ぼんやりクッキング 第4回

アイルランド・ダブリン アイリッシュシチュー

カルロス矢吹(第2号で「尿ボトルとコンドーム」執筆)

 アイルランドの首都、ダブリンにいたのは去年の9月半ば位。もうとっくに夏は終わり、短い秋を通り越し、冬へ向けてウォームアップを開始。1週間の滞在で、晴れは1日だけという、何とも人の心と体を陰鬱にさせる時期だった。
 滞在していたホステルは、両脇を中国人マーケットとポーリッシュ(ポーランドのこと)マーケットに挟まれていて、節約したかったのと、アイルランドの料理に余り期待できなかったことが重なって、大体自炊で済ませ、そのお金を全て大好きな大好きな「スタウト」、ギネスビールにつぎ込んだ。思えば、アイルランドでは水代わりにギネスを飲んでいた気がする。向こうでは1Pint(500mlくらい)が高くて5ユーロ(約500円)なので、日本よりもお安く済む事情も手伝って、のことですが。
 そんなアル中街道まっしぐらのダブリン滞在中、朝食だけは近くのパブで外食で済ませていた。あっちのパブは朝から空いて朝食を出している。お目当ては、カリカリのベーコンが売りの「フル・イングリッシュ」でも「フィッシュ・アンド・チップス」でも「今日も来たのね」と優しく微笑む赤毛ウェイトレスのケィトリンでもない。羊肉と野菜を煮込んだアイルランドの伝統料理、アイリッシュ・シチューでした。
 ジュルルと啜ると、ブツ切りにした羊の脂が良い出汁を出し、スープの塩分は二日酔いの五臓六腑に文字通り染み込んでいく。羊の旨味を吸い込んだジャガイモやニンジンも、口に入れるとそれだけでホクホクと解れる。付け合せに出してくれるパンにもマーガリンをタップリ塗って、塩気と炭水化物で身体を起こしてから、「朝の一杯」その日最初のギネスを頼んでゴキュリ、プハー。朝っぱらからそんな毎日でした。いやー、アイルランドに産まれなくて本当によかった。

 そんなワケで、今回はアイリッシュシチューを思い出します。材料はコチラ。

 水
 羊肉スライス 150g
 タマネギ   1/2個
 ニンジン   1/2個
 ジャガイモ  1個
 コンソメ   ちょっと
 塩      適量
 コショウ   適量
 パン     1枚
 バター    適量
 ギネス350ml缶

 

 

 羊肉はブロックで買うと高いので薄切りを、豚汁も豚の薄切りで作っているので問題ないと判断。後は野菜を適当に、後は味の輪郭をハッキリさせるためにコンソメをちょいとだけ。牛肉で作っても美味しいかもしんないですね。最後のギネスは、一番大事な調味料です。それでは調理開始。
 ダブリンで食べたシチューに、肉を炒めた形跡はなかったので、まずはお鍋で水を沸騰させ、羊肉を投入。この時羊肉から大量のアクが出ますので注意。スープが澄んで来たら、野菜を投入、ジャガイモやニンジンがほぐれるまで煮込みます。水が減ってきたら、材料が常に被る程度に随時足していき、最後はコンソメと塩・コショーで味を調えて、シチューは完成。つけあわせでパンにバターを塗って、ギネスをグラスに注いで、準備完了。いただきまーす。ジュルル。
 うむ、ちょっとコンソメが余計だったかもしれないけれど、ベースは間違いなくダブリンで毎朝食べていたアイリッシュ・シチューそのものだ。ちょっと贅沢して、マーガリンでなくバターを塗ったパンを齧って、もう一回シチューをジュルジュル。そうしてお腹が満たされたら、最後はギネスを一気にゴキュリ。口の周りにギネスの泡でヒゲが出来る、お決まりの姿になったところで、今回は大成功。

 イギリスだと出してくれるパブ少ないですが、アイルランドなら確実なので、行かれた際には是非トライしてみてください。もちろん、ギネス1Pintも忘れずに。

 次回は、お隣のイギリス・スコットランドを思い出します。

-ヒビレポ 2012年10月25日号-

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