集軒さんの前の通りを「新東京通り」と呼ぶのだそうだ。僕は、この通りの名前は「仲徒一(なかかちいち)通り」だと思っていたのだけれど、それは昭和通までで、ここは新東京通りらしい。では、なぜここが新東京通りなのかといえば、かつてここに「新東京」という映画館があったからだそうだ。この映画館は1921年頃営業を開始し、1973年頃閉館したそうだ。たぶん、映画が隆盛の時代、ここは華やかな通りだったに違いない。ちなみに映画館が出来る前は「徒竹町大通り」と呼ばれていたのだそうだ。そして、こちらが新東京映画館があった場所。
 
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「ダイヤパレス御徒町第3」という建物になっている。マンションの下にはローソンなどがある。そして、10月3日に来集軒まで行ってみた。やっている、やってる。
 
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 午後1時を少し回ったところ。行列2名。お客さんの年齢層はいろいろだが、やはり平均年齢は少し高めか。ほどなく行列が進み、ひとつ席が空いたので店内へ。お客さんを含め、店内は独特な雰囲気だ。皆、黙ったまま、店内の雑誌などを見ている。食べログなどで予習をしているので、まず、水はセルフで。そして、注文は直接厨房へ。っと、厨房を見ると、なるほど、高齢なご婦人と、その娘くらいの年齢の女性。先日、暖簾をしまっていた方だ。「ラーメンください」と言う。高齢なご婦人のほうが「えっ」と聞き返す。あ、そうだ、少し大きな声で言わないといけないんだった。少しボリュームをあげて「ラーメンください」と言う。「はい」と女性は頷く。
 
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 たぶん、長期の休み明けだということで、お客さんが多く押し寄せたのだろう。なかなかオペレーションがうまくいっていないようだ。それでも、少しずつお客さんに料理は提供されている。隣の男性のところには大盛りラーメンがきた。卓上のラー油を大量にかけている。他のお客さんもそうしているのを見たので、こちらのラーメンはそういう食べ方なのか。

 それにしてもなかなか料理が出てこない。しかし、誰も文句を言う人はいない。ご婦人のカレーライスが提供されている。うまそうだなぁ、カレーライス。直後、若者がカレーライスとラーメンを注文するも「ご飯がないのよ」と女将さん。

 30分でやっと僕のラーメン到着。あれれ、僕より先にきているお客さんで、まだ料理が提供されていない人たちがいる。みんな、ワンタンメンを注文しているみたいだ。どういう順序で料理が提供されているのかよくわからない。では、ラーメンをいただこう。あー、予測はしていたけれど、懐かしいかんじのスープ。メンマは甘め。チャーシューは硬め。海苔がいい。麺はけっこうもちもちしてて、おいしい。浅草の来集軒は苦手だけど、こっちは好きかも。あ、ラー油は入れなかった。入れなくていいかも。またのぞいてみたい。
 
 

【関連サイト】

「半チャンラーメン御三家」と「木下三兄弟の店」巡り [散歩] All About

来集軒 (らいしゅうけん) – 仲御徒町/中華料理 [食べログ]

新東京 (映画館) – Wikipedia
 

 
 
-ヒビレポ 2014年10月18日号-

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