ぼんやりクッキング 第7回

米線 中国・北京

カルロス矢吹(第2号で「尿ボトルとコンドーム」執筆)

「中華料理」と聞いて、イメージする料理はなんだろうか。麻婆豆腐、エビチリ、炒飯・・・、北京ダックなんかを一番に挙げる人もいるかもしれない。それらに共通するのは、すべて「油っこい」ということ。なので、昨年の秋ごろ中国に行った際、食事に対しては楽しみ半分・憂鬱半分、って心持ちでした。本場の中華料理食べたいけど、きっと胃がもたれるんだろうなー。実際、どこに行っても目に付く料理は油ものばかりだった。どれも美味い。文句なしに美味い。だが、当然そんなものばかり食べていると、疲れてしまうし飽きも来る。そんな朝に、いつも食べていたのが、宿の横の店で出していた米線でした。
 鶏ガラで出汁を取った熱々の中華スープに、米の麺を投入し、その上に野菜だ肉だ魚介だ何だ、と雑多に乗っける。早朝オープンのそのお店では、旅行客だけでなく、これから出勤の中国人民達も、毎朝ふぅふぅズルズルと冷えた身体を奮い立たせに麺を啜っていた。一杯100円程度なので、日本の立ち食いソバの様な位置づけでしょうか。
 席に座り、若いが英語なんて当然通じない女性人民店員相手に、写真つきメニューを指差して注文すると、「○○米線!!」(多分)と厨房に向かって叫び、2・3分後には丼をガシャンと置いて、何も言わず立ち去る。そんな観光客への対応が素敵なレストランで、僕が一番お気に入りだったのが、野菜だけを乗せたシンプルな米線。ごちゃごちゃしたのは夜食べればいいのです。レタス、切り崩したピータン、キノコ、そして乾煎りしたアーモンド。このアーモンドが、麺をスープを啜るときの、絶妙な食感・香りのアクセントになっていた。テーブルに添えてある、何点かの得体の知れない辛味調味料を、その日のコンディションに合わせて試すのも、楽しみの一つ。朝に相応しいさっぱり感、だけど目覚めさせてくれる確かな塩気。午後から始まる暴飲暴食に向けて、胃袋を整えるには最高の朝食でございました。
 しかし、お会計の際も、何も言わずにお札を分捕り、何も言わずに小銭を突き出してくれた女性人民店員。彼女はまだ元気だろうか、きっと元気だろうな。

 さて、それでは今回も、この米線を思い出して行きます。材料はコチラ。

 フォー     100g
 水       丼いっぱい分
 中華スープの素 適量
 コショウ    適量
 レタス     一ちぎり
 ゆでたまご   一個
 生アーモンド  適量
 食べるラー油  適量
 ひじき  適量

 米麺は、フォーで代用。フォーもなかったら、もう春雨やマロニーちゃんでもいいかもしれない。具材は、何を乗せてもOKな米線に敬意を表して、冷蔵庫の余り物だけでラインアップを固めた。ただ、アーモンドだけはしっかりとこだわった。食べるラー油は、備え付けの辛味調味料を意識。では調理開始。
 まずは卵を茹でつつ、フォーも茹でる。麺の方が先に茹で上がるので、麺だけひとまず丼に盛ってから、中華スープをお湯で溶かし、丼に投入。フライパンで細かく刻んだアーモンドを乾煎りして香ばしさを出したら、レタスやひじき、茹で上がった卵と一緒に盛り付け。最後にお好みで、食べるラー油とコショウも振り掛けたら、完成。
 ではいただきます。具材を混ぜ混ぜして、ふぅふぅズルズル。うむ、この適度なさっぱりした塩気、見事に再現できている! そし て、やはり効いているのはアーモンド。これがあるナシでは、味の奥行きが全く違う。
 茹でている間に色々準備できるし、冷蔵庫の余り物で美味しくできる。家庭で、「朝から麺」は一般的ではないと思うが、このお手軽さとさっぱりさなら、十分慌ただしい日本の食卓にも相応しいのではないか。早速、我が家では米麺のストックを開始いたしました。
 というわけで、今回は大成功。これまでで一番オススメ出来るかも。是非、ご家庭で朝ごはんとしてお試しくださいませ。

 次回は、オランダ・アムステルダムを思い出します。

 

-ヒビレポ 2012年11月15日号-

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