今朝はボニー・バック 第55回

bonnie

禁煙12日目

 
ボニー・アイドル
(第18号で「キミは知っているかい ババヘラアイスを」執筆)

 
 
 
元旦から禁煙をしている。この原稿を書いている今日は1月12日なので、禁煙12日目ということになる。当たり前だけど。
きっかけは去年の暮れ、実家に帰ったら兄キが禁煙していたからだ。夏に帰省したときには、ぼくと同じセブンスターを1日1箱くらいのペースで吸っていたのに、なんとそろそろ禁煙3ヶ月目だという。
今年で33歳になるというのに、ぼくは未だにこの2コ上の兄キの背中を追いかけているようなところがある。要するに、中三の冬、兄キが通う進学校を高校受験したときとおんなじで、こいつには負けたくねえ。で、禁煙。タバコも高くなったし。

正月はのんびり5日まで実家にいた。実家に仕事用のノートPCを持っていたものの、開くことすらほとんどしなかった。昼から酒を飲んで姪っ子甥っ子と遊んでいるうちに時間はあっという間に過ぎた。なので、タバコをやめたことによる禁断症状はほとんどなかった。吸いたいという衝動が襲ってきたときは常に携帯するようになったガムで我慢できた。ただ、メシ、やけに食ってるなあ、とはなんとなく自覚していた。


 
禁煙のツラさを思い知ったのは、東京に帰って来て原稿を書く仕事を始めてから。
原稿がまったく書けない。というより、机に向かう気すら起きない。例年、正月休み明けは本調子になるまでしばらく違和感が拭えないのだけど、ここまでやる気が起きないのは初めてだった。
たしかに、喫煙量がいちばん多かったのは原稿を書いているときで、厄介な内容の原稿に向かっているときなんかは一晩で2箱も空にしていた。タワレコ風に言うなら、ノーワーク、ノースモーキング。禁煙を阻む最大の障害になるのも当然と言えば当然だった。
近々で急ぎの仕事は前回の「今朝はボニー・バック」で、担当の平野さんに送ることができたときには〆切から3日も過ぎていた。
ゲラチェックや年賀状の返信など、原稿以外の作業も滞った。1月末払いの請求書の作成・提出は先方から連絡が来るまで放っておいた。
どれも(そろそろやらなきゃな…)とは常に思っているのだけど、その一歩が踏み出せない。すぐに(でも、タバコ吸えないんじゃな…)という気持ちがブレーキをかける。
この短絡的な思考回路が禁断症状なことくらいわかっちゃいるが、このままタバコ抜きでは仕事にならない。現に、東京でもタバコを忘れるため昼夜問わず酒を飲んじゃ寝るの繰り返し。今やタバコよりも、酒を飲みたいという気持ちの方が強い。そして、寝て見るのは、もちろんタバコを吸う夢。「あ、吸っちゃった!」と後悔するのは夢の中だけで、目覚めたときに思うのは「なんだよ、夢か。これからは目一杯吸えると思ったのに」
ニコ中からアル中へ。そして、そんな自分に絶望して鬱るんです。

「いやあ、なかなかどうして大変ですなあ。禁煙も」
禁煙を始めてから心の中に飼い始めた“社長”が太鼓腹をさすりながらパーティの同席者にわめいている。
一生タバコ吸わないわけはない。
売れたら吸う。親の敵のように吸ってやる。そのためにはいい原稿書いて仕事しないと。
そう考えないとやってられない。
 
 
 
-ヒビレポ 2015年1月20日号-

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