ハルヒマヒネマ 3−1

新しい靴を買わなくちゃ(お年玉で)

 
やまだないと(「料理入門」連載中)
 
 
新年あけましてこんにちは。
今年も3ヶ月くらいよろしくおねがいします。

ハルヒは映画の評論をする仕事の人ではない。
映画はあくまでハルヒのじんせいのひまつぶしで、書けるのはせいぜい感想と、忘れたくない考えのメモ。
仕事にするには、ハルヒはあまりにも映画に対して不真面目で、勉強が足りない。あらかじめ、好みっぽい映画をみようとするあまり、みない映画が多くなる。TSUTAYAに行くと、渋谷店だけでもハルヒののこりの人生でみつくせる気がしない量のみたことない映画に絶望する。今世、出会わずにしらないままの映画を、来世優先的にみることができるといいのだけれど。その頃にはさらに映画が増えている。

ハルヒは飛行機映画が好きだ。
国際便でみれるあれだ。昔と違って、今はずいぶんな本数から自分で選べるが、それでも、普段ハルヒが、はなから選択肢にいれないような映画が、つまり選択肢にあり、ヒネクレもののハルヒが、自分を主張すること無く出会いを受け入れるチャンスであるから。タダだから見ちゃえ、というのももちろんあるが。とにかくTSUTAYAじゃ手に取らない映画を見るチャンスなのだった。
こないだのパリ行きは、行きに2本と(眠かった)、帰りは、5本とちょっとみれた。その感想。

『ダーク・シャドウ』2012 USA
D:ティム・バートン A:ジョニー・デップ ミシェル・ファイファー エヴァ・グリーン

ハルヒ、ジョニー・デップを好きなはずなのだが、ティム・バートン映画の白塗ゴスメイクのデップにはもうすっかりうんざりしてる。海賊野郎も飽きた。だからこの映画も、まったく見る気がしなかったのだが、わりと大人向けでおもしろかった。200年前にヴァンパイアにされてしまったデップがよみがえるのが、70年頃の現代っていう微妙さがいい。現在じゃありきたりだし、ハルヒがギリギリ知ってるちょっと昔っていうのが、程よくファンタジーを許容した。
エヴァ・グリーンって、なんでこんな、世の中つまらなそうな、人をバカにしたような、いや〜なかんじの顔をしてるんだろうと、ずっと思ってたんだが、この映画みたいな憎たらしい役をやると無敵のかわいらしさだ。
で、たぶんハルヒと同世代の人はみんな思ったと思うが、このデップの風貌はつげ義春の『ねじ式』というか江口寿史のうしみつくんだ。
それもあって、ハルヒの中では、今やデップは志村けんにならぶ、アイライン芸人の位置にいる。

『Je me suis fait tout petit』2012 フランス
D: Cécilia Rouaud A:ヴァネッサ・パラディ/ドニ・メノーシェ

字幕がついてなかったので、ただ見てただけ。奥さんに逃げられて、娘達にも見捨てられ、たぶん、その奥さんから小さな男の子を押し付けられた、ついてない男。が、ヴァネッサ・パラディと出会う。あれ? ヴァネッサ・パラディってこんな顔だったっけ?! 見事に中年、普通のおばさんだった。声だけかわいくてそこもなんかへんだった。

『The Campaign』2012 USA
D:ジェイ・ローチ A:ウィル・フェレル/ザック・ガリフィアナキス

ウィル・フェレルでハルヒ外したことがないけど、これも、ゲラゲラ笑った。アメリカのどっかの州の下院選挙の対立候補同士の行き過ぎていくばかばかしい選挙戦どたばたコメディ。下ネタばっかり。ウィル・フェレルはいつも通り手堅くバカだけど、『ハング・オーバー』のおデブ、ザックなんとかの、メルヘンチックで善良な良き家庭人、良きアメリカ国民ぶりがたまらない。妻や子供たち、ペットのパグ犬、家族ぐるみで善良にいけてなくてたまらないんだ。で、なによりたまらなかったのが、ザックなんとかの日本語の声の吹き替えをやってるぜんぜん有名じゃなさそうな役者さん。ハルヒは飛行機映画の何が好きって、この、吹き替え係の人の、善良な仕事ぶり。
過剰なところがどこにもない、同時通訳のようなテンション。でも、どうもハルヒの頭の中では抑揚たっぷり、声弾みまくりの声優さんの演技より、気持ちになじみがいいのだった。たとえればトトロのイトイシゲサト効果みたいな。まあ、そこは好きずきだから。

『テッド』2012 USA
D:セス・マクファーレン A:マーク・ウォールバーグ/ミラ・クニス

のろまでおとなしくて友達もいなかった孤独な男の子のお願いが届いて、テディベアが喋って歩くようになった! それは男の子とクマちゃんの2人だけの秘密…じゃなくて、あっというまに生きてるクマちゃんのぬいぐるみは人気者になってしまう。だけど、堕落も早く…。まるでハリウッドの子役スタァみたいな末路。大人になった男の子、マーク・ウォール・バーグと中年の熊のぬいぐるみは定職にも就かず冗談を言いあいだらだら暮らしてる。なんでこんなかわいいおとぎ話を思いつくんだろう。ちいさなかわいいクマちゃん、テッドの素行の悪さは子供たちにも痛快だろう。そして、おとぎ話というのは、大人にならない物語。現実の世界で大人にならないということはどういうことか。少年のピュアな心を持ち続けることじゃないね。責任放棄して身勝手にずる〜く生きること。ごめんなさい。ハルヒです。

『Hope Springs』2012 USA
D:デヴィッド・フランケル A:メリル・ストリープ、トミー・リー・ジョーンズ

セックスレス還暦夫婦。夫とセックスできないことがもう、絶望の悲しみなメリル・ストリープ。良き妻で良き母。夫はおもしろみのない無口で横柄なトミー・リー・ジョーンズ。妻の懇願でセックス・カウンセラーの元へ。日本人のハルヒには、いや、日本人代表なわけじゃないから、単にハルヒには、こういうセックスに真剣な人たちのことが、悪いが滑稽に見える。それが悲しみであることはすごくわかるが、他人に相談してしまったらそこでもう終わりじゃないかとハルヒは思ってしまう。お腹の中をぜんぶぶちまけて、それでもセックスには夢を抱いている妻。彼女も可哀想だし、応えられない夫も可哀想。でも、カウンセラーに、お互いの初々しかった頃の話を聞いてもらう2人がうれしそうで、妻は、この先何もないことより、今までの自分たちを夫が忘れてしまったんじゃないかって事が不安だったんじゃないかと思う。
長い旅の後半は、2人で一緒に思い出す思い出があればいい気がハルヒはしてる。

『新しい靴を買わなくちゃ』
D:北川悦吏子 A:中山美穂/向井理

これこそ、飛行機映画としてじゃなきゃ、ハルヒはぜったい見なかったろう映画。40すぎの中山美穂がピンクのかわいらしいポスターで内股でお澄まししてるポスターにいらっときてたし、北川悦吏子脚本のちょっと前のドラマが、目を疑う程に前時代でつまらなかったので。
ところが、これが、日本映画にはめずらしく、あんまりはしゃがない恋の話で、すごく良かった。恋というか、男の人と女の人の出会いの話だ。気持ちが少しずつ恋にうごいていく様子がとても静かに丁寧に流れていく。
そうか、北川監督の心を動かすものは、もう、人気商売の連続ドラマじゃ描けないものなんだ。そういえばそうだ。彼女のドラマって、いつも最初の何回かはけっこう好きなんだ。だけど、必死で尺を作ろうと思わせぶりを盛っていくんで台無しになっていく。
北川さんは短編の人なんだと思う。だからきっと、映画むいてるんだ。彼女の心を動かす日々の機微は、こうしてゆっくり写しとっていく方いいんだ。
ドキュメンタリー風の写し方は、最初テレビっぽさを消して自然に自然にとふるまう俳優たちの不自然さと相性が悪い気がしたが、中山美穂と向井理の2人の時間が流れ出すとだんだんしっくりしてきた。2人が別れたあと、たぶんその後ろ姿は笑顔なんだろうと、想像するハルヒも笑顔になっていた。
北川さんの描く女の人がどこか鼻につくのは、たぶん北川さんて、男の人の目線で描いてるからじゃないかなとふと思った。ハルヒもそんな感じだ。
男っぽいものの見方では無く、男として、自分を見つめる優しい目線だ。決して求めてる目線じゃないんだと思う。愛を求めてるんじゃなくて、ワタシならワタシをこう愛す、なんじゃないかな。

『あなたへ』2012 日本
D: 降旗康男 A:高倉健/田中裕子

健さんだからってさー、みんなちょっとだらしなくない?? くそじじいどもが、健さんなんか見る客はこんなもんだろって、客を見くびってる。健さんをみくびってる。健さんこそ、若い監督達ともっとひりひりした映画にでるべきだ。

『るろうに剣心』をみはじめたところで、映像サービスは終わり。
ぼんやりしてたらパリは6年ぶりだった。なんにも変わってなかった。

 
ハルヒマヒネマ
http://blog.livedoor.jp/nuitlog/
 
最近のハルヒの頭の中、日々をささげる王子様観劇日記
http://www.bookman.co.jp/rensai/esp.php?_page=boyslife
 

-ヒビレポ 2013年1月4日-

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