MAKE A NOISE! 第45回

メリル・ストリープのお言葉(第1回をご参照下さい)に従い、まだ知れ渡っていない面白い映画をロンドンからMake a noise!
 

タフな女性たち

 

山口ゆかり
(第16号で「どんなに幸せでも罪悪感と孤独感はぬぐえない」を執筆)
 
 
 
 前回、96歳で映画出演した渡辺監督のお祖母ちゃんのことを書いてすぐ、また別の96歳になる監督のお祖母ちゃんを見ました。96歳お祖母ちゃんづいてる今日この頃です。
 今回のお祖母ちゃんは、ダニエル・バーバー監督の『The Keeping Room』上映で。監督が上映前の挨拶で「たくましい女性たち、特にお祖母ちゃんに捧げます!」と客席にいらしたお祖母ちゃんを紹介したのでした。短めの髪をくるくるカールしたキュートなお祖母ちゃんは、ちょっと立ち上がり手を振って、お元気そうでした。

 バーバー監督の長編監督デビュー作を観て、長編2作目となる今回も期待。デビュー作『Harry Brown(DVD邦題:狼たちの処刑台)』は、穏やかな老後をプランしていたハリー・ブラウンが、ストリート・ギャングのせいで、そうはいかなくなってしまうというお話でした。ハードボイルドな邦題になってますが、ハリーと友人のお年寄り同士の場面にジンワリきます。
 

 

 ハリーを演じるのがマイケル・ケイン。いわずとしれたアイコンともなっている名優です。時代を象徴する俳優になった60年代の『アルフィー』とか伊達男ぶりももちろん良いですが、70過ぎてからますます良くなりました。老人ホームで育った10歳の少年と、友情を育む元マジシャン役の『Is Anybody There?』など新境地といえる名演。後悔の多い人生を歩んでしまった男を、可笑しく哀しく見せてくれました。
 

 
 『Harry Brown』は舞台もイギリスの荒れた団地でイギリスの雰囲気たっぷりでしたが、『The Keeping Room』は舞台が南北戦争時のアメリカなら、主人公も若い女性と雰囲気は全く違います。
 ですが、弱いと思われていた者が立ち上がるというところは共通。前回は無力な老人と思われていたハリーが実は…でしたが、今回は戦時の荒くれ者に女性が立ち向かいます。まだトレイラーはあがっていないので、写真でどうぞ。
 
01
 
 主人公オーガスタを演じるのはブリット・マーリング。主演と同時に脚本も担当した『アナザープラネット』が複数の映画賞を受賞した才女で美女です。
 
02
 
 オーガスタは妹ルイーズと、元は使用人だったのであろう黒人女性マッドと3人で、町から少し離れた家に住んでいます。はぐれ兵隊みたいな男に、女世帯が狙われ、抵抗する、と、簡単に言うとそれだけのお話。それを、サスペンスフルに盛り上げつつ、ヒューマンタッチで見せているのがバーバー監督の才能、女優陣の熱演です。

 南北戦争時ということは、奴隷解放に向かう頃。マッドの位置が面白く、自然に姉妹の面倒をみる召使な部分と、混乱期に女3人生きていく仲間という部分の両方があります。
 トレイラーにきっと入るであろうシーンを、うろ覚え大まか訳でご紹介して終わろうと思います。
 
ルイーズ(畑仕事中にマッドを指して)「こんな仕事、ニガーにやらせればいいのよ!」、オーガスタ「今は、私たちもニガーよ」
オーガスタ、かっこいー。

(ルイーズが庭で怪我してしまい) オーガスタ「あなたが、ちゃんと見てないから!」(マッドの頬を平手打ち)(マッド、オーガスタをじっと見返したのち頬を平手打ち)
マッド、かっこいー。
 
 上映が終わって、再登場したバーバー監督、いの一番に「お祖母ちゃん、気に入った?」。お祖母ちゃんはゆったり「ああ」とご返答。お気に召したようです。

 次回も、女性の映画です。

 
 
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-ヒビレポ 2014年10月29日号-

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