歌謡な毎日を送っております。 第5回

思い出も煙る鶴橋

 
田中稲(11号で「大阪から来た女」執筆)
 
 
 
 
突然ですが、大学からの友人Yと
ご飯を食べに行こう、ということになり。
じゃあどこに行こうか、ということになり。
天満! 中崎町! 鶴橋! 天王寺! とディープ大阪の候補が出て。
結果、二人とも完全アウェーの
「鶴橋」
に行って参りましたッ。ドンドンドンピーヒャラ!!
いやー。なにやら「歌謡な毎日」ではなく
「関西名所めぐり」
みたいなことになってきました今回の連載。
先週は和歌山。今週は鶴橋!!
私も行動範囲が広くなったと思いませんか。えっへん!(←全然狭いわ!)

事務所がある難波から、近鉄線に乗って鶴橋までたったの10分ほど。
こんなに近いのに、なかなか行かないなー、鶴橋。不思議。
しかも、すごく遠く感じるんだよなー、鶴橋。不思議。
これはやはり、鶴橋という町がほぼ「外国」だからでしょう。
海を渡らずして行ける韓国! という感じ。

「鶴橋に行ってきた」
と言えば
「ああ、焼肉食べてきたん?」
という言葉がなんの疑いもなく返ってくるという。
鶴橋でパフェだけ食べて帰って来ようなんてことは、
パリ行って寿司だけ食って帰って来たと同じくらいトホホなのだ!


 
そもそも、駅に降り立った途端、
「いらっしぇい!ええ肉焼きまっせ食えまっせ」
と言わんばかりにごま油の匂いが漂う…。
この香りに抗う事がそもそも難しい。いや、言い切ってしまおう。無理!
そして、煙い。街がケムい!!
焼肉を炙る炭火の影響なのか。むむむ、恐るべし鶴橋。
そこはまさに、焼肉Jungle。
一歩踏み出せば、待ち構えるは店前に並んだ客引きスタッフの
「うちの店がおいしいよ」攻撃!!
どの方向に進むかはあなた次第…。

 
【題:思い出も煙る鶴橋 作詞:田中稲】

待ち合わせは西口改札
右も左も 焼肉 焼肉
商店街に続くは 嗚呼 哀愁のコリアン・タウン
どこに入れば どこに入れば
一番 おいしいの 嗚呼 悩める牛肉ラビリンス
さすらうほどに ネオンは増える
思い出も煙る鶴橋 優柔不断にはツラい街
 
turuhashi1
駅前。ここで目の前にあるチェーン店「アジヨシ」に迷いなく入るのは
ある意味ツウなのか??

いやもう、ホントにどの店に入ればいいのかわかんない(号泣)。
右を向いても左を向いても焼肉屋。
どこもそれなりにおいしそうだしー!
私も友人Yも、口を開けてキョロキョロ。
うあああ、神よ。「ここが一番じゃ…」とお告げを下されーッ。
でないと、このまま一晩店を探して終わりそうです、私たち!
 
turuhashi2
写真の奥に点々と映っているのが、スゴ腕の宣伝スタッフ。
店の前で「お得なセットです!」「おいしいです!!」と
通り過ぎた後もしばらく声で追いかけてくる根性が素晴らしい。
 
turuhashi3
商店街は韓国の方のカタコト日本語が飛び交っている。
日本円が通用するのかと不安になるくらい、韓国モードだ、鶴橋!
別の通りに行くと、寿司屋、ふぐ屋も多し。活魚料理もどんとこいだぃ。
もはやなんでもありだぞ、鶴橋!
 
結局、歩き回り過ぎて喉がカラカラになった私たち。
「三千里」という母を訪ねて的なネーミングの店をチョイスしてどうにか落ち着きました。
で、3か月ぶりの再会を祝し、乾杯したのはいいが。
友人Yの
「実は先月心筋梗塞で入院してましてん」
という素っ頓狂なカミングアウトにビール吹きだしそうになりました。。
なにそれ――ッ!!
天海祐希さんとお揃いやんーっ(←驚きポイントはそこか?)
「ややや焼肉なんて食べて大丈夫なのっ」
「うん。野菜もバランスよく食べるわー」
40も半ばになると、病気と健康の話題で2時間は盛り上がれますね。ええ。

厚く切られたネギ塩タンに鶴橋の底力を感じつつ、
健康って大事よね、とシミジミ語る四十路が二人。
結局2件ハシゴをしてくっちゃべり、家に帰ったら。
オカンに
「くさっ。アンタ、体中、焼肉くさっ!!!」
とすんごい形相で指差されました。
ぬぉーん。おいしかった後のファブリーズが切ないぜっ。
しかも肉の食い過ぎで確実に体重は2キロほど太っていることでしょう。
(怖くて体重計のってないけども!)
鶴橋、罪な街でございました。。

 
 
 
-ヒビレポ 2014年11月4日号-

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