MAKE A NOISE! 第58回

メリル・ストリープのお言葉(第1回をご参照下さい)に従い、まだ知れ渡っていない面白い映画をロンドンからMake a noise!
 

オネエ言葉

 

山口ゆかり
(第16号で「どんなに幸せでも罪悪感と孤独感はぬぐえない」を執筆)
 
 
 
 
 今回の『Do I Sound Gay? 』はライトなLGBT映画です。「僕の話し方、ゲイみたい?」というタイトルは、デヴィッド・ソープ監督自身の問いかけ。実際、ゲイなんですが、ある時、自分の話し方が気になった。それは、いっしょに暮らしていた彼氏が出て行った後。猫2匹と暮らす40代のシングルに戻り、自分の話し方までダメなんじゃないかと思ってしまう。
 
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デヴィッド・ソープ監督(右) 2015年ロンドンLGBT映画祭 (撮影:著者)

 
 そうして、悩める子羊となった監督と、ゲイみたいな話し方、日本で言えばオネエ言葉ですね、を巡るあれこれを見ていくドキュメンタリー。問いかけに対するみんなの反応、話し方矯正、オネエ言葉の考察という3本柱になってます。

 
 

 
 問いかけへの答えの中に「ゲイみたいだけど、悪いゲイではなく、良いゲイ」というものが。悪いゲイ? 
 映画ではゲイという設定でなくてもオネエ言葉な悪役がよく登場するのだそう。『アラジン』のジャファーとか、『ライオン・キング』のスカーとか、ディズニー・アニメの悪役たちの思いっきりオネエ言葉なシーンに笑いつつ、ウォルト・ディズニーは差別意識の強い人だったという話はホントかもなんて考えたり。

 オネエ言葉は、本人が選択的にそうしているというのも、なるほどと思ったところ。言われてみれば当然で、ゲイがみんなオネエ言葉で話すわけでもないし、見た目や話し方とか表面的なことでは全然わからない人もいます。
 悩んでいるふうの監督にしたって、最初は自分でオネエ言葉にしたのが、矯正しないと直せないくらい身についちゃったのですね。その、オネエ言葉になった時期を、監督本人が覚えていないのに対し、回りの人はくっきり記憶している。故郷を離れるまでは普通の話し方だったのが、休暇で戻って来た時はオネエ言葉になっていたのだそう。
 わりかし淡々とした調子で、その時のことを話す親戚や家族と違って、どうして急にそんなふうに話すのよ!的な強い感情を交えて話していたのが女友達。
 どことなくなよやかで恥ずかしげに微笑んでいたりする子供時代の写真を見ても、監督がゲイであろうことは、みんなわかっていたのでは。わかっているのに、何故、今さら駄目押しみたいに、そんな話し方をするの?友達じゃないの!という怒りみたいなものでしょうか。
 
 そのあたりの心理をもっと追求したり、悪役のオネエ言葉と差別意識みたいなものを検証しても良かった気がしますが、自分の過去を振り返りつつ、人と会って話していくことで、通い始めた話し方矯正もやめるくらいに、監督は自信を取り戻したらしいので、めでたし、めでたし。
 
 
 悪役に仕立てたとは言え、存在を認めることはしてきたショービズ界ですが、次回は、その存在さえ無いことにしてきたスポーツ界の映画です。

 
 
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-ヒビレポ 2015年4月23日号-

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