MAKE A NOISE! 第50回

メリル・ストリープのお言葉(第1回をご参照下さい)に従い、まだ知れ渡っていない面白い映画をロンドンからMake a noise!
 

鉄棒してた薬師丸ひろ子

 

山口ゆかり
(第16号で「どんなに幸せでも罪悪感と孤独感はぬぐえない」を執筆)
 
 
 
 今回は予定変更して、高倉健さんの訃報で思い出した、たわいもないことです。
 もう10年も前、『Rape: A Love Story』という小説を読み、健さんが浮かび、薬師丸ひろ子まで思い出しちゃったよ、と簡単に言えばそれだけなのですが。

 『Rape: A Love Story』は、きっと映画化されて感動作とか言われるに違いない、と思うほどビビッドに映像が浮かんでくるパワフルな小説でした。
 まだ若いシングルマザーが娘を連れて出かけた帰りに、酒とドラッグでラリっている若者たちに集団暴行されてしまう。娘を逃すことには成功するも、殴られ蹴られレイプされ半死半生の母。それなのに、金持ちだった若者たちは敏腕弁護士のおかげで無罪、母娘は二次被害の危険にさらされることに。
 神も仏もいないのか! それがいるのです、必殺仕置き人兼あしながおじさんみたいなおまわりさんが。事件後に立ち会った寡黙なおまわりさんには、母娘が嘘を言っていないのがわかる。そして、長きに渡って母娘を守り続ける。ほら、ご同輩、もう健さんが浮かびません?

 本家あしながおじさんは見守っていた娘とちゃっかり結ばれるのが興ざめですが、こちらのおまわりさんはあくまで影の存在。最後まで母娘と接点を持つことはないのです。レイプでラブストーリーとは何事か!と鼻白んで手にとったら、大きな愛の話でした。
 書いたのはジョイス・キャロル・オーツ。ノーベル文学賞候補とも目されるアメリカの作家です。

 
 
 映像が浮かぶと同時に、登場人物の顔も浮かび出すのですが、おまわりさんが健さんになったのに10年前の私はびっくり。特にファンでもないどころか、何十年と出演作も観ていません。それでさえ、寡黙な男と言えば健さん、薬師丸ひろ子を抱えた姿まで思い出したのが、女の子を守るおまわりさんとさらに重なり、それ以上の適役が浮かばなくなったのでした。
 

 
 でも、『野生の証明』は今トレイラーを見ても思い出せません。そもそも観てなかったかなあ。CMかポスターの記憶? 角川書店と角川映画、あの頃はすごい勢いでしたから。

 さて、10年前の私は、健さん薬師丸ひろ子思い出のメモリーレーンを驀進中。『野生の証明』の頃であろうテレビ番組で、まだ、子どもみたいなひろ子ちゃんが話していた健さんからの言葉も思い出しました。「仕事の無い時が大事」、ひろ子ちゃんによると、健さんはもちろん実践していて、いつでもトレーニングを欠かさないというので、ストイック・イメージも強化されたのでした。
 
 ひろ子ちゃんは、その番組で鉄棒したり、ビーフストロガノフを作って見せたりもしてたっけ。そんなことまで30年以上覚えてるとは思いませんでしたし、ひろ子ちゃんが玉置浩二と結婚して、離婚して、『あまちゃん』に出ることになるとも思いませんでした。

 その後、『Rape: A Love Story』はおまわりさん役をサミュエル・L・ジャクソンで映画化という話が出ました。サミュエル・L・ジャクソン? ちとアグレッシブにすぎないか? やっぱり、健さんの方が…などという私の思惑をよそに、ユマ・サーマンとか、アビゲイル・ブレスリンとか、ほかのキャストの名前もあがってきていたのですが、だいぶ前なので立ち消えかも。
 
 そうやって思い出していた頃、健さんはもう70代にもなっていたのですね。ご冥福をお祈りいたします。
 
 
 今回はぽしゃったのであろう映画情報のみとなってしまいましたが、前回予告のリアリティある女性を描く監督たちの映画は次回で。

 
 
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-ヒビレポ 2014年12月3日号-

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