あのへん! 〜中野阿佐ヶ谷高円寺〜  第7回


無力無善寺

 
島田十万
(第16号で「よろずロックバー『山路』」を執筆)
 
 
 三上寛を聴きに「無力無善寺」に行ってきました。つい先日NHKのラジオ番組で新曲を歌っていた遠藤賢司とか、友川カズキとか、亡くなった高田渡とかと同じ年代に活躍した人です。もちろん今も現役で、映画俳優でもあります。
 三上寛を聴くのは2回目、前回もここで4年くらい前になるのかな。その時に、毎月1回定期的にやっていると聞いて、たまに来ようと思ったけれどなかなか来られないものですね。
 きっかけは忘れたけれど、そのときも一人で来て、フランスで録音したというCDを買って帰ったのですが、ボクにとっては珍しいことです。
 
 高円寺駅改札を出て阿佐ヶ谷方向にガード下を2、3分歩いたところで、アングラ臭のするライブハウスです。入場料も安くて、ワンドリンク付き1000円とか1500円とか。
 ボクは7,8年くらい前「魔ゼルな規犬」(まぜるなきけん)とか「TASKE」(たすけ)とかを観に出入りするようになりました。東方力丸も出ていたな。毎年ここで開催されていた「日本ロックフェスティバル」にも来たことがあるけれどいまもやっているのだろうか?
 4年前の三上寛は、一人ステージで仁王立ちになって、絶叫調の歌い方が強烈だった。津軽三味線とか坊さんの読経のイメージもあった。
 
1高円寺無力3965

装飾もオドロオドロしいし、階段を上がったところが入り口のドアなので
初めての人には入りづらいかも。

 

 
2高円寺無力3972
トイレに貼ってあったお札?のようなもの。

 
 開演19時ちょうどに入って入場料1500円と引き換えに缶ビールをもらう。店の奥半分がステージで手前が客席。客は僕を含めて7人。と思ったが、その後みな順繰りにステージに立ったから客でもあり出演者でもあり。
 最初は2人組のノイズバンド。机の上にいろいろ小型の機材を乗せて、各種のスイッチを忙しくいじる。コンピューターやアンプ、テルミンみたいなものも見えた。もう一人はエレキギター。音量がすごい。
 2番手は、普段タコ焼き屋に勤めているという青年のギター弾き語り。
 明るいフォークソングの人が3番手。特に統一された構成ではなくて、一人一人別々に楽しむべきなのかな。
 最後は御大「三上寛」が登場。楢山節考や風流夢譚事件の深沢七郎のエピソードなどをまじえて、朗読とも歌ともつかないパフォーマンスはさすが。客もいつのまにか増えていて、20人を超えています。
 以外だったのが、御大の前に登場した「みき」。
 いかつい感じの男でTシャツ、ニッカボッカにチューリップハット姿。現場仕事の帰りみたいな風体でステージ前のソファでじっと聴いていたので、ちょっと変わった客だなと思って見ていたんですね。そしたら、前の人が終了したのと同時にセッティングを始めて、いきなり静かに唱いだした。すると、それまでざわついていた場内の空気が一変した。力が抜けたかすれ声、日常の不条理とか矛盾とか諦めとか、不充足を歌うのですけど、普通の言葉で軽く歌う。
 すぐ「馬野幹(まのみき)」じゃないかと思いあたりました。たぶん5年くらい前、ここでポエトリーリーディングを主催した人。そのときはもう少しラディカルで、客を挑発するような、なにかを訴えかけるような内容だったんじゃないかな。以前より静かで柔らかくなって、強くなったような感じ。
 
3高円寺無力3967

4高円寺無力3976

出演者「みき」

 
5高円寺無力3980
店主も独特

 
6高円寺無力4967
 
 終了後、若い人が代わるがわる「みき」に声をかけていました。新鮮だったのかな。店主が「『みき』レギュラーで出ればいいじゃん」。YOUTUBEでは、最近の映像は見つけられませんでした。

 10時すぎにライブは終了し、出演者を交えて打ち上げをしますと誘われたけれど、ボクは打ち上げは遠慮して近くで一杯だけやって帰ることに。
 最近は夜あまり外出しないので、たまに出たときにあちこち回りたいと思って「ティモール」(別名「清志郎バー」)へ。
 忌野清志郎大ファンのマスターがやっていて、前回行ったときには、清志郎の息子が通っていた保育園の卒園式で熱唱する清志郎のビデオをやっていました。ざわつく父兄と保育園児を前に、清志郎が一人で熱演する、関係者しか持っていない超レアものらしいです。
 が、日曜日は閉店なのか扉が閉まっている。ならばと駅近くの歌謡曲バー「ブルーベルベット」へ。リクエストすると、昭和歌謡の古いレコードをかけてくれる店。
 線路際のペンシルビルの3Fにあるんですが、入り口においてある明かり看板が消えている。ここも日曜日が休みだったか。看板だけ点け忘れたということもないではないだろうが、上がるのはやめた。
 こういうときに昔だったら、もう一軒、入ったことのない店を開拓したりするところだが、眠くもなってきてしまってギブアップ。家に帰って缶ビールを一本だけやりました。
 
7高円寺無力3998

歌謡曲バー「ブルーベルベット」

 
8高円寺無力3996
「ティモール」。別名「清志郎バー」

 

 
 
 
-ヒビレポ 2014年11月17日号-

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