ノスタルジック中華の研究  第6回

“中密地帯、早稲田を歩く”の巻

 
下関マグロ
(第17号で「散歩の途中に見かけた書店で」を執筆)
 
 
 
 
 
前回、江古田から東中野まで、北尾トロとともに町中華をさがして歩いた顛末を書いた。このときに、北尾トロが、町中華の「町」とはちょっと離れちゃったね、みたいなことを言った。北尾トロの中の町中華のイメージのひとつは、駅から近いというのがあるらしい。そうだ、町中華というからには、町単位じゃなきゃダメなんじゃないの。そう思ったら、早稲田へ行こうと思いついた。なんせ、早稲田は中華料理屋が多い。そして、僕はどこにどの店があるか、よくわかっていた。なぜなら、以前、早稲田に住んでいたからだ。僕が住んでいたのは早稲田鶴巻町。2004年の夏から4年ほどここで一人暮らしをしていた。食事はほとんどが、外食。早めに起きた天気のいい日はSUBWAYでサンドイッチをテイクアウトし、近所の公園で食べていた。お昼は、近所の「お食事処 三福」あるいは、南門通りの「高はし」という定食屋へ行くことが多かったのだが、その他は、数多くあった町中華で食べた。

というわけで、北尾トロと早稲田の町中華を見ながら、どこかへ入ることにした。歩いたのは今年の4月2日。桜が満開だった。駅前で待ち合わせをした北尾トロが、桜を見たいというので、駒塚橋から神田川の桜を見た。
 
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というわけで、まずは駅に近い「メルシー」。この店は、テレビや雑誌などでもよく取り上げられる老舗だ。僕もここはよく通った。たぶんメニューは全部制覇したはずだ。とはいえ、メニューの数は多くないので制覇といってもたいしたことはない。ラーメンが中心だけれど、オムライスやポークライス、チャーハンなどのメニューもある。看板には「軽食&ラーメン」とある。
 
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北尾トロはここは微妙だけど、ラーメン屋だと言った。ラーメン屋と町中華は違うのだ。彼の町中華であるかどうかのひとつの基準はカツ丼があるかどうかということだ。それは、高円寺の大陸ショックからきているといってもいいだろう。今年のはじめ訪れた、高円寺にある町中華、大陸が閉店していたことで、僕たちの町中華巡礼は始まったのだ。残念ながらメルシーにはカツ丼はない。メルシーのある道を真っ直ぐ進むと西北亭につきあたる。
 
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店のメニューを覗きこんだ彼は、「ここはまぎれもない、町中華です」と宣言。実に嬉しそうな表情になった。こういう時に限って、動画が撮れていなかったりする。さて、自分はここへは一度きたことがある。何を食べたのか、覚えていないのだが、ごく普通の町中華だった記憶がある。僕はこの西北亭と同じようなお店として、次の早稲田軒をとらえていた。上の画像、左端に早稲田軒が写っている。早大通りに早稲田軒はある。それにしても西北亭の手前にある弁当屋には学生たちが群がっている。そうそう、ここは安くて盛りがいいのだ。
 
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早稲田軒も北尾トロはかなり気に入っている。僕はここも一度来たことがある。その時は厨房の中にはけっこう料理人がいた記憶がある。客と同じ人数だなと思った。早稲田軒も西北亭同様にごく普通の町中華である。そして竜の子亭。
 
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北尾トロの見立てはここはラーメン屋であって、町中華ではないとのこと。僕はここ竜の子亭はそこそこ、足を運んだ。ここへはラーメンというよりも家庭料理のような定食があったのだ。たいていはお昼ちょっと前にきた。遅くなると定食が半チャーハンとラーメンぐらいしかなくなってしまうからだ。ちなみにこの画像は2006年に撮影したものだ。そして次は、「大王ラーメン」。新目白通り沿いにある。
 
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「大王ラーメンだから、ラーメン店でしょう」と北尾トロ。それもそうか。僕はここへはけっこうやってきた。夜のことが多かったかな。翡翠麺という緑色の麺が好きでよく食べていた。翡翠麺は焼きそばにもなった。時々、特製ロースラーメン麺も食べたことあるよ。トンカツがのっかったラーメン。けっこうボリュームがあったね。あと、野菜ラーメンも好きだった。「野菜ラーメンにチャーシューのせてください」って、独自の注文もしてたね。そして、早大通りまで戻って五十番。
 
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「きょうはやってないけど」と北尾トロは言うが、やっているのだ。地味に営業をしている。ここもかなり足を運んだ。この界隈、日曜日になると、休むところが多いんだけど、ここはやってて、自宅から近いこともあって、日曜日の昼はぶらぶらとここにきてたなぁ。定食とか色々食べたけど、ここで一番おいしいのが五目あんかけ焼きそば。店内に『ゴルゴ13』の単行本なんかがそろってて、それを読むのも楽しかったねぇ。北尾トロは、ここももちろん町中華と太鼓判。そして、通りを挟んだ反対側にあるのが「多華」。
 
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「ここは案外、実力があるかも」と言うとおり、たしかに旨い。が、最初の頃は、ちょっと怖くて、入れなかった。中がまったく見えないしね。ちらっと見える、店内はカウンターだけで、常連さんっぽい人ばかりってかんじ。でも思い切って行ってみたら、なかなか旨かった。ただ、なんだかちょっと落ち着かないかんじがあるんだよね。ひとりではまあいいけど、2人で行くっていうかんじじゃないかも。
そして、早稲田通りまで出ると見えてきたのが「中華料理 和」だ。「かず」と読むそうだ。
 
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「ここは、チャイナだね」と北尾トロ。チャイナとは中国からやってきた人がやっているお店。値段も安く、ボリュームもあり、人気だが、町中華が減少する原因のひとつでもある。しかし、ここはチャイナではない。中華のチェーンで、日本人がやっている。僕はここへよくきた。夜遅くまでやってて、他がしまっているときはここで食事をした。いろいろ食べたけど、行き着いたのは、「金太郎ラーメン」というメニュー。ピリ辛のスープに、野菜、炙ったチャーシューがのったもの。なんか、くせになって、食べてたなぁ。そして、早稲田通りにある奈津ダイオウダイニング。
 
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見た目は、おしゃれなレストランだけど、ここは、以前、つけ麺大王だったお店。ここも何度かきた。定食のようなものを食べた記憶がある。その奈津ダイオウダイニングからすぐの場所にあるのが「北京」。
 
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北尾トロは、こちらを町中華と認定。「北京」は住んでいた場所から近いこともあって、けっこうな頻度できていた。お昼時、ランチメニューなんかが多かったかな。ここでは、写真家のアラーキーを見かけたことがある。昼間、スタッフ数名ときて、生ビールに餃子など食べていた。

というわけで、北尾トロはどこを選んだだろう。

料理はこんなかんじ。
 
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お皿に店名入っているね。野菜炒めは2人で分けて食べた。そして、北尾トロはカツ丼。僕はオムライス。
 
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とても丁寧につくられている。お昼過ぎ。客は他にはいなかったが、その後、郵便局員のお兄さんが入ってきて、チャーハンを注文していた。昔は学生でいっぱいだったのかもしれない早稲田軒。いま、学生は弁当屋だ。うーん、美味しかったけどねぇ。なんだかさみしさが残る早稲田町中華巡礼だった。さみしさの理由のひとつは、当時、かなりヘビーに通っていた「秀永」という早稲田駅からすぐの場所にあった町中華が、今はなくなっていることだ。高田馬場に支店があって、そちらはまだあるのだけれど、早稲田のお店はなくなった。美味しかったんだけどなぁ。

今回の動画ははこちら→

今回のマップはこちら
http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=c013250148e3b9de3bbb7ed038f685b0

 
 
-ヒビレポ 2014年11月8日号-

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