レッツゴー!町中華探検隊 第7回

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ちんまん紀行

 
増山かおり
(北尾トロ→下関マグロ→増山かおりの輪番連載)

 
 
 
「町中華の店名が気になりますよね!」町中華探検隊加入前夜に、マグロ隊員とそんな話をした覚えがある。
マグロ隊員は、前回のレポートで「珍萬」のことを書かれていた。初めてマグロ隊員にお会いしたときに飛び出した店名の中にも、「珍萬」はあった。わたしも、街を歩いているときに何度も「珍満」という店名を見かけるたび「なぜこんな、女性が呼びづらいような店名にしてしまったんだろう……」と思っていた。ここ数ヶ月でにわかに活発になった町中華活動を受け、すっかり珍メニューのほうに気を取られていたが、マグロ隊員の記事を見て、そうだ、珍満蒐集のことを忘れていた! と思い出した。急にいても立ってもいられなくなり、「わたしを珍満、珍萬、あるいは萬珍などを訪問・研究する班長にしていただけませんでしょうか?」と名乗り出てしまった。すると「音を重視して“ちんまん班長”にしましょう!」とのお言葉をマグロ隊員から頂戴し、晴れてちんまん班長としてのデビューを飾ることになったのだ。

ちんまん班長としての任務は、まずちんまんリストを作成すること。店の内容はともかく、とにかく店名が「珍満」あるいはそれを思わせる店名を持つ店の情報を集め、Excelに情報を入力しデータ収集していくのだ。さらに、訪問した店にはその旨書き込んでいく。アナログな団体のように見えて、実はIT班長であるマグロ隊員指導のもと、トロ隊長によるFacebook管理や、半澤隊員による過去訪問店のデータ整理など、デジタルを活用した活動も行われているのが町中華探検隊なのだ!

さて、前回のマグロ隊員に引き続き、今回も珍店名の店めぐりということで、珍満訪問を考えたのだが、「どこまでが町中華か?」問題と同様「どこまでがちんまん班長のリサーチ範囲なのか?」を考えるために、中野坂上「珍宝」に行って参りました。
 
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みなさん、この店名を頭の中でなんと発音しましたか? わたしは “CHING-POU”と読んでいました。みなさんもおそらくそうだったのでは。誰に教わったわけでもないのですが、自然とわきあがるように、この読み方が浮かびました。さて、正解は……?
 
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「チンホウ」です!

 
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ネット情報には昼の営業マークしか書かれていなかったことに電車の中で気づいたため、半ばあきらめて、せめて看板だけでも撮ってこよう……トホホ、などと思いながら上陸したのですが、まさかの営業中! 暗闇の中にぼうっと浮かび上がり光り輝くその姿は、まさに珍しい宝。さて、そのドアを開けてみましょう!

店内は思いのほか広いです。メニューはなかなか豊富で、なんと珍宝飯というメニューがあるではありませんか! 下には麻婆丼と書かれていますが、名前が名前だけに、なにかすさまじい仕掛けを想像してしまいます。さすがに、名前を読んで尋ねるのははばかられ(このときはまだ、外の看板にカナがふられているのに気づかず誤解したままでした)、指差しながら尋ねました。
 
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「あのー、コレって普通の麻婆丼ですか?」
「そうですよ、麻婆ライスのほうは定食みたいになってます」
すずやかでキレイなママさんがそう答えました。意外と普通だな、じゃ、いつものようにオムライスを頼もう。そう思ったら、「タテギラーメン」という見慣れぬ名が。
「コレはなんですか?」
「塩味のスープに唐辛子を練ったタテギっていう調味料が入っていて、ピリ辛の麺です」
ちんまん班長としての活動以外にも、自主的にオムライス・餃子・珍メニュー担当として活動しているので、これは頼んでみなければ、と思いました。こんなこともあろうかと、昼はほぼ食べずにガマンしていたのです。
「じゃあ、オムライスとタテギラーメン、ちょっと少なめにしてもらってもいいでしょうか?」
とお願いしたところ、笑顔で快く引き受けていただけました!

待ち時間、一人で訪れたご夫人が、離れたテーブルに着席。東海林さだおさんのエッセイの挿絵に出てくるような、典型的な中高年のおばちゃんです。こちらに背を向けて週刊誌を読んでおり、その記事には高倉健、山口組、という文字がチラと見えました。いつのまにか冷酒を頼んでおり、それをチビチビとやりながら無言で飲んでいます。そういえば西荻の町中華「丸幸」でも、一人でお酒を飲みに来る女性が多いと聞いた気がします。
 
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さてさて、念願のオムライスがやってきました! なんと意外にも、町中華の定番薄焼き卵ではなく、ふわとろ系です! 具は一見グリーンピースだけのように見えましたが、あとから鶏肉も顔をのぞかせました。ごはんはこれまた町中華では異例の、粒がしっかり立ったごはんです。そしてさらに異例なのが、玉子からほんのりバターのような香りがしたこと!

これはちんまんの範囲以上に大切なことかもしれません。このオムライス、味は完全に洋食屋さんのオムライスです。マカロニとキャベツのサラダもついてきました。ところが、スープが例のラーメンスープなのです。そして器も中華の器。人が着るものによって姿を変えるように、オムライスは器やスープのパッケージ次第でガラリとその姿を変える。そのことにハッと気づかされたのでした。町中華のふわとろはいかんと決めつけていましたが、いいじゃないですか! これはウマイ!
 
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さて、ついにやってきましたタテギラーメン!
食べてみると、具にはほぼ味付けされておらずかなりヘルシーな印象です。スープをすすってみると、これまたかなりの薄味。そのままスープとして飲んでもやや薄めかも、と思うくらいです。
 
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レンゲの先が特殊な形状をしていたので、2本並べて撮ってみました。

肝心のタテギとはどこの調味料なのかを聞いてみましたところ、近所の韓国料理の店だか知り合いの韓国の人に食べさせてもらって気に入りメニューに加えたとのこと。この話を勢いに、しばらくなごやかに談笑。お店の奥には宝仙寺という大きなお寺があり、よく芸能人のお葬式があるそうなのですが、そのとき見かけた某女性歌手がテレビで見るより相当細く、「カリカリだったのよ〜」というありがたいお言葉を頂戴しました。さらに、店内のテレビでは「ファイト、一発!」というCMの音も流れたりで、どうしてもすべてがそっち方面に聞こえてしまうのは致し方ないところでしょうか……。

 
 
 
-ヒビレポ 2015年5月30日号-

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