今朝はボニー・バック 第4回

ランチジャーの逆襲②

ボニー・アイドル(第9号で「人生とはトイレからの距離である、のか?」執筆)

〜前回のまでのあらすじ〜
ランチジャーの再興を目指し、Amazonで象印製の特大ランチジャー「お・べ・ん・と」を購入したボニー・アイドル。普及活動の一環として、雑誌にランチジャーについての原稿を掲載してもらうべく、いよいよ出版社へ働きかけを開始するのだった。

 

今年3月某日、西荻窪にある北尾トロさんの事務所を初めて訪ねた。「季刊レポ」に原稿を掲載してもらうため、企画を持ち込んだのだ。

その日、ぼくが「レポ」用に用意した企画は2つ。
1つは、夏目漱石の小説「こゝろ」の「先生の手紙」を完全再現した原稿用紙の山で、もう1つは、もちろんランチジャーである。

実を言うと、「レポ」に企画を持ち込んだのはその時が初めてじゃなかった。過去に2度、メールでトロさんに企画を検討していただいたことがある。どっちの企画も、ランチジャーについてではなかった。ちょっとその顛末を振り返ってみる。
最初にトロさんに企画を送ったのは去年の12月。企画は、「芸人コーマン日記」という、時事ネタを盛り込んだツービート風の誌面漫才だった。以下はその一部。

たけし 今年のNHKの大河ドラマは面白くなかったなァ。
きよし 『江』ね。たしかに戦国時代が舞台だっていってもお市の方や、浅井三姉妹が主役だからね。やっぱり男が出てこないと。いま流行の女子会じゃないんだからサ。
たけし 大体、女子会って女子だけ視聴覚室に集められてババアの先生に生理の話聞くんだろ。そんなドラマ観たくないよ。
きよし そんなわけないだろ!小学生じゃあないんだから。女子会っていうの
は女だけでご飯食べたりお酒飲んだりすることをいうんだよ。
たけし それに比べたら、去年の『龍馬伝』は面白かったね
きよし 龍馬は老若男女問わず人気があるからね。有名なセリフが土佐藩を脱藩する時に言った「脱藩ぜよ」ってやつね。
たけし オイラだってフライデーに乗り込んで捕まった時は、留置場で「脱糞ぜよ」って看守に言ってたけど。
きよし 全然違うよ。
たけし バカ野郎、言わないとウンコしても水流してくんないんだから。
きよし 知らないよ。それに、龍馬は武士なのに皮靴履いて懐に拳銃入れてたんだから合理的な人だったんだね。
たけし ついでにパンツの中にコカインも入れてな。
きよし それは勝新でしょ。
たけし でも、オイラはどっちかつうと龍馬より西郷さんの方がすごいと思うけどな。影響力が違うよ。
きよし まあ、逆賊でありながら上野公園に銅像建てられた人だからね。
たけし そうだよ、上野公園にいる人なんてみんな真似して犬連れて歩いてるんだから。
きよし あれは別に西郷さんの真似してるわけじゃないの。
たけし 歩く保存食!
きよし よしなさいって。ちなみに、来年の大河は松山ケンイチを主役に『平清盛』らしいよ。
たけし なるほど、今年が女になったときの話で、来年が女が終わるときの話の二部作なんだ。
きよし どういうこと?
たけし だって「閉経物語」だろ。
きよし くだらないよ!

今思えば、なんでこの原稿を「レポ」に掲載してもらおうと考えたのか。トロさんもさぞかし頭が痛めたことだろう。
次に企画を送ったのは今年3月のこと。当時、ぼくはロフトや東急ハンズのペン売場で馬鹿な試し書きを撮っていたので、その写真を送ってみた。
トロさんの返事は「レポのコンセプトとはちょっと違うなあ」だった。続けて、「一度、会ってみますか」とのお言葉。道は開かれた!

その頃、ちょうど「レポ」第7号が発行されたばかりで、初の特集「山田うどん特集」が掲載されていた。前々から、「レポ」の、世の中の流れとは同調しない誌面作りには一目置いていたが、初の特集が山田うどんとは―。失礼ながら、同じマイナーなものへの偏愛ぶりからビンビンに伝わってきて、「この人ならランチジャーの魅力をわかってくれるかも」と思わせる内容だった。
よし、次に持ち込みする企画はランチジャーでいこう。ぼくはそう決意した。

打ち合わせの前日からランチジャーに入れるおかずの用意に入った。
今回のコンセプトは「昔ながらの王道弁当」。
おかずの容器には、卵焼き、赤ウィンナー、ポテトサラダ、きんぴらごぼう、肉団子、柴漬け、ししゃも(最初は労働者のおかずの代表格・めざしの予定だったが、思ったより高かったので)。柴漬け、きんぴらごぼうは出来合いのものを詰めただけだが、卵焼き、赤ウィンナー、ポテトサラダ、ししゃもは腕によりをかけて料理した。
飯容器には、実家から送られてきたあきたこまちを1.5合。
汁碗には、トロさんは酒飲みに違いないと思っていたので、二日酔いに効くしじみのみそ汁。

当日の朝、各容器におかずを詰め込み、ランチジャーがダメだった場合の保険として「先生の手紙」の原稿の束を持って、ぼくは意気ようようとトロさんの事務所に向かった。

事務所に到着し、トロさんと初対面を果たす。自己紹介をした後、いよいよ用意してきた企画の説明へ。まずは「先生の手紙」から。書き写した449枚の原稿用紙の束にトロさんも驚きのご様子。
「じゃあ、次の号でやってみますか」
おお、こっちが採用されてしまった。ぼくの驚きをよそに、ページ数や〆切日を決めていくトロさん。※この原稿は「レポ第8号」に載ってます。

その後、1時間ほど世間話をする。ぼくはもちろん、トロさんも幾分リラックスムードだ。すでに別の企画が採用されてしまったが、せっかく弁当を作ってきたんだし、もしかしたらトロさんもお腹が空いているかもしれない。そういえば時刻はお昼近い。
ぼく「実は、もうひとつ企画を用意したんですが」
トロさん「お、何だい」
足下に置いていたランチジャーをテーブルの上に乗せ、フタを外し、中の容器を取り出す。
見る見るトロさんの顔色が変わっていった。
(続く)

最後に、トロさんの事務所に持ち込んだランチジャーのおかずをレシピとともにどうぞ。

「王道弁当」
◎レシピ
・赤ウインナー
塩・コショウ適量

・肉団子

・ポテトサラダ(カレー風味)
にんじん、たまねぎ、きゅうりを細かく刻み、カレーポテトと混ぜる。マヨネーズ、塩・コショウ適量。

・しば漬け

・ししゃも

・卵焼き
溶いだ卵とだし汁を混ぜ、砂糖、塩・コショウ適量を入れ、フライパンで焼く。

・きんぴらごぼう

・オロナミンC

-ヒビレポ 2012年10月23日号-

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