私とタカラヅカの日々 第4回

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タカラジェンヌのヒゲと黒塗り

 
高橋ユキ
(第17号で「ヤラセ騒動に巻き込まれてしまいました。」を執筆)
 
 
 
(これまでのあらすじ)昨年の正月に友人宅で見せてもらった宝塚に興味を持ち観劇。ちょっとハマり宝塚専門チャンネルを契約したが息子(2歳8ヶ月)の妨害に遭いなかなか視聴できない。
 
 
 いや〜。。。でも正直言って、昨年ナポレオンを見に行った前後ぐらいのころ、自分はそこまでタカラヅカにむちゃくちゃハマってるって感じでもなかったような気もします。なんといっても星組しか知りませんでしたし…。5月に見に行った「太陽王」(@シアターオーブ)は始まってすぐだったせいか、なんかすごい微妙な出来映えに感じられ、あれ…?とか思ったりしていました。しかしそんな私をどんどんタカラヅカにハマらせてくれた?のはやはり元ヅカオタの、愛に溢れた友人Mでした。遊びに行くと本当に色々と昔の舞台のDVDを見せてくれるうえに、歴史やタカラヅカの掟など番組観ながら色々解説してくれるんですよ…! ある日は「これ面白いんだよ〜〜」とニヤニヤしながら『相棒』(2010年花組。言わずと知れた水谷豊主演のドラマが原作)を見せてくれたり、ある日は「ベルばらは昔の方が良いんだよね〜〜」と言いながら、タカラヅカのキラーコンテンツ『ベルサイユのばら』、それもかなり昔のバージョンでもう誰が出てたかも私には覚えられないようなものを見せてくれたり、「これは安蘭けいがヒゲつけて出るって聞いて速攻梅田まで見に行ったんだよね〜」と言いながら『コパカバーナ』(2006年星組・梅田芸術劇場)を見せてくれたり…。てか『ヒゲ姿の安蘭けいを見るために梅田まで行った』って聞いて、えっ!?と最初は思ったんです、私も。ちょっと笑いましたからね。ヒゲに往復3万円ですよ。でもDVDを見て、友人を笑えなくなりました。安蘭けいのヒゲ姿はマジでかっこよかったんです。ヤクザみたいなスーツ(出所者の役なんでチョイ悪風)にヒゲで酒飲んでるシーンを見て、かっこいい〜〜!と声が出ました。現在の安蘭けいさんにヒゲがないのが不自然な気がしてくるほどです。このヒゲ姿が格好良すぎたせいか、それ以降は、私も舞台を見る時にヒゲ姿のジェンヌさんに注目してしまうようになりました。ヒゲが似合うジェンヌさんは最高です。この舞台は私の好きな柚希礼音さんが所属している星組が2006年にやった舞台で、柚希さんの2つ前のトップ、湖月わたるさんと、1つ前のトップ、ヒゲの似合う安蘭けいさんが出ていたものでしたがむちゃくちゃ陽気な舞台でかなり面白かったです。壮大な夢オチみたいなラストにもただただ驚愕。っていうか、ヒゲのために大阪に行く友人を笑っていた私も、まあ確かにコロシの裁判のために新幹線で大阪に行くし…と、だいぶ経ってからそんなことに気づきました。これだけのために新幹線で遠方まで行く!という「これ」は、人それぞれの価値観であって、他人から見たらプッと思えるようなことでも自分にとっては何にも代え難いものなんですよね…。


 
 あと当時、私がますますタカラヅカに興味を持ったのは、昨年5月にNHKで放送された「宝塚トップ伝説 〜熱狂の100年〜」を観てしまったのもあるかと思います。常々申しております通り、宝塚歌劇団は昨年100周年を迎えたため色々と豪華だったんですが、そのため?に地上派でもこんな法曹…じゃなくて放送があったのです。

 いまはDVDになってます。必見です! これは当時のトップさん5人に密着し、舞台の裏側に迫ったというタカラヅカとしてはけっこうレアな番組のようでした。といってもなぜか月組トップ龍真咲さんへの密着度が足りていない気もしますが…。
 番組紹介には「その根幹に位置づけられ、熱狂的ファンを獲得する原動力となってきたのが“男役トップスター”のシステムである。常に舞台の主役を演じ、誰よりもキラキラの衣装、ひときわ大きな羽根を背負う独特のスタイル、ピラミッド組織の頂点に君臨しながら、必ず人気絶頂の中で「卒業」する制度…。ファン以外には不思議な存在にも映る、花・月・雪・星・宙の5組5人のトップスターへの同時密着取材を通して、その知られざる世界へといざなう。」とありましたが完全にいざなわれました。番組冒頭が、トップオブトップといわれる柚希さんの年始の入りの映像で、揃いのグッズを身に付けびっくりするぐらいきちんと整列したファンの方々(中年〜老年女性)が、小学校の卒業式のごとく、皆で声を合わせて歌を歌ったり「せーの!」の号令で何か挨拶したりしていたりするのです。女による、女だけの統率の取れた世界に衝撃と感動を受けました。こんなキチッとしたファンの姿みたことないです。このファンの姿に私は100年の歴史を垣間みた思いでありました。また最高の舞台を作るために努力を続けるトップさんたちのストイックな姿にも胸を打たれます。わたしはこの番組は録画していて今でも時折眺めたりしています。またトップスターと退団の関係についても色々と勉強になりました。確かにジェンヌさんの名前をGoogle検索すると例えばさっきの龍真咲さんだったら「龍真咲 退団」とか推測検索としてトップに出てきたりするのです。トップになれば近い将来卒業する、というのは既定路線でファンはその時期をあれこれと推察しヤキモキするようであります。

 と、そんな感じでちょっとしたタカラヅカ好きになりかけていたある8月の日、友人Mからメールが届きました。「礼音、退団するってよ」朝井リョウの小説のタイトルのようなメールの文面ですが、そう、それは柚希さんが2015年5月をもって退団することを発表したという知らせだったのです…。信じたくないのであわててニュースサイトをチェックしたところ本当でした。先のNHKの番組でもトップスターと退団についての関係を学んでいたことと、柚希さんはトップとして長く君臨されていたとあったので(2009年から)、友人Mの家に遊びに行くと「そろそろ退団すると思うんだよね〜」など言われていたため、ある程度、あぁこのときが来たか…ぐらいには思いましたが、それにしてもタカラヅカを知ったばかりで翌年には退団なんて…もっと早くハマっとけばよかった…とそんな後悔もしたりしました。しかし、退団は今年5月。宝塚歌劇団星組トップとして柚希さんを観れる期間は限られました。そして私は、ここから時間の許す限り観劇に通い始めるのであります…。

 まずは昨年9月から東京宝塚劇場で公演が行われた「The Lost Glory 〜美しき幻影〜」と、ラテン・グルーヴ「パッショネイト宝塚!」の二本立て。そういえばタカラヅカといえば宝塚市でしか観れないという印象もあるかと思いますがそんなことはなく、舞台は宝塚市「宝塚大劇場」で一定期間公演が行われたのち、東京・日比谷にある「東京宝塚劇場」でまた一定期間…という流れが一般的です(ほかにも色々と会場はあったりします)。実は柚希さんの星組公演以外にも昨年7月、友人Mに声をかけてもらい東京宝塚劇場に宙組公演「ベルサイユのばら —オスカル編—」を観に行っていたんですが、東京宝塚劇場の会場内には、これからの公演のポスターやチラシが色々な場所に置かれていて、そこで今後の公演予定などをチェックしたりもできるんです。ベルばらの休憩中にそんなポスターやチラシを友人Mと一緒に眺めているとこの「The Lost Glory」のポスターが貼られていて「これオススメだと思う。ユキちゃんこのショーも好きだと思うよ」と言ってきました。目の肥えた友人Mがオススメしてくるというのはかなり期待が高まりますが、確かに観に行ってみると最高で、私の短い観劇歴の中で最も好きな舞台となりました。なんといってもラテン・グルーヴ「パッショネイト宝塚!」が素晴らしかったです。私はジェンヌさんの扮装の中では黒塗りラテン系のものが大好きで、友人M宅で「おとめ」を眺めているときもついついラテンの衣装を身にまとったジェンヌさんに注目してしまっていて、かっこいいねぇ〜最高だねぇ〜などとつぶやいていたので、それを覚えてくれていてオススメしてくれたのだと思います。黒すぎじゃねーの?っつ〜ぐらい黒塗りのジェンヌさんたちが踊り狂う陽気きわまりないショーなのですが毎回観に行くたびにうっとりさせられました。ダンスに定評のある柚希さんの本領発揮という感じです。裸足で踊りまくるカポエイラも圧巻。そして衣装も最高。どんだけすごい衣装だったかというのは「パッショネイト宝塚」で画像検索すると一杯出てくるのでぜひ見てみていただきたいです。この記事でもショーの衣装を身にまとい囲み取材に応じている柚希さんの写真が掲載されていますが本当に黒くてギラギラしていてかっこいいです。こんな衣装で囲み取材だなんて…かっこよすぎて言葉も出ません。私も仕事と称してその場に居合わせたかったです!こういう黒塗りのメイクに華やかな色合いの衣装は、なぜだか分からないんですがものすごい好きで、ラテンのショーだと膝から下がパンタロンの進化形みたいにすごいボリュームの衣装を着ていたりするんですけど、これが特にたまらなかったです。「The Lost Glory」では寡黙な悪役を演じておられましたがまたそれとのギャップも良い。こちらは専科(ざっくりした説明ですが、タカラヅカには退団をしないで長年舞台に出続けるジェンヌさんたちがいます。主人公を支える役どころなど演じることが多く、すごい安定感で脇を固めてます)の轟悠さんも堪能できました。轟さんの舞台は1996年の「エリザベート」を友人Mから見せてもらっていましたが、これまたヒゲがよくお似合いで、暗殺者という特異な役を完全に自分のものにしていて衝撃をうけたものです。舞台では男にしかみえませんでした。

 そんなこんなで、この舞台を観た帰りはもう気持ちがたかぶりまくって、タカラヅカ好きならば誰もが行く店「キャトルレーヴ」での鬼買いも毎度の事となりました。「キャトルレーヴ」とは東京だと東京宝塚劇場の目の前の日比谷シャンテ地下1階にある宝塚グッズ専門店で、これまでの舞台のDVDやら、ジェンヌさんたちのブロマイドやら、「おとめ」など関連書籍がバックナンバーまでずらりと揃っています。ここでDVDを買い、ブロマイドを買い、クリアファイルを買い、どでかい写真パネルを買い…と、私の部屋にはキャトルレーヴのビニール袋が日に日に増えていきました。殺人事件関連書籍を並べている本棚の一角に宝塚コーナーができてしまい、そこがもういっぱいです。

 出待ちデビューもこのときです。舞台後にそんな感じでキャトルを物色して、さて帰ろうと地上に出ると、シャンテと東京宝塚劇場の前の道、両サイドにずらっと揃いのストールやらジャンパーやらを身に着けた女性たちが並んでいたりします。NHKの番組で観た光景と似ているうえ、出待ち・入り待ちはバンギャ時代にライブ会場なんかで知り合った仲間と一緒にやったこともあるので、見ればすぐにこの行列が出待ちであることは分かります。揃いのアイテムを身につけたおそらくファンクラブの方々はガッチリ整列して座っていますが、後ろの方にはパラパラと、それとは違うとおぼしき人たちも並んでスマホなんかをいじっています。どれどれ、と、ちょっと知った感じで「柚希さんってもう出られました?」とか聞いてみると「まだです」とのこと。よ〜し、せっかくだから待ってみよう。と待つ事30分…けっこう待ちましたがこんなものは傍聴券交付裁判で並びまくった私にとっては屁でもありません。しばらくすると東京宝塚劇場の正面入口脇にある小さな出入り口から柚希さんが出てきました!ハァ〜〜〜オフの姿もステキ〜〜!明日も早いから早く寝て下さいね〜!(←余計なお世話)もう完全にただのファンです。列の後ろから眺めるだけ眺めてウットリとしながら帰ってきました。

 あとタカラヅカ観劇のためのチケットは、普通にイープラスなんかでも販売されるのですが、私はこれらの手段でまだ買えたことがありません。ほかのライブチケットであればだいたい当たる、先行販売の抽選でも当たった事がないのです。やむなくヤフオクやらその他チケット売買サイトで買う事になるのですが、そこで買って行った日がたまたま「貸切公演」でした。貸切公演ってタカラヅカの公演中に何日か入っているので何だろうと思って調べてみたところ、その名の通り企業がその日貸し切って、チケットを関係者に配ったり抽選でプレゼントしたりとそんな具合の公演のようです(知恵袋に色々解説があります)。この貸切公演の日の観劇は、企業からのプレゼントがもらえたりサイン色紙の抽選があったりと、なにやら盛りだくさんで、なんと私は柚希さんのサイン色紙が当たってしまいました!!!!!
 
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 日頃運の悪い私ですが、こんな幸運が巡ってくるとは!!!!!!!

 そんなこともあって、この「The Lost Glory 〜美しき幻影〜」「パッショネイト宝塚!」はとっても思い出深い舞台となったのでありました。相手役の夢咲ねねさんとのダンスで、ふたりがおでこをコツンとして数秒止まるみたいな場面があるんですが、私は毎回そこで泣きました。

 
 
 
-ヒビレポ 2015年5月5日号-

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