白と黒の報告書 第6回

いつも見られている(後編)

木村カナ(レポ編集スタッフ)

フリーランスのあっしには関わりのねぇことでござんすが、折りしも、世間様はゴールデンウィークでござんす。2013年4月28日日曜日の上野公園は、お花見シーズンほどではないが、世の中が連休中であることを激しく実感させられる人の多さであった。

上野動物園の表門から入場、まず目に飛びこんできたのは、青空にはためく鯉のぼり、そして、パンダ舎入口からあふれ出している行列……。

「パンダ観覧 現在の待ち時間は約30分です」「パンダ観覧 現在の待ち時間は約30分です」

第1回にも書いたように、人ごみと行列が大嫌いで、年間パスポートを持っているわたしは、この日、いや、この連休中のパンダ観覧をあっさりあきらめた。ライブカメラ映像で見ることに決めた。

http://うえのパンダライブ.jp/

上野動物園の開園日・開園時間内ならパンダライブですよ! 家にいながらにしてパンダを観覧できるなんて、インターネット万々歳ですよ!! ふはははははははは!!!

そもそも、わたしが今のようなパンダ好きになったきっかけは、スミソニアン動物園のPandaCamの存在を知ったことだった。2005年7月、のちにタイシャン(Tai Shan、泰山)と命名されるパンダの赤ちゃんが誕生、スミソニアン動物園のホームページで母子の様子のライブ配信が開始。そこで、生まれてまもないパンダの赤ちゃんがすくすく成育していく経過を見ていたら、その様子がもうとにかくかわいくってかわいくって、完全に悩殺されてしまったのである。

わたしがノックアウトされたタイシャンの記録映像がまとめられているのが下記のリンク先。

Baby Panda Tai Shan: National Zoo Giant Pandas Videos: Animal Planet

ここのアーカイブは、飼育担当者へのインタビューなども交えて、出産の瞬間から一般公開までを編集した構成になっているが、この中に挿入されているパンダの母子の様子を撮影したPandaCamの映像、この映像が当時、サイトで24時間、完全ライブで配信されていたのである。それ以前には、飼育係として働きでもしなければ目にすることができなかったはずの光景、赤ちゃんパンダの成長をインターネット経由で観察できてしまうなんて、すごいすごいすごい!って、ほぼ毎晩のように見るようになってしまったのだった。なお、2005年のその頃、スミソニアン動物園ホームページへのアクセスは毎月平均して200万あったそうです。

タイシャンかわいいよタイシャン!から発火したわたくしのパンダへの愛情は、その後、彼がすっかりおとなになり、中国に「帰国」した現在に至るまで、まるで衰えることなく、燃えさかっている。現在、毎日見ているPandaCamは、サンディエゴ動物園のもの。

http://www.sandiegozoo.org/pandacam/

こちらでは今、昨年7月末に生まれたシャオ・リー・ウー(Xiao Liwu、小礼物)および2009年生まれのユンツィー(Yun Zi、雲子)、その両親のバイユン(Bai Yun、白雲)とガオガオ(Gao Gao、高高)の4頭の姿を見ることができる。24時間ライブだが、パンダの居場所を常時捕捉しているわけではない。「うえのパンダライブ.jp」と同様に、動物園の開園時間内に見るのが、確実にパンダを見るためのポイントである。今の時期だったら、サンディエゴ動物園のあるアメリカ西海岸との時差とサマータイムを考慮すると、夜の11時以降から朝8時ごろのアクセスがおすすめだ。

http://youtu.be/TjrrLdANyTk

人工雪の中で遊んでいるパンダの母子、この動画が撮影されたのは先月19日である。赤ちゃんパンダのシャオ・リー・ウー、ただいますくすくと成長中ですよ!

誕生どころか、着床のその瞬間からずーっと、おはようからおやすみまで、暮らしを見つめられている、動物園生まれのパンダたち。ねえ、それってどんな感じ? 見ているこっちは楽しいけど、見られている方としてはどうなのか。これはパンダに限った話ではない。動物園に暮らす野生動物たちは、自分の身の上をどう思っているのか。そんなことを考えながら、でも、動物園に行っている。ライブカメラを見ている。だって、好きだから。だってだって、好きなんだもの。ああ、何という不自然さで、反自然っぷりで、微笑しながら大自然に触れていることでしょう――これはそんな日々のレポ。


赤ちゃんタイシャン写真集。
★タイシャンが転がる、パラパラマンガ仕様★

-ヒビレポ 2013年5月9日号-

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