今朝はボニー・バック 第9回

ウンコとヤクザとガキとYシャツと私

 

ボニー・アイドル(第9号で「人生とはトイレからの距離である、のか?」執筆)

 

皆さん、今回の月9「PRICELESS〜あるわけねぇだろ、んなもん!〜」見てますか?ぼくは一日のテレビ時間を5分と決めているので見れてませんが、ウィキペディアであらすじなどを調べてみると、キムタクが働いていた会社は魔法瓶メーカーらしいですね。どの会社がモデルなんだろ。

この「ヒビレポ」第5回「ランチジャーの逆襲③」(http://www.repo-zine.com/archives/1841)にも書いた通り、象印、タイガー、グロリア、ピーコック、ダイヤ等、日本の主要魔法瓶メーカーというのは大阪に集中している。その理由は、大阪は魔法瓶のかつての保温材料「ガラス」の生産拠点だったからだ。
東京に魔法瓶メーカー?あるわけねぇだろ、んなもん!と言いたいところですが、あるかも知れません。たぶん、あるでしょう。ま、ディテールの検証は置いといて、ドラマにランチジャーが出たらご一報いただければうれしいです。

ここからが本題。ライターという職業柄、ぼくはよくウィキペディアを利用する。特に今年は、有名人のニュースや死を扱ったコンビニコミックスの原作の仕事をしたので、ニュースの概要や故人の略歴を調べるのに重宝した。
誤解ないように言っておくと、ウィキで調べるからといってウィキに載っていることをそのまま使うわけではない。むしろ、ウィキに載っていることは多くの人が知っていることなので、原稿にする時は避けるようにしている。資料の入り口として利用していると言った方がいいかもしれない。

このウィキ、イチ資料としてはもちろんだが、読み物としてもなかなか面白い。眠れない夜などは、気がついたら朝までウィキサーフィンしてしまっていることもある。このおもしろさの秘訣は、ウィキの最大の特徴である「誰もが自由に編集に参加できる」ところにあるのだろう。
昔からある「広辞苑」等の辞書は、たぶん国文畑のエラい先生方が一項目ごとに資料を漁り、文章も推敲に推敲を重ねた上で執筆していると思うが、ウィキの場合は執筆者が不特定多数なのでいい意味でテキトーだ。出典元さえ表記しておけば何を書いても構わないようなところがある。中には出典元すら載ってけてないのにスルーされているのもある。
例えば、これ。

 

あまりにもプロデューサーであるアンディ・ギルとイメージの乖離があったため、完成版を聴いたメンバーはギルに糞がトッピングされたピザを送りつけた。

   ウィキペディア「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(アルバム)」より

 

これは、世界最強バンド、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの1stアルバム「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」の記事だ。アルバムの制作秘話や収録曲の解説などは一切なし。いかにもレッチリがやりそうなことだが、出典元は明記されていない。本文の約半分を、アルバムの出来が気に入らなかったメンバーがプロデューサーに糞入りピザを送りつけたことに割かれている。これだけならむしろ記事としてなくてもよかったような気もするが。どこのバカが書いたんでしょうか。素敵です。
ちなみに、ドミノピザやピザーラ、ピザハット等、宅配ピザチェーン店のホームページを覗いてみたが、どの店にもトッピングメニューに「糞」は見当たらなかった。

次は、ぼくがこれまで見てきたウィキの記事の中でも最もすげェと思った一節。

 

速射砲さながらに喋りまくり、時おり弾倉を交換するかのごとく首を「くっ」と捻るたけしの姿は、個性派揃いの漫才師の中でも異彩を放った。その毒舌が織りなすネタの主題となったのは、ジジイ・ババア・ブス・カッぺ(田舎者)で、さらにウンコとヤクザとガキが頻繁に登場した。

ウィキペディア「ビートたけし」より

 

この文章、どこのノーベル文学賞受賞者が書いたんでしょうか。まず、「時おり弾倉を〜」のくだりでフライデー事件やキタノ映画を思い起こさせるような、たけしの暴力性を表現。この後「ジジイ・ババア・ブス・カッぺ」と続き、「ウンコとヤクザとガキ」で直前のカッコいい表現をぶち壊しているのがまたいい。かろうじてカッペに(田舎者)と説明が入っている程度で、余計な注釈も一切なし。たけしの暴力性と少年性、そして躍動感に溢れた文章で、これを読んだだけでツービートの漫才が目に浮かぶようだ。

「インターネットの百科事典」と自他ともに認めている生真面目さと、有象無象が寄ってたかって書いたいい加減さ。その絶妙な「ほつれ」感がウィキの魅力と言っていいだろう。ウィキのパロディサイトに「アンサイクロペディア」というのがある。これはこれでおもしろいが、狙っている分だけあざとさが感じられる。中学生の頃、ウケを狙って接してくる教育実習の先生よりも、「elephant」をクソ真面目に発音して「エロ本」にしか聴こえない英語の小徳先生の方がおもしろかったように。

最後に、「ハゲ」の記事中に発見した画像を紹介したい。

 

 

元イギリス情報部のスパイが「前頭部ハゲ」の例にされちゃあマズいと思うんだが・・・。本人は知っているんでしょうか。

-ヒビレポ 2012年11月27日号-

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