昭和歌謡宅急便 第4回

新御三家から分析する恋愛における

男性思考パターンの一考察

 

田中稲(第8号で「K文学館の散歩者」執筆)

 

さて、いきなりですが、みなさん、新御三家で誰が好きですか。

この質問を見た途端3秒以内に
「ヒロミ!!」
などと即答できるあなたは、確実にアラフォーですね。ふっふっふ。
ちなみに私はヒデキ派である。ここで白状してしまうとズバリ初恋の人だ。

私はまだ当時4歳か5歳だった。しかし、なにかが憑依したかのようにブラウン管からはみ出さん勢いで

「ローラアァァ!!!愛してるんだよう、ローラァァァ!!」(by「傷だらけのローラ/1974年」)

と髪を振り乱し大騒ぎしながら歌うヒデキは、芽生えたばかりの瑞々しいわが感性をノックアウトするに十分だった。なんと言おうか、カッコいいというより少数民族のマル秘儀式をコッソリ見てしまった的なショック。

 

 

彼の歌は、常にものっすごい情熱的で一途な男が主人公なのだが、なぜかハッピーな香りが少なめ。
失恋やら周囲から反対されるやら、とにかく障害が多いのなんの。
原因は、ヒデキの(いやさヒデキの歌の主人公の!)あまりにも押せ押せな恋愛アプローチのせいだと私は踏んでいる。

幼少の頃こそ
「ヒデキのおヨメちゃんになりちゃい」
とカワイク宣言していた私であるが、様々な経験をしてきた今となっては、できるだけ距離を置きたい男像である。
交際をオッケーしようもんなら、すぐ彫師んとこに連れて行かれてハートの真ん中に「秀樹&稲」とかデザインしたタトゥーとか彫られそうでコワい(誰もアンタなんか相手にしねぇ、というツッコミは見逃してください)。

そもそも、奥ゆかしく1歩下がって愛をゆったり育むジャパニーズ・ヤマトナデシコには
ヒデキ(の歌の主人公の!)のような、場所を選ばず絶叫&バラの花束贈呈系男子は荷が重い、重すぎる…!!

したがって、彼が外国人の「ローラ」を相手にするのはある意味正しい選択といえる。
いや、ところがどっこい、歌詞をよく読むとローラも彼の激しいアプローチに戸惑っとるがな!!
ここはイザベラとかカルメンとか、イタリアやスペインのラテン女性を相手にすべきだったのではなかろうか。

そんなヒデキの世界観に比べると、見よ、「誘われてふ〜らふ〜ら!」(by「誘われてフラメンコ/1975年」)と上機嫌で歌うヒロミ・ゴーの軽さを。

 

 

「女はなぜ嫁に行くんだ?ひとりのものになるなんてノンノン!」
と結婚制度について、サンバのリズムで物申すスゴさよ……(by「お嫁サンバ/1981年」)。

一夜の恋とか浮気とか気にせずフラフラしまくり、その挙句アチチとかエキゾチックジャペェェンとか妙にハイテンションな絶叫で誤魔化され、責任とってくれなさそうな気がする。
きっと彼はフラれても、悩むのは3日程度だろう。
付き合うには気楽だが、結婚すると意外に完璧主義だったりして面倒なタイプだ!根拠はないが!

ならば3人目、野口五郎はどうか。
恋愛しても10中8・9の割合で失恋し、相手を追わずにただひたすらグジグジグジグジと泣くタイプ。
しかも大声で泣かず、枕に突っ伏して声を殺して泣くという徹底振りだ!(←見たのか!?)

 

 

「私鉄沿線」(1975年)を聞いてみてほしい。
同じ電車に乗っていた、好きな女性を忘れられない……という狂おしいほど胸キュンな純・片想い。
とにかく改札口やら花屋やらあっちゃこっちゃを見るたびに「君」を思い出しもんどり打つ歌の主人公。
一途にもほどがある。

その割に、叫ぶ内容はあろうことか

「もう一度だけ熱いコーヒー飲みませんかあぁぁっ!!」

である。

コーヒーって(泣)。うーむ、なんて無欲、というか腰が引けまくりだ、ゴロー!
抱き付くとかチューを迫るとか、もう少し色気を出してもバチは当たらんと思うぞ。
ヒロミなら確実に行動に移しているはずだ!

もう一曲、ゴローの代表曲「19:00の街」。これも昔の恋をタラタラ思い出すのだが、
一般的には、そういうモードに入るのは深夜じゃろうて。夜7時って、妙に早くないか?
「ガラス越し」というシチュエーションからして残業中と見た。書類整理は退屈だよね…。

……などと、心の中で新御三家の心をもてあそぶモテ女に成りすましツッコみを入れる私は一体何様……。

まあ、このように三人三様の新御三家、西城秀樹、郷ひろみ、野口五郎。
平成ではなかなか出てこないこの個性、みんな長生きして生涯現役でいてほしいなあ。
そう思っていた矢先に最近ニュースで流れた「西城秀樹、60歳で引退宣言」はやはり寂しい。
その前に、新御三家揃ってのスペシャルコンサート、ぜひとも実現して下さい!!

-ヒビレポ 2012年10月24日号-

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