津島の窓から 第4回

tsushima

アラフォー独身女性は年下の男と付き合いたがる

 
津島千紗
(第18号で「“本物の”探偵物語」を執筆)
 
 
 

 今の時代、独身の四十歳ぐらいの女の人ってスタイルも良くて、ものすっごく綺麗ですよね。やっぱり自分に時間とお金をかけている人は綺麗だ。そのへんのスーパーで子供に「しょうちゃん!! もうッ!! 触らないで!! なんでそんなことするの!! いいかげんにしなさいッ!!」と怒り散らかしている三十ぐらいの子持ちより全然綺麗です。

 といっても、私が言っているのは、普通に若い頃からモテてて今も女として現役の人のことだ。若い頃からずっとモテないブスは四十ぐらいになると、普通にただのブスのババアになるだけなのでそれとは別の人種である。そっちは今回おいておきたい。

 で、本題ですが、綺麗なアラフォー女性って、絶対

「年下と付き合いたい」

 って言いませんか?
 

 私がそのことを初めて知ったのは大学四年生のときアルバイトをしていた会社にいた事務の派遣の人がまさにそれだったからだ。当時四十歳だった彼女は私に
「あたしは結婚願望はあるんだけど、付き合うなら年下がいいんだよね」
 と言ってきた。
「年下っていうと・・・何個か下とかですか?」
 と聞くと
「もうもっと全然年下がいい。津島さんぐらいの年でもいいぐらいなの」
 などと言っており、当時の私は別に、調子乗んなババアとかは思わなかったが、普通に引いていた。というか、なんかちょっと怖かった。この人は結婚したいとか言ってんだから、もう妥協しまくって相手を選んだほうがいいに違いないのに、なぜそんなことをまだ言ってるのだ・・・?と思った。


 
 実際彼女は、口だけかと思っていたら、本気だった。新卒で入ってきた社員の男の子(祖父が白人のクォーター)の一人暮らしの家に「餃子作ってあげる」といって押しかけたそうで、
「あたし実はあのときいろいろあったのよ・・・」
 などと、私になんか変なこと言ってきたので、当時のまだ若かった私は、ぜんっぜんその先聞きたくない! と思ってすごい勢いで話を中断させてしまった。しかも、その二人は明らかにそのあと社内で険悪になりやがって、なんか相手に用事があるときは私に伝言を頼む的なこともあったりして、非常に迷惑だった。社内の人間相手にババアが力技で体張って勝負したら変なことになるに決まっている。
 
 彼女たちの特徴としては、口だけでなくてけっこう、何らかの結果を残しているという事実がある。

 それから数年後、仕事関係で知り合った男の子の彼女のことも大変印象深い。彼の付き合っている女は、ちょうど一回り離れた38歳の伊勢丹ガールだった。彼はことあるごとに

「伊勢丹ガール超ヤバい。伊勢丹ガールは38でもすっげえ綺麗だから。伊勢丹ガールはやっぱり違う」

 とやたら言っていたため私の中では今でも伊勢丹ガールはとにかくヤバいという強烈な洗脳をされたままだ。写メを見せてもらうと、確かにすっごく綺麗だった。
「超綺麗じゃない? ヤッバいよ伊勢丹ガール」
 と彼はひどく得意げだった。彼は

「若いブスより年増の美人」

 とそこまでは口に出さなかったものの、完全にそう思っているのが丸出しだったため、社内のアラサーあたりには、本気でウザがられていた。ちなみに、その後、伊勢丹ガールと結婚するために夢だったデザイナーのことはあきらめ、なんかペンキ職人に就職したとか聞いたが、伊勢丹ガールに浮気されて別れたらしい。なんかいろいろヤッバいな、伊勢丹ガール。

 そしてさらに月日は流れ私もアラサーになり、ようやく私にも、アラフォーの綺麗な人が年下と付き合いたがるシステムのからくりがわかってきた。

 まず、気付けば、男で残っているものに変なもんしかいないという事実である。「同年代のいい人はだいたいもう残っていない」と呪文のように昔から年上の女性たちに言われてきたが当時は意味がわからなかった。なるほど!! このことか!!! とすごく今は理解できる。女は綺麗な人が三十ぐらいでごろごろ残ってるけど、男は、どこへ消えていった? 劣化すさまじくないか?

 綺麗なアラフォーたちはまだまだ自分は綺麗で若いと思っているため、同年代のおっさんとはとてもじゃないけど自分は釣り合わないと本気で思っている。「私がこんな残り物のハゲと付き合うなんてまさか冗談でしょ」ぐらいに思っているといえる。いやしかし、そう思っても仕方がない。だって今のアラフォー独身は本当に綺麗だ。

 しかし、一部の女性は、ここらで、そろそろ財力を持った残り物と結婚することでフェードアウトしていく。二十代の頃なら絶対付き合わなかったような格下相手だが、たぶん、そろそろ疲れちゃうのだろう。それもまた真理だ。三十代以降の結婚式では新郎の新郎らしからぬ頭髪にばかり目が行きがちなことが増えるが、それはそれでいいと思う。妥協も大切なことだ。頭に毛があるから偉いのでもなければ、毛がないからといって人間として劣っているわけでもないのだから。まあ私が本当にそう思っているかどうかはお察しのとおりだ。でも、毛だけが問題なら、マシなほうだろう実際。

 もちろん、男性の中には優良物件も少しは残されてはいるのだが、そんなもん、とんでもない競争率なので、あえて参戦しないというのもまたアラフォーの妥協点かもしれない。若い子には勝てない、とどこかで線引きをしている謙虚さも意外と持ち合わせているのがアラフォーだ。それでもいく、という強い人もいるが。

 なお、私のデータによると、それでも「私年上がいい(もちろん変なおやじじゃなくてそこそこで)」とかまだ言っているアラフォーは彼氏すら長年できなかったりするので、「年下と付き合いたい」と言っている人のほうが、実際結果は出している。
 
 どこかの段階で、年下狙いに切り替えるのは賢明な判断だ。同世代より上に選択肢がないからという妥協サイドからも、単純に若いほうが見た目がいいからという面食いサイドからも、様々な観点から年下狙いは理にかなっている。

 しかし、年下がいい、と明言している綺麗な女は、確実に

「私はまだ若くて綺麗だし、自分より若い女よりも選ばれる価値がある女だ」

 と思っているということなので、プライドが高いし高確率で気が強いので気を付けたほうがいいということは言っておきたい。職場などいると、人間性に何かあり、厄介率が高い。あくまで私の経験だが、なにかしらトラブルを起こされやすい。
 

 私の友達で、八つ年下の男の子と付き合っているアラサーがいる。本人は年下を狙ったわけではなく、弟より年下なのが嫌だとかなんとか言っていて、「全然良くないよ!」と言っているが、もう、私はこの話を聞くのが好きで仕方がなく、この話だけで、ビールジョッキ三杯はいけるほど好物だ。
 なんか、いいやん、年下彼氏の話って。アラサーになると既婚者が増え、面白い恋愛話や新規案件が一気に減るというか、もう絶滅しかけているので、貴重だ。先日も、同世代の女六名(既婚未婚、子有り子無し、彼氏有り無し、とまるで三十路博覧会のようだった)で、女子会というか片足ババア会があったが、その会で一番盛り上がった瞬間は、その場にいない共通の知人の旦那の批判、およびその娘の風貌に対する辛辣な意見交換だった・・・。これが三十路の現実だ。その話題の先陣を切っていたのはなんといっても私だが、なんてつまらないことか!
 
 私の同世代以上の友達で現在フリーの人はどんどん年下市場に参入していってもらいたいと思います。もう、それしかない。しょっぱい酒しか飲めない三十路たちに楽しい風を吹かせてもらいたい。そろそろ、新郎がいちいちハゲてるのにも、新郎友人テーブルが「上司呼んだのかよ!」みたいな風貌のおっさんしかいないのにも飽きてきました。私、若いのが見たい。

 
 
 
-ヒビレポ 2015年1月22日号-

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