ノスタルジック中華の研究  最終回

 

“町中華の食品サンプルはどうするのか”の巻

 
下関マグロ
(第17号で「散歩の途中に見かけた書店で」を執筆)
 
 
 
 
 
前回紹介した、我が家の近くにある町中華。仮にこの店をKとしておこう。Kの店内は4人掛けのテーブルが2つ。7人くらいが座れるカウンターがある。台東区のこの地に店を開店して34年だそうだ。店主は僕よりも10年上。昭和23年生まれの人。ランチ時などは近隣の人たちで賑わっている。ランチタイムの早い時間は店主の奥さんらしき人が、ホールを担当し、ひと段落してからは店主がホールに出てくる。行列ができることはないが、いつも満員だ。人気の理由のひとつはサービスランチ750円にある。
 
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Kの店の前の透明なプラスチックの中にサービスランチのサンプルが入っている。基本的にはチャーハン、ラーメン、サラダといった組み合わせ。たとえば、ある日のサンプルがこれ。


 
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日替わりで、微妙に毎日変わる。夏の時期は麺が冷麺だったりする。ご飯ものはチャーハン、チキンライス、カツカレーなどに変わる。白いご飯の時もある。頼めば、冷麺を温かいラーメンにしたり、チャーハンをチキンライスに替えてもらうこともできるらしい。見た目はけっこうボリュームがありそうなんだけど、意外と野菜多めであっさりしている。見た目ほどオイリーではないのだ。

この店の開店は朝11時。開店と同時にサービスランチのサンプルが透明のプラスチックのケースに入れられる。たいていのお客さんは、そのサンプルを見て、きょうはランチにしようかそれとも他のメニューにしようかと思案するのだ。

近所にマンションの建設現場があるのだが、11時台にくるのは、そこで働く人たちだ。12時台は近隣のサラリーマンたちがやってくる。たいていネクタイをしていたりする。1時を過ぎるとまた近隣のサラリーマンだけれど、こちらは少しゆったりしている。ネクタイをしていない人もいる。早い時は1時くらい、遅い時は2時前くらいまでサンプルが置かれている。僕はたいてい午後1時前後に行く。
 
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ご飯の場合は、おかず的なものがある。この日は、玉子ラーメン、野菜炒めの上に鶏の唐揚げだ。けっこうご飯がすすむ。
 
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カレーは何度か食べたけれど、たいていカツカレーで、カツはポークやチキンなど。辛さはないけれど、独特なカレーで、僕は好きだ。

 
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これまでいちばん好きだったのは、これかな。冷やし味噌つけ麺に卵焼きに甘酢あんがかかったもの。野菜にあんが混ざっておいしく、ご飯が進んだ。

ところで、実はこのサンプルを初めて見た時から、ずっと気になることがあった。それは、ランチタイムが終了したあと、このサンプルがどうなるかだ。誰かが食べるのだろうか。冬はいいけど真夏はいたんだりしないかな。あれこれ妄想はふくらむ。他のお客さんがいないときに聞いてみた。なんと、その答えは意外なもの。「捨てるよ」だった。えっ、捨てちゃうの。もったいない。「だって、味ついてないんだもん、食べてもうまくないよ」。だそうだ。たとえば、ラーメンは、お湯に醤油を落としてそれらしくはなっているけど、スープは入っていないのだそうだ。チャーハンも味はついていないのだそう。そう言われてみれば、先日、サンプルがこんなかんじだった。
 
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よく見ると、タンメンのようなところにのせてある野菜は生っぽい。でも、むしろそのほうがおいしそうに見えるかな。で、実際に食べたものがこれ。
 
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似ているけど、違うでしょ。こっちが実際に食べられるもの。そういえば、こちら味つけ、けっこう昔風だ・そういえば、お客さんの年齢は高めだ。

そういえば、よく見ると、このプラスチックの中は季節に合わせて、デコレーションが変わる。最近はこんなかんじだ。
 
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そんなわけで、町中華の原稿を読んでくださった方々に感謝。これで最終回。まだまだ書き足らないけど、今のところ、町中華の原稿を発表の場はまだない(苦笑)

 
 
 
-ヒビレポ 2014年12月27日号-

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