ちょっとプアンなタイ散歩 第4回


陶芸男子萌え

 
吉野 歩(第5号で「カラスを飼うという愛の行方」執筆)
 
 
 
先日、ヴィレッジヴァンガードで『萌え男子がたり 2』(ブックマン社)という本を見つけた。女の漫画家さんが1人1つずつ「胸キュンする男のシチュエーション」を挙げてイラストと共にそのこだわりを綴るのだが、なんともはやそのマニアックなことよ。

「寝起き男子」(普段かっこいい⇔寝起きダサいのギャップに萌え)、「『カレーは俺に任せろ!』男子」(類似の分類で『パスタは~』もいるよな)、「バイトかけもち男子」(そんなに頑張るからには、叶えたい夢とかあるはず)、「パーカー男子」(少年っぽいフードがいい。学ランと組み合わせればモアベター)。中には「M字はげ男子」というのもあり、それってもはや男子じゃなくね?と甚だ疑問ではあったが。

ふいにこみ上げる興奮でオシッコをちびりそうになったのが「左利き男子」。何を隠そう私も左利きなのだが、幼少期に文字だけは右に修正されてしまったハイブリット型。だから、オール左の純粋培養くんを見るととてもまぶしく感じるのだ。彼らがノートに字を書くときの、ちょっと不自然に折れ曲がった手首の角度が愛おしくたまらん。その角度の平均を調査し「左男アングル」などと命名したいものである。

 

つい前置きが長くなったが、今回の“タイ散歩”は、クレット島で出会った「陶芸男子」。島といっても、200年ほど前にチャオプラヤー川に作られた中州なので、ヤシの木やビーチはない。その代わり「素焼きとお菓子の島」として地元では有名。そこに住む人のほとんどが、大昔から焼き物かお菓子作りに関わっているという歴史ある土地なのだ。

しかーし、今回はバックグラウンド、文化、もろもろ全部無視! この島で焼き物に携わる男たちを、純粋に(いやむしろ不純か)、萌えとして鑑賞したいと思う。

 

■エントリーNo.1 『スイート絵彫師・トンチャイ(仮名)』。
 

 

目を見張るほどの美少年。あなたこんなところで陶芸やってる場合じゃないでしょ、とにかく航空券用意するからジャニさんのところに行きましょ。話はそれからだわ。――と、私が金持ちセレブだったら土産の代わりに持ち帰っただろう。

露店から少し離れた場所で絵付けをしていた彼であるが、すぐにミーハーなタイ女たちに見つかりツーショット写真攻撃。しかし彼ときたら、終始焼き物から目を離さないのであった。女性<焼き物。その宝の持ち腐れ感がタマラナクいい。

 

■エントリーNo.2 『土堀りのジョー(仮名)』。
 

 
 

若いだけが男の魅力じゃないぜ! 板で囲われた20m四方の採掘場で、もくもくと土を掘り起こすジョー。細身ながらも、スコップを動かすたびに波打つ、引き締まった筋肉。う、美しい……。
周囲で素焼きの露店を営んでいる人たちは、だべりながらのんびりやっているのだが、ジョーったらいっさい休まず顔もあげず、ただひたすらに岩のような硬い土に向かっているのだ。そのストイックさ、萌え~。

ぶっきらぼうな彼と夕暮れのチャオプラヤー川で、メコンウイスキーを1杯やりたいもんだ。話なんかしなくていい。夕日に照らし出されるジョーの筋肉が、最高のお・つ・ま・み。

 

■エントリーNo.3 『僕は土の上に新世界を描く、チュワハン(仮名)』。
 

 
 

クレット島では陶芸体験もできるのだが、レクチャーしてくれるときって皆、中学生みたいにぎこちないんですわ。この島の若いもんは皆シャイなのかもしれない。職人さんからすれば、観光客相手の仕事は持ち回りで、どちらかというと仕方なくやっていることではあるんだけどね。

だから彼らは、いったん絵掘りの仕事に戻ると水を得た魚のようにキラキラと輝く。
 

 
 

もうこんなに幸せそうに仕事をされては、何をどこからどう見たって「萌え」になるわけで、私はただ無言でシャッターを切るしかなかったのである。(どうせタイ語もよく分からないし、英語も通じないんだけど)

横に並べられていた、彼の作品たち。
 

 
 

自分の発する言葉以上に語りかけてくる『あるもの』を生み出せたとき、その人の作品は完成といえるのかもしれない。今回は、それを教えてくれた彼に「ヒビレポ 陶芸男子アワード」を授与したい。すげー、これって本人一生気付かね~。
 
 
 
 
-ヒビレポ 2013年1月28日号-

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