MAKE A NOISE! 第64回

メリル・ストリープのお言葉(第1回をご参照下さい)に従い、まだ知れ渡っていない面白い映画をロンドンからMake a noise!
 

長髪と髭でカッコ良さげ

 

山口ゆかり
(第16号で「どんなに幸せでも罪悪感と孤独感はぬぐえない」を執筆)
 
 
 
 
 キット・ハリントンがカッコ良さげなのは長髪と髭です。その発見をわかちあいたいだけなので、長髪、髭ハリントンと短髪、髭無しハリントンの写真を並べれば済むのですが、1行で終わるわけにもいかないので発見までのいきさつなどを。
 若手注目株が複数出てる『Testament of Youth』を観たのですが、試写中に認識できたのは約1名でした。 
 

『Testament of Youth』で唯一認識できた若手というのは、主人公のアリシア・ヴィキャンデル。このところ主演作続々の売れっ子ですが、癖の無い美女なので、かえって記憶に残りづらい気もします。私は『A Royal Affair』から名前と顔が一致するようになりました。
 
 
 

 
 脱線しますが、『A Royal Affair』ではマッツ・ミケルセンも良かった。実話を基にした映画で、アリシアが演じるのはデンマーク王妃キャロライン。イギリス王室から嫁ぐも、夫となったクリスチャン7世は精神疾患で、夫婦関係も築けない。そこに現れるのがミケルセンで、クリスチャンの主治医となるヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセというドイツ人のお医者さんです。健康管理以外でも王室を助けるようになっていくヨハンは、キャロラインにとっても良き相談相手、やがて恋仲になり…というお話。『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』としてDVDが出てます。

『007カジノ・ロワイヤル』の悪役で一躍有名になったミケルセン、悪役では怖さとなる底知れない雰囲気が、ヨハンでは人に親しまれないような雰囲気として効いてます。このヨハンという人、王を裏切ったことでは悪者ですが、当時のデンマークにはびこっていた賄賂や拷問を禁止したり、医療設備を増やしたり、けっこう良いこともいっぱいしてるんですよ。でも、ドイツ人医師とイギリス人王妃はデンマーク国民から糾弾され、悲劇的な結末を迎えてしまう。もし同国民であったら、もし親しみやすい人柄で国民からの人気があったら、などなど考えさせるところもミソです。

 ミケルセンは、変態野郎と勘違いされて住民から迫害される主人公を演じた『偽りなき者』、片目で言葉を発しない謎の奴隷戦士役の『ヴァルハラ・ライジング』など、底知れない雰囲気を活かしまくってます。強力な持ち味ですね。

 というようにミケルセンなら数珠繋ぎに出てくるのですが、『Testament of Youth』の若衆には見たことあるようで誰だかわからない詰まった感を抱いたまま試写を終えてしまいました。それが会見で一気に解消、キット・ハリントンって『ゲーム・オブ・スローンズ』の人じゃん! 
 
CM&KH 2014Ls

コリン・モーガン&キット・ハリントン
 2014年ロンドン映画祭 (撮影:著者)

 
『ゲーム・オブ・スローンズ』はセックスとバイオレンスてんこ盛り中世ものとして大人気のテレビドラマで、観てない私でさえハリントンの勇者姿はそこここで目にします。名前は覚えてなくても、ドラマと同じ長髪と髭でわかりました。今、イギリスでは『ゲーム・オブ・スローンズ』のシーズン5を放映中で、会見時はまだ撮影してた頃かもしれません。こうして、ハリントンがカッコ良さげなのは長髪と髭のおかげと発見したのでした。サングラスとかでカッコ良さげなのよりは全然いいですが。
 
 もし、ファンの人が読んでたら、怒らないでくださいね。ハリントン、カッコ悪いとは言ってませんよ。短髪で髭もない『Testament of Youth』では、ベビーフェイスの可愛い人に見えてました。お隣のコリン・モーガンもテレビドラマ『MERLIN』の主人公とわかり、ようやくスッキリ。どちらのドラマも、日本でも放映されたようです。
 
 肝心の『Testament of Youth』は、ヴェラ・ブリテンによる自伝的同名小説を基に、アリシアが若きヴェラを演じる戦争ものです。兄弟やその友人たち、その中で恋人に昇格するのがハリントンですが、そういう男の子たちと楽しく過ごしていた少女ヴェラの古き良き時代をしっかり描くことで、その男の子たちが帰らぬ人となる状況がズシリと響く正統派の良い映画でした。

 
さて、今回は珍しく正統派な映画でしたが、どちらかというとオフビートな映画の方が好きです。と言いつつ、リメイクを観て、昔のも観たら、なかなか良いなあということも時々あって、次回はそんな新旧見比べです。

 
 
 
 
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-ヒビレポ 2015年6月4日号-

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