レッツゴー!町中華探検隊 第3回

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増山かおり
(北尾トロ→下関マグロ→増山かおりの輪番連載)

 
 
 

 
先輩方が築き上げたサブカルを継承せねばならぬ! とライター活動を始め、サブカル周辺にて活動しているライター・増山かおりと申します。2015年2月に発売した『ヘンな本大全』(洋泉社)にて北尾隊員、下関隊員とのご縁があり、町中華探検隊隊員となりました。以後、よろしくお願いいたします!

『ヘンな本大全』の打ち合わせ中の余談にて、下関隊員より「町中華探検隊」の存在を知らされ、「それ私も、ずっとやりたいと思っていたんです!」と鼻息も荒く加入を志願。
高円寺にかつて存在していた「大陸」「味二番」などの町中華の名店が無くなっていく様を目にしていた私は、この町中華探検隊こそが、素晴らしい日本の財産である町中華の救世主だと思いました。
「中華一番」「中華二番」などの店名の話から、中華料理店のオヤジの魅力、そして「珍満楼」や「珍々軒」といった店の写真を集めていることなど、初対面でしかも午前中の喫茶店にも関わらず、町中華の魅力を語り合う我々。そして後日「日の出中華」での面接にて、北尾隊員、下関隊員に食いっぷりを買われ、正式な隊員となったわけです。

私はサブカルの聖地・高円寺在住を自称しているのですが、この高円寺はまさに町中華の宝庫であります。今回はその中から、開店50周年を迎えたという老舗「登龍園」をご紹介しましょう。高円寺南口から歩いて5分少々、古着屋の並ぶ「ルック商店街」の中程にあるお店です。
この店は何といっても、その佇まいが最高。文句のつけようがない、すばらしい町中華なのです。さあそのドアをくぐりましょう。

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まず、この外観が素晴らしいですね。さて店内に入ります。
「コンチハー」とドアを開けます。店内にはおかあさんと私以外、誰もいません。これは町中華では非常によくあることですし、だからこそいいのです。
さて店内の各ディテール観察とまいりましょう。
 
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町中華の椅子として最も望ましいのがこのタイプ。赤いビニール張りの、おそらく昭和から(下手すると開店当時から)替えていないのであろう、少し色の抜けた椅子。完璧です。
そしておかあさんが手作りした(単に布を切っただけ?)テーブルクロスのギンガムチェックが切ないです。そう、町中華の魅力は切なさにあります。昭和に生まれながらもその時代の空気を体感したのはわずか4年余り、昭和は間違いなく自分の時代の一つでありながらそれを語る資格を持たない中途半端な世代にも、昭和が自分のアイデンティティだと感じさせてくれるのが町中華なのです。未だに一定数存在する、女なのにわざわざ畳敷きの築深物件を探し出して住むような者にとっては、ディズニーランドよりも刺激的なテーマパークであるといえます。まるで70年代フォークの時代に青春を過ごしてきたかのような、そんな気持ちにさせてくれる魔法の箱が町中華なのです。
そんな町中華の効能が何に似ているかといえば、映画です。ヤンキー映画を観たあと、なんだか自分が強くなったような気がしてそれが2、3日くらい続いてふわふわした気持ちになったりすることが男性にはあると思うのですが、町中華を訪れたあとにもそれに似たものを感じます。たとえ昭和の時代にはまだ幼稚園に通っていたのだとしても、70年代、80年代にちょっと不良を好きになってみたり、売れないフォーク歌手の彼女になってみたり、わずかなお金を握りしめて二人で町中華に行き、銭湯帰りに肩寄せ合う同棲時代……。そんなシチュエーションを疑似体験したかのような気持ちにさせてくれる魔法の箱。町中華は、そんな役割も担っています。
 
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というわけで味はなんでもオッケー! おいしいと普通の中華料理店に行っているような気持ちになり、町中華の持つ昭和の切なさが相殺されてしまうため、むしろ味はイマイチなほうが望ましいともいえます(徳大のようなおいしいお店もそれはそれとしてもちろん素晴らしいのですが)そんなことを思いながら、この餃子を食べ終えました。
 
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前置きが長くなりましたが、なんでしょう、この手洗い場! 席の脇に設置されていました。タイルが可愛すぎます。
 
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由緒正しきまんが雑誌の数々。ここに漫画ゴラクがあればなお良いですね。
 
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そしてなんとこの店は、お酒を頼まなくてもお通しが付くのです!おかあさんの後ろ姿とともにパチリ。甘辛く炒め煮にしたにんじんと、もやしのナムルです。
 
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そしてメニュー表のチェックも怠ってはいけません。やきそばは「やわらかい」「かたい」の2種類がオーダーできるという芸の細かさ。
 
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そして今回はこの画像を載せたいがためにこの店を選んだといっても過言ではありません。おかあさん手作りの、ケースを半分にしたティッシュケース!
中のティッシュも、律儀に半分になっています。
 
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律儀といえばこちらも律儀・実直そのもの! 町中華三種の神器であるオムライスを注文したところ、中央に帯を掛けるかのようにかけられたケチャップの上に、ちょん、ちょんとグリーンピースが置かれていました。なんとも理想的な、このまま図鑑に載せたいくらいのオムライスです。薄焼き玉子ですがパサパサ感はなく、お米の粘り気も町中華度五つ星。お見事!
 
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情報量の多すぎる看板に後ろ髪引かれつつ、夜の高円寺を後にしました。今夜は銭湯、行こっかな。

次週は、北尾隊員のレポートです〜!

 
 
 
-ヒビレポ 2015年4月18日号-

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