MAKE A NOISE! 第57回

メリル・ストリープのお言葉(第1回をご参照下さい)に従い、まだ知れ渡っていない面白い映画をロンドンからMake a noise!
 

キリスト教の人は大変だなあ

 

山口ゆかり
(第16号で「どんなに幸せでも罪悪感と孤独感はぬぐえない」を執筆)
 
 
 
 
 まずは、ベルリン国際映画祭での『I am Michael』会見写真から。

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ジャスティン・ケリー監督&ジェームズ・フランコ
 2015年ベルリン国際映画祭 (撮影:著者)

 
 奥がジャスティン・ケリー監督、手前が主演のジェームズ・フランコ。鮮やかな黄色に黒の衣装で微笑むケリー監督、フランコが髭面にセーターでもっさりなのもあいまって、手前が監督、奥が俳優さん?と勘違いしそう。
 強烈なケリー監督ですが、寅か工事現場なインパクトある装いで会見に臨む気持ち、『I am Michael』を観た後ではわかる気が。
 
 
 
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I am Michael

 
 『I am Michael』はマイケル・グラッツェの実話を基にした映画。グラッツェはゲイであることをやめた人、と言っては語弊があるな。ゲイなライフ・スタイル、男性パートナーと暮らし、ゲイ・マガジンを発行もすれば、LGBTの権利のために活動する、ということを全てやめ、「間違いました。自分はほんとはゲイじゃなかったです」宣言した人。
 
 もちろん非難轟々になったわけですが、この映画はグラッツェを非難することも、称えることもしていません。グラッツェがそうなった経緯を、ジャッジせず、観る者に判断をゆだねます。

 こちらでゲイの人を悩ませる最大事ともいえるのが宗教。グラッツェも、キリストはゲイを受け入れてくださる、受け入れないというのは解釈が間違っている、と当初は言う。それを証明するつもりで、キリスト教の勉強を始める。そのうち、自分の体調の変化を、父の命を奪ったのと同じ心臓関連の症状と疑い、死を意識、ますますキリスト教に傾倒、そして、ゲイじゃなかった宣言、神に仕える者に。天国行きの安心とひきかえに、ゲイをやめたようにも見えます。
 
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I am Michael

 
 アイデンティティ、信仰心、いかに生きるか等々論議のポイントを投げかけてくる映画でしたが、私が一番興味深かったポイントはちょっとズレてます。シリアスなキリスト教徒は本気で死後の心配をする! ちょっと衝撃でした。

 ともかく、そういう人についての映画の後で、ケリー監督はバッチリ装って、自分がゲイであることをより強く主張したかったのでは。

 次回も葛藤の映画です。

 
 
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-ヒビレポ 2015年4月16日号-

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