今朝はボニー・バック 第12回

Smokin’ Bonnie

 

ボニー・アイドル(第9号で「人生とはトイレからの距離である、のか?」執筆)

 

注意! 今回は喫煙者のタワゴトですので、タバコが嫌いな方は読むのを控えてください。

今年4月某日、表参道にあるレストランの取材を終えたぼくは、原宿駅を目指して歩いていた。喫煙所を見つけたので、一服しようと立ち止まると、一枚の喫煙マナーの向上を訴える啓蒙ポスターを発見した。あまりにそのポスターに腹が立ったので、写真を撮っておいた。コレである。

 

 

あーん、「主人公がポイ捨てをした。ふるい映画だった」だとォ。映画の中でポイ捨てして何が悪いんじゃい! 何十人も人を殺す映画は良くて、ポイ捨てする映画がダメだって法があるか! このクソ、ボケ、カス、このコピー考えたヤツ、どこの出入り業者だこの野郎!
失礼。久々に写真を見たら怒りが込み上げてきてしまった。

同じく表参道にある別の喫煙所には、「スキップがキモいやつと同じぐらい、ポイ捨てカッコ悪い」と書かれたポスターが。テメー、この野郎! 文面からにじみ出てくる、その「ボク、気の利いたこと言ったでしょ」みてぇなツラが気に食わねえ。一発殴らせろ!
失礼。もうやめます。

たしかに、非喫煙者が喫煙者に対して怒る気持ちも分かる。健康面だけではなく、煙が服につくのも嫌だろうし、食事中、目の前でタバコの煙を吐かれたら喫煙者のぼくだって気分が悪い。でもさ、お互い様じゃないスか。
例えば、ぼくは香水の匂いが苦手だ。ちょっとでも香水の匂いを嗅ぐと気分が悪くなる。
また、これは夏場でのことだが、
♪街でポロシャツの襟を立てている男を見かけると ハンマーでぶん殴りたくなるのさ
若干字余りだが、グラサンをかけて歌いたくなるほど、ぼくはポロシャツの襟を立てている男が生理的に嫌いだ。なんでしょ、あのセンス。男らしいつもりなんだろうか。一番ムカつくのが、ポロシャツの襟を立てている男に限って、隣にやけに足の長ぇ女を連れていることだ。

でも、ぼくはどんなに不快であれ、街で香水をつけている女性やポロシャツの襟を立てている男を見かけても文句は言わない。多かれ少なかれ、人は他人に迷惑をかけながらでしか生きていけないからだ。
「タバコ吸っているヤツは吸わないヤツより多く税金を払っている」なんて言うつもりもない。そんなこと言うヤツはタバコ以外にも周りに迷惑をかけているに決まっている。

冒頭のポスターに関しても、表現にムカついただけで、言わんとしていることはわかる。外で吸うなら携帯灰皿を持つこと、非喫煙者と同席するなら禁煙席に座ることはタバコのみとして最低限のマナーだ。だから、いずれ筒井康隆の「最後の喫煙者」で描かれたような世界がやってくるまで、心おきなく吸わせてちょーだいな。

最後に、7、8年前、当時付き合っていた人と下北沢でお茶をした時の出来事を。喫茶店の席に着いたぼくは、いつものように席に座るやタバコに火を点けた。それが合図だったかのように、向いの席に座った彼女もバッグから細長いタバコとライターを取り出した。タバコを吸う人ではなかったので、「どうしたの」と訊くと、「ボニー君がタバコを吸っている姿があんまりにも美味しそうだから、私も吸うことにした」とのこと。体質的に合わなかったのか、彼女はすぐにタバコをやめてしまったが、ぼくも、この人のためならタバコをやめてもいい。そう思った。

家族や周りの人のためにタバコをやめられる人をぼくは尊敬する。でも、好きな人と共感したいからと、タバコを吸いはじめた彼女のことはもっと尊敬する。

-ヒビレポ 2012年12月18日号-

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