今朝はボニー・バック 最終回

ボニーは眼帯がお好き

 

ボニー・アイドル(第9号で「人生とはトイレからの距離である、のか?」執筆)

 

10月からお送りしてきたこの連載も、今回で最終回。まずは最終回つながりということで「仁義なき戦い・完結篇」のお話から。

「仁義なき戦い・完結篇」が公開されたのは1974年6月。当時、この作品に期待するファンの高ぶりは、今の「エヴァ」ファンの比ではなかったと思う。それまでのヤクザ映画の歴史を変えた「仁義なき〜」シリーズの“完結篇”である。しかも、前作のシリーズ4作目「頂上作戦」のラストが物語の幕切れを暗示していただけに、「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!」とならない方がおかしい。

しかし、いざ「完結篇」が始まるや、次第に気持ちが興奮から戸惑いに変わっていった観客は多かったはずだ。主要キャストの大幅変更(大友勝利役が千葉真一→宍戸錠、早川英男役が室田日出男→織本順吉)は百歩譲ったとしても、いつまでたっても主役である広能昌三(菅原文太)が出てこねでやんの。その存在は匂わせるものの、映画は冒頭から延々と天政会の内部抗争を中心に展開。

そして、映画が始まって70分を過ぎた頃(全98分)、ついに文太登場!思わず「いよっ、待ってました!」と声を上げそうになるも、
「あれ・・・・・・・、眼帯してる」

そう、満を持して登場した主役は、なぜか眼帯をしているのである。長いムショ暮らしで眼を患ったのか?そのことに関して触れることなく、映画は終了。「仁義なき」シリーズも幕を閉じた・・・。
なぜ、文太はあの時、眼帯をしていたんだろうか。プライベートで変な女から変な病気でももらったんだろうか。「ブレードランナー」の“6人目のレプリカント問題”以上に、ぼくにとっては気になるシーンである。

そういえば、同じ「仁義なき〜」シリーズの2作目「広島死闘篇」でも誰か眼帯してたな。そうだ、山城新伍だ。確認してみると、初登場シーンこそ両目を開けているが、2度目に登場するシーンでたしかに左目に眼帯を付けている。なぜだろうか。撮影中に変な女に変な病気でももらったんだろうか。それとも、両作とも深作欣二監督の演出なのか。

映画・ドラマの役づくりでよく使われる小道具といえば、「メガネ」だ。今でこそメガネをかけていても何とも思われないが、かつてメガネは「頭がいい」「真面目」のシンボルだった。メガネをかけている人とかけていない人では、銀行が貸す額も違ったという話もある。

また、計算高い、冷酷なキャラクターを演じるときもメガネは頻繁に使われる。映画「博奕打ち」における若山富三郎、映画「天国と地獄」における三橋達也がそれだ。メガネはグラサン以上に、不気味な雰囲気を醸し出すのに有効なのである。

では、眼帯にはどのような効果があるのだろう。結論を急ぐと、女の子が眼帯をした場合、メガネ女子なんかよりも強烈な「萌え」を噴出するのである。
たしかにメガネは作品のキャラ付けをするのに有効な小道具だ。しかし、メガネでは自己紹介程度の役割を果たすのがやっと。その点、眼帯はキャラクターに物語性と奥行きを与えるのである。この連載の第6回で「ショートカットの物語性」について書いた。

眼帯もショートカットと同じで、「このコに何があったんだろうか」と見る者にその人物の「過去」を考えさせる効果を持っているのだ。
「だったら怪我や病気だったら何でもいいじゃん」という声が聞こえてきそうだが、「眼」だからこそ見るものに与えられる効果、それは神秘性。つまり「萌え」である。

たとえば、今年公開された映画「アナザー Another」

この作品では橋本愛が左目を眼帯で覆ったヒロインを演じている。彼女の眼帯にどんな秘密があるのかは実際に映画を見て確認してもらうことにして、眼帯をしている橋本愛と、していない橋本愛、見つめられてドキドキするのはどっち?
正解はどっちも。ただし、方や「やべ、オレのこと好きなのかな」というドキドキで、方や「やべ、オレのこと呪い殺すつもりなのかな」というドキドキである。どっちが眼帯している方なのかは言わずもがなだろう。

先ほど「仁義なき〜」のくだりで「エヴァ」を引き合いに出したが、このシリーズにも眼帯をつけたキャラが登場する。綾波レイだ。使徒との戦いの度に彼女はボロボロになり、体中に包帯&眼帯が・・・。すいません、実はぼく、「エヴァ」を一度も見たことがないのでこの辺、ネットで見た画像を元に勘で書いてます。
さらに、現在公開中のシリーズ最新作「新劇場版:Q」ではあの、惣流・アスカ・ラングレーが黒い眼帯をつけているらしいじゃないっスか。いやァ、こりゃ観るのが楽しみだ。
さすがは萌え文化を代表するアニメ、心得てらっしゃる。

ぼくは一度、雑誌の取材でイメクラに行ったことがある。その時チョイスしたコスチュームはOL風のパンツスーツ。でも、今ならこう言うだろう。
「裸に眼帯を1つ付けてくれ」と。
見られる方にとっても見る方にとっても、究極のチラリズム、眼帯。今日は12月25日。クリスマスだ。恋人と一緒に夜を過ごされる方は、彼女に着せるサンタの衣裳に眼帯を1つ加えてはどうだろうか。

あと、「仁義〜」の2作品で登場人物が眼帯をしている理由ですが、今はわからないままにしている方がおもしろいので、知っている方はそっとしておいてください。

さて、ぼくの連載もこれでおしまいです。最初から最後までくだらない話にお付き合いいただき、読者の皆さん、ありがとうございました。また、この場を与えていただいた北尾トロさん、毎回遅い原稿を待ってくれた編集のヒラカツさん、ありがとうございました。

あ、そうだ、最後に告知を。12月26日にぼくの原稿が掲載されているムック本「裏ッ!ベスト2013」(三才ブックス)が発売されます。1泊2日で大阪、京都、名古屋、浜松、横浜の出会い喫茶を巡った10ページのルポを含め、5本原稿が載っています。ご購読いただけると嬉しいです。

では、さようなら。メリークリスマス。

-ヒビレポ 2012年12月25日号-

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