私とタカラヅカの日々 第7回

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涙、涙のラスト公演

 
高橋ユキ
(第17号で「ヤラセ騒動に巻き込まれてしまいました。」を執筆)
 
 
 
 結局、5月10日に東京宝塚劇場で千秋楽をむかえた柚希礼音さんのラスト公演「黒豹の如く」「Dear DIAMOND!」をわたしは5回も見に行ってしまいました。ラストデイのライブビューイング(ラストの日は全国および台湾の映画館でライブビューイングが開催されたのです! これも追って…)を合わせると6回です。。。しかし、宝塚ファンにとってこれはまったく珍しい事ではないようです。ひそかにツイッターなどでファンの方々の発信する情報を見ていると、一体何回見に行ってんの!? と驚くほど、劇場に足を運んでいる方もいらっしゃいます。毎日裁判の傍聴に通うのはタダみたいなものですが、観劇はそうはいきません。世の中には想像を超えるお金持ちがいるようです。ただ、好きなら同じ演目を一度観るだけじゃ全然物足りない、ということは身をもって感じました。
 
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 タカラヅカのお芝居は基本、オペラグラスを持って観劇するかたがとっても多いです。私もそうしています。で、最初の一回目とかはご贔屓のジェンヌさんが出てくるとパッとオペラグラスを装着したり、または大好きなトップさんの表情をオペラグラスで必死こいて追っかけていると、オペラグラス以外の世界で何が起こっているのかを見逃します。夢中になっていてパッとオペラグラスを外すと、酒場のシーンから船の上のシーンに変わっている…のはよくあることです。二度目はそれも見逃すまいと、オペラグラスなしで全体像を観ながら、ときおりオペラグラスを装着します。三度目は、どの演者さんがどのへんで登場するか大体分かって来るので、好きとはいかないまでも気になるジェンヌさんが出たときにパッとオペラグラスを装着し…など、きりがないのであります。あと、たまにアドリブが入ったり、毎回間の手が変わる歌があったりして、毎日見に行っても飽きない工夫がこらされていたりもするのです。

 そしてタカラヅカのお芝居は基本、ミュージカル仕立てなので、芝居していると思ったらいきなり歌って踊ったりしはじめます。わたしは、これまで演劇やらミュージカルやらを敬遠していました。小学校時代に、体育館で無理矢理見せられたお芝居とかが全然面白くなかったり、体育館の横に停まっていた劇団のトラックから見える小道具がみすぼらしかったりして、なんか胸がざわつくというか、それに、子供時代はやたらと前向きなお芝居を(もはやタイトルは覚えてませんが)見せられたりするので、反抗的だった自分は、こんなつまんねーもの見せやがって…子供が喜ぶと思ってんのか? ぐらいに思っていた記憶があります。それがまあ、大人になって、っていうか30代も終わろうとするときに初めて観たタカラヅカ、さすがにいきなり踊り出したのを最初に目の当たりにしたときは少し笑っちゃったんですが、じっと見ているとだんだんそれにハマっていき、もっと踊って歌って〜〜!とか思うようになるのだから不思議です。そして、これでもか、ってぐらいコテコテピカピカの衣装も、このタカラヅカという世界にピッタリ。完全に日常と別世界です。宝塚歌劇団にはお衣装部という部署?があり、そこですべて作られているという噂です。

 さて「黒豹の如く」、スペインの海賊、黒豹と呼ばれたソルの子孫で海軍大佐アントニオ・デ・オダリスを演じられた柚希さんももちろんですが、オダリス大佐の叔父役、専科の英真なおきさんがとにかく最高でした。一にも二にもヒゲが似合いすぎです。このお二人が酒を飲みながらいきなり踊って歌い出すシーンがあるのですが私はそこが大好きでした。ラストはオダリス大佐がひとり、任務を果たすために旅立つというもので、トップスターの卒業を彷彿とさせます。相手役の夢咲ねねさんはダンスしながらたまに泣いているのでこちらももらい泣きしました。

「Dear DIAMOND!」は、暗転ののちの銀橋中央からの柚希さんサプライズ登場でスタートするので会場は大盛り上がり。全編通して、トップの卒業公演に全力で挑むという星組の皆さんの気合いが感じられて涙なしには見れませんでした。最初に大勢で踊りまくるリベルタンゴがお気に入りです。柚希さんがねねさんを抱き上げて超高速回転するところではその回転でスモークが飛んでいくほどで、つくづくジェンヌさんの体力に感服。昼公演と夜公演、1日2回やる日もあるから本当にすごいです。どんな食生活を送っているのか、体力維持の秘訣は何か、とっても気になっています。参考にしたいです…。

 わたしが最後に観劇したのは4月23日。千秋楽よりもだいぶ前でしたが、もうこれ以降のチケットは高騰しておりとてもじゃないけど手に入れる事ができませんでした。この日が、私が生で男役の柚希さんを見る事ができる最後なのだ…と思うとこれまた泣けてきまして当日は困ったものでした。そういえば今回いちどだけ、SS席で観劇する事ができましたが、柚希さんはまぶしすぎて正視できませんでした…。「Dear DIAMOND!」で、ご自身が作詞された歌を歌われるんですけど、正直、感謝とか愛とかそういうことを歌われるのは大嫌いな性分の自分が、そんな内容の歌に泣きましたから、これは異常な事態ですよね。タカラヅカマジックでしょうか。

 ある日の観劇前の入り待ちでたまたまおしゃべりした推定60代くらいの女性は「男の人が出るお芝居も見に行くけど、やっぱり違うのよ、現実を見たいんじゃなくて夢を見たいのよね〜」としみじみおっしゃっておられました。そうなんです、わたしもつかの間の夢を見たいのです。

 次回はラストデイの様子を!

 
 
 
-ヒビレポ 2015年5月26日号-

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