半澤と12人の優しい既婚者 第5回

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2009年5月、府中に行ったっけ

 
半澤則吉(18号で「病人」を執筆)

 
 
 
優しい既婚者4人目
高松夫妻
夫32歳 妻31歳
結婚6年目 子供1人(2歳)女児

 
【僕はあの日3連複を当てたけど赤字だった】

 〝あの頃〟に戻れるならばどうしたい? 去年の暮れの中山へ行く
とは僕が昔詠んだ短歌。シチュエーションは恋人間の会話で好きな時に戻れるならばどうする? という彼女からのかわいらしい問いに、レース結果をわかったうえで過去(暮れの中山なのでここでは有馬記念)に戻りたいというやりとりを歌にしたためた。僕のダメ男っぷりと歌心のなさをよく表した作でけっこう気に入っている。それでも今、僕が思い出していたのは昨年の有馬ではなくて、2009年のオークスだ。
 定石通り、後方からの競馬とはいえ4角曲がった時点では馬群の中。しかもシンガリから2頭目、先頭のはるか後ろにいたブエナビスタは東京の長い直線を気持ち良く駆け、ゴール板手前でレッドディザイアを見事差し切った。あれからもう6年が経過している。僕はあの日ゴール板前からレースを眺めていた・・・・・・。
 

 なんだよ半澤、前回と同じ手口でスポーツネタかよ。序文なげーよ! そんな罵声が聞こえてくるが、思い出さずにはいられない。正にあのオークス前日、僕は結婚式二次会にお呼ばれしていた。そう、今回の「優しい既婚者」高松夫妻のパーティだ。明日オークス行くんだ、と友人に自慢したのをよく覚えている(誰もそんなこと覚えていないだろうけど)。
 それにしても盛大な式だった。過去僕が参加したパーティと名のつくものでもっとも列席者が多かったと言っても過言じゃない。
 新婦あやかちゃんは中学校の同級生で、ここで写真をお出しできないのが残念なほどにかわいい方で、かつ聡明、国立にある大学に現役で入った才女。どれどれ、どんな男と結婚しやがったんだ、と半分涙目で見に行ったわけだけど、旦那様は男前でしかも大学の先輩とケチのつけようのないお相手。もう寿ぐしかなかった。
 前回登場した既婚者、S夫妻がこのあやかちゃんの友達ということで、テレホンショッキングの要領で今回オファー。旦那様の仕事の都合でシンガポール在中という彼女にメールで連絡をとってみた。
 
【とても言えない「面倒みるよ」】

 まずお二人の結婚について。学生時代から交際5年。結婚は互いに就職してからだった。遠距離恋愛中、仕事に悩んでいた彼女に「そんなにしんどいなら、辞めたら? 君が辞めても何とかなる、面倒みるよ」と旦那様が優しい言葉をかけた。これで彼女は結婚の二文字を意識したそう。俺も言ってみてえーな「面倒みるよ」。僕に今かわいい彼女がいたとしてこのセリフが言えるかどうか。一瞬夢想するがちょっと無理だな。愛されるよりも愛したい(©Kinki Kids)とは思うが、面倒はみるよりみられたい、「マッジでー?」なのである。
 また他にも結婚を後押ししたことがあったそう。あやかちゃんの上司が「結婚を考えてるなら、早く話を進めちゃってよ。東京転勤考えてあげるから〜」と気を遣ってくれたのだ。そういうことも含め運命ではあるよね。既婚者の方にいろいろお話を聞いていると、「運命」というちょっとスピリチュアルなワードが、実は輪郭を持ったはっきりしたものだということを思い知らされる。
 
【もう彼女は迷ってなどいないんだろう】

 んで、現在は旦那様がシンガポールに勤務される都合で、一家は日本を離れている。小さい子どもを抱えながら海外で暮らすのはさぞ大変だろう。そう思って海外住まいについて質問してみたが、彼女の答えは意外なものだった。カルチャーショックや四季のない寂しさはあるものの、暮らしやすい国で問題ないのだそう。何より、お子さんのインターナショナル感が半端ない。
「娘の遊び友達はみんな髪や肌の色は様々」
 日本ではそんなこと、なかなかあり得んな。外国でも素敵な人生を送ってらっしゃるようだ。
 高校2年位のときかな、あやかちゃんが言っていた言葉を僕は今も覚えている。(そんなことを僕に言ったことを当人もお忘れでしょうが)
「医学部or法学部どっちにするか迷ってて……」
 当時もすげーなあ、と思ったが今考えてもすごい悩みだ。でも、もう彼女は迷ってなどいないんだろうな。と、なんだか勝手にそんなことを思った。そら日常で大変なことはいくらでもあるんだろうけど、彼女から返ってきた言葉を読んでいると、生きる道がしっかり見えているように思え、うれしかった。聞けば彼女のお腹には2人目の赤ちゃんが。つうかこれが公開される頃はもしかしたら出産後かも。よい子が生まれることを心より願っております。
 
【架空の僕の脳内彼女】

 最後に半澤へのアドバイスをいただいた。
「気付かないだけで、意外と既に出会っているのかも!?」
 正直、リアクションに困るコメント。うーん、と唸るほかない半澤の運命はいかに。次週に続く(次週に続くも運命は多分決まらないです)。
〝あの頃〟に戻れるならばどうしたい?
 架空の僕の脳内彼女(この言葉、人としてなんかダメだな。日本語としてもおかしいな)がまたつぶやく。「暮れの中山」以外にも行きたいところは、いくらかあるなあ。
 

【今回のまとめ】
競馬の話など、あやかさんに似合わない話をして本当すいませんでした。
 
ph1

シンガポールっぽい写真を送ってもらいました。マーライオンよりこっちの方がいい

 

 
 
 
-ヒビレポ 2015年4月29日号-

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