レポは日暮れて 第6回

kitao
レポと金の話

 
北尾トロ
(えのきどいちろう&北尾トロの交互連載)
 
 
 
 本誌連載の「あけすけなるレポの話」では、レポの財政についても書くようにしています。雑誌作るのにどれくらいかかって、どれくらい回収できるのかってのはあまり公にされないことなので、そういう話も雑誌やりたい人とかの参考になるんじゃないかと思って。

 ということで今回は金の話をしようと思うのだけれど、もはやぼくにもその全貌はつかめなくなってて、ざっくりした数字しか出せなくてすんません。レポを作るのにかかる経費は、原稿料、印刷費、編集費、デザイン費、発送費がおもなところ。このうち編集費とデザイン費は毎号同じであります。あとは部数で増減もありますが、印刷費は創刊前に4社から見積もりをとったので、わかっていたわけです。


 
 原稿料は当初、1ページ1万円。自分が書くページや目次などを除くと65〜70万円ってとこです。ここまでのトータルで130万円とかかなあ。うわ、かかるもんだと思ったけどしょうがない。2千部作って完売したら大丈夫でしょと考え、ちょっと高いけど千円の定価をつけた。
 資金は、年間購読者を募って先払いしてもらい、その間に読者を伸ばそうと。見積もりめっちゃ甘いです。創刊前の申し込みは700名くらい、消費税込みで300万円というところ。一部売りなどを加えると3号までの資金はできた。2号目以降からの年間申込者もいるし、イベント販売、一部書店への卸し(買い切り)で、なんとかまかなえるんじゃないかと。いや全然根拠はないです。マーケとか何もないんで。

 そういう計算がきっちりできていたら、紙の雑誌は創刊しなかったんじゃないかなあ。知人たちが「雑誌はもうからないよ」と言うのは経済的には正しくて、そもそも2千部完売でトントンのビジネスモデルはあり得ないみたいなんだ。
 いまでは笑い話だけど、発送費がかかることを思い出し、計算して青ざめたのって創刊後だもん。この時点で完売でも赤字決定っす。もう、通帳の残高がおもしろいように減っていった。しかも2年目に入るとき、創刊号からの年間購読者が期待したほど更新してくれない。あのときは凹んだ凹んだ。資金不足で撤退となったら悔しいし情けない。

 副編のヒラカツ(平野勝敏)と創刊前に話していたのは「短ければ1年で終わるね」だったんだけど、それが現実味を帯びてきた。5号目を出し、ぼくは考えたですよ。存続させるためには原稿料を下げるしかない。苦戦してることなんて、発送作業にきてくれる執筆者には丸わかりだっただろうけど。やっぱり見栄張ってたかなあ。
 6号から原稿料を半額にしてもらい、誌面の見直しもすることに。それまで特集記事はやっていなかったんだけど、7号から組むことにした。あたりまえだけど特集があると雑誌らしくなる。ぼくは特集がなくても、毎号鮮度の高い書き手が新登場し、短期連載が入れ代わり立ち代わり始めれば誌面が持つのだ、なーんてのほほんと考えていたけど無理だった。

 原稿料半額で年間120万円ほど節約でき、ホッと一息。トントンのペースでこらえているうちに、12号からスポンサーがついて、資金ショートで廃刊する心配をしなくてもよくなった、というのがここまでの流れです。前半が赤字、中盤がトントン、後半が黒字。ぼくにわかるのはそれだけで、トータルがどうなのかは計算したことない。寺山修司が馬券の収支を「年間でプラスですか、マイナスですか」尋ねられたとき、「あなたの人生はトータルで泣いてますか、笑ってますか」と返したように、金の値打ちはそのときどきで違ってくるのです。レポは倒れずに済むツキを持ってたみたい。倒れずに済むような読者の支えと、執筆陣の協力と、奇特なスポンサーに恵まれて。

 それで、これも度々言うことだけれど、レポは創刊以来、売れないこと以外は絶好調な雑誌なんだよね。自然発生した発送作業という”場”を中心に、とくに震災後、いろんなことが始まったというか。TBSラジオ『水曜Wanted!!』は、えのきどいちろう個人にきた仕事だけど、どんどん執筆陣が出演して不思議なことになってった。執筆者のコエヌマカズユキは新宿ゴールデン街にバー『月に吠える』を出し、そこに書き手が集まったり。

 そこら辺は雑誌のレポよりレポTVの果たした役割が大きかった。もやっとしてた考えが喋ることで具体化する。なんといっても毎週だからスピード感がある。山田うどん再評価運動も番組内で急に始まったことだし。2011年の秋でしたよ。それから3年半で本を2冊作り、仕事で人に会うと「ああ、山田うどんの」なんて言われるようになってる。「ああ、山田うどんの」と言われて「そうっす」と答えてて、そういうのがおもしろいと思うんだ。
 
 
 
似顔イラスト/日高トモキチ
 
 
 
-ヒビレポ 2015年5月10日号-

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