今朝はボニー・バック 第14回


LOST 〜合宿免許青春物語 シーズン0〜

ボニー・アイドル
(第11号で「原稿料よりバイト料が多くても、ぼくは断然ライターだ!」執筆)

 
 
 

「会社勤めと違って、こういう仕事してると出会いがないんですよぉ」
同年代のフリーランスで仕事をしている女性と飲んでると、よくこういう話になる。
(オレといま出会ってるじゃねえか)
と内心思いながらも、ぼくはいつもこうアドバイスをしてやる。
「じゃあ、合宿免許に行ったら」

「合宿免許」とは、寮やホテルで泊まり込みをしながら自動車免許の教習を受けることができる施設のことだ。現在、全国に80校ほどあるらしい。
普通の通いの教習所で約30万円かかる料金が、合宿免許だと、3食・宿泊込みで20万円前後。往復の交通費まで出してくれるところもある。教習期間も最短2週間(AT車)で済むので、短期間で集中して免許を取得したい人にはメリットだらけといっていいだろう。

さて、この合宿免許がなぜ出会いの場としてもオススメなのか。勘のいい人ならここまで読んで、すでに合宿用の荷造りに取りかかっていると思うが、おしまいまで読んでからでも遅くはない。簡単に説明するとこうである。

 
合宿免許のほとんどは、都会から離れた田舎にある。
     ↓
限られた空間で、男女が自動車免許取得という同じ目標に向かって生活を共にする。
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教習がない時間は、花火大会やバーベキュー、釣り等の都会ではめったに味わえないレクリエーションが盛りだくさん。
     ↓
線香花火からふと彼の方に目を移すと、目が合って・・・。
     ↓
満天の星空の下でのファック、プライスレス。

「それは誰が書いたライトノベルだ」という声が聞こえてきそうだが、これは机上の空論ではない。経験談なのである。そう、ぼくは10年前の6月、福島のとある合宿免許で出会った女性と恋に落ち、童貞を捨てたのだ――。

ぼくは今年の5月で31歳になるので、10年前というと、21歳の時。初体験を済ませるにはかなり遅い方だろう。21歳つったら、シド・ヴィシャスだったら死んでるよ。
そして、相手は早生まれの28歳。学年でいうと8コ上。しかも、当時、彼女には5年間同棲している彼がいたのである。
そんな女性が、夢を投げ出し、実家で「カネなし、仕事なし、女なし」のニート暮らしを送っていたぼくの童貞を「LOST」してくれたのである。合宿を終えてからも、彼女とは川越と東京の井荻で2年余の半同棲のような生活を続けた。合宿免許という特殊な環境で出会ってなかったら、絶対にありえなかったことだろう。
のちに彼女から聞いたのだが、ぼくら以外にも合宿中に何組かのカップルが成立したり、告白タイムなんかがあったようだ。

野暮を承知で白状すると、この連載のサブタイトルは、童貞喪失の意味でもあり、数年前に日本でも大ヒットした、無人島でのサバイバル生活を描いたアメリカのあの大ヒットドラマから拝借している。たしかあのドラマには、男女おろか、国籍や人種が異なる48人のキャラクターが登場したはずだ。見てないけど。

ドラマの『LOST』ほどではないが、ぼくが一緒に教習を受けた中にも、かなり強烈なキャラクターの持ち主が何人かいた。合宿免許を利用する人というのは、夏休みや冬休みなんかの長期休暇がある学生さんが多いが、もちろん一定の割合で社会人もいる。社会人で2週間以上の休みがとれる人。休みがとれる人というか、教習所に通わざるを得ない人たち。すなわち「WAKE〈ワケ〉あり」な人たち。
免許取り消しになった暴走族や、舌をかみちぎった痕のあるヤクザの跡取り、外に出るのは犬の散歩ぐらいだという引きこもりの女性、Fカップ(推定)、デブの姉弟・・・。

2013年は、ぼくにとって童貞喪失10周年のアニバーサリーイヤー。この連載では、合宿免許の魅力ともに、彼女を含め、これらの人たちの思い出話を数回にかけて綴りたい。あと、せっかくのアニバーサリーイヤーなので、実際に福島の合宿免許を訪ねる取材旅行も計画しています。

※1994年公開の舘ひろし主演の映画「免許がない!」はまさに合宿免許が舞台になっているので、よろしければご覧ください。

 
 
 
-ヒビレポ 2013年4月3日号-

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