昭和歌謡宅急便 最終回

ええねん!

田中稲(第10号で「ラジオいきなり出演騒動記」執筆)

いやー、寒いですねー!!(最終回なのでちょっと導入を変えてみました)
12月中旬は、大阪、ハンパなく冷え込みました。ぶるるるる。

さて、エッチラオッチラながらフリーライターとして頑張っている私ですが。
迷う事がしょっちゅうである。これでええんかい、と。
そもそも超が付くほど気が小さい私。執筆した本なり雑誌なりが完成した時は嬉しさと同時に

「これが世に出て、誰かを不快にさせないだろうか」

というものすごい怖さに襲われるのである。
本によっては、見本誌が来ても1カ月ほど開ける事ができない。

この度を超えた恐怖には理由がある。

実はン年前に「結婚できないアラフォー女の悲哀」をテーマにした本を出したことがある。
夢の出版デビューに私は浮かれ立ち、姉に進呈した。
ところが。その後姉に感想を聞くと、顔をゆがませ

「なんか……自虐過ぎてミジメというか、恥ずかしい」

と呟いたのである。ひー!あの表情、思い出すのもツラいー(泣)!

私は、地蔵のように固まった。
自分が書いた本が人に不快感を与えるという現実にぶち当たったショックは想像以上にデカかった。

うーむ。私はこの事件を機に、自嘲・自虐・自己満足から卒業しようと決意した。
とはいえ、この傾向はなかなか消えず、いまだ「卒業見込み」で止まっている……。
クセってなかなか取れないですよね(号泣)。

……とまあ、長年ライターをしているにもかかわらず、発信する覚悟と度胸が今ひとつ足りない私。
「これで伝わってるかな?」「ひとりよがりになってないかな?」
迷い迷って吐きそうになる執筆生活を勇気づけてくれるのは、
「オッケー、オッケー!無問題、無問題!」
と根拠なく肯定してくれる言葉と歌である。

天才バカボンの主題歌(1971年)は私の背中をドスコイと押してくれる。
タリラリラーン! 青空のウメボシ! ぶっ飛びワードの連発に心はスコーンと軽くなる。
まさか昔、無邪気に見ていた天才バカボンのパパの年齢を越える日が来るとは思ってなかった。
43歳となった今、年下のパパに励まされている状態である。ビックリ!

 

 

そして、大阪最強の肯定ワード「ええねん」をそのまま歌にしたウルフルズ「ええねん」(2003年)。
「胸を張ったらええねん!心配せんでええねん!ハッタリだけでええねん!それでええねん!」
しつこいほどに連発される「ええねん!」が脳内を駆け巡り悩みをケシケシするイレーサーっぷりは見事。平成の歌なので昭和歌謡からは外れるが、ええねん、ええねん!

関西弁の肯定ワードには、この「ええねん」の他に
「かまへんかまへん」(標準語訳:問題ありません、かまいませんよ)
「べっちょない、べっちょない」(標準語訳:大丈夫、大丈夫!)

あと、諦めワードも非常に豊富に良いのが揃っとります!
「悩んでてもしゃーないしな」(標準語訳:悩んでいてもキリがありません)
「どないかなるって」(標準語訳:どうにかなります)

そうそう、慰めワードもこれまた気の利いたモノがズラリ!
「ええんちゃう。知らんけど」(標準語訳:責任は持てませんがいいのではないでしょうか)
「ネタになるがな」(標準語訳:その失敗、話題として利用できますね♪)

こう並べて書いてみると、全体的にどこか投げやりな気も(汗)。
いやいや、気のせいよね。前向きなのよね、関西。
どれも間違いなく気が楽になる言葉なので、ぜひ歌謡曲で多用してほしい!

さて、最後に。
自信が無くなった時、私が必ず思い出す最強の言葉を。

20代の時勤めていた健康食品会社の部長が、私が退社する時に寄せ書きに書いてくれたひとこと。

「お前なあ、アカンと思った時がスタートなんやぞ!」
(本当にこのような喋り口調でデカデカと書いてあった)

私はこの言葉を読んで、はじめてN部長の厳しさが愛情だったことに気付いた。なのに、ずっと超意地悪の白髪ハゲとか思っていた私のバカバカバカ!!

あれから20年近く経ちましたが、お元気でしょうか、部長ー!!
田中はなんとか頑張っています! うぉーう。

私も、ライターという言葉を使う仕事の端くれ。
赤塚不二夫さんやウルフルズ、部長のように、誰かを言葉で元気にする日がくるのだろうか。
来たらいいなあ。

……とまあ、13回書いてきました昭和歌謡宅急便。
もっと昭和歌謡を全面に出すつもりでしたが、全体的にテーマが揺れ揺れになったような気も。
まあ、それもええねん、ええねーん。

-ヒビレポ 2012年12月26日号-

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