昭和歌謡宅急便 Ⅱ  〜重箱の隅つつき隊〜 第5回


歌謡曲における男の傲慢な態度に関する一考察

田中 稲
(第11号で「大阪から来た女」執筆)
 
 
 

さて、みなさん。コテンパンな思い出したくないレベルの恋愛したことありますか。
私はあります……。

どんな恋愛だったか思い出すだけでもキーボードが涙で曇るので、文字にしたためるのはご勘弁頂きたいのですが、あえて元カレから付けられたキャッチフレーズを白状しますと。

「空気」。

親と同居が長い独身干物女の例に漏れず、私は家事がトホホホホでございます。じゃあ稼いで貢ぐかといえば全くそうではなく、元来ドケチな性質。しかも強烈な個性や才能で相手に刺激を与えるかと言えばそれもナシ。とりあえず横にいて
「なるようになる!」
と意味不明な励ましを繰り返し、肩を揉みワハハと笑う程度なのであります。部屋に遊びに行っても掃除しない、料理作らない。が、とりあえず説教や口うるさい指摘もしない。こんな、無害だけど非生産な私の存在に、たいていの男は
「びっくりするほど何にもしねー!!!」
という戸惑いと不満を溜めながらも、次第に私の晩御飯まで作るハメになり、ある日突然
「なんか疲れた」
と別れを切り出してくる、というパターンでございます。

……書いていて私がなぜ恋愛に縁遠いのか物凄く分かりました。
こりゃアカン。自分を変えなきゃ。変えるなら今でしょ!(←流行ワード入れてみました〜)。
 

 

とかなんとか無駄なカミングアウトをしつつ、今日の「重箱の隅」のテーマはズバリ「男の傲慢さ」。
ただ、私はどちらかというと、頼りなくてイライラするほど決断力の欠けた優柔不断男を選びがちなので、「俺の言う事を聞け」的なタイプは、正直未知の世界であります。
しかし、歌謡曲では、この「傲慢男」が幅を利かせておるのです。なぜなら前回も記しましたように「男はカモメ、女は港」文化がガッツリ定着しとるからです! 男は女にウソついて振って捨てて投げ飛ばしてナンボの世界なのです。では、早速そんなけしからんオレオレ共を吊るし上げていきましょう。

 

 

まずは黒沢年男「時には娼婦のように」。

まあ、明け透けに言ってしまえば「エッチの時にこんなことして〜あんなことして〜お願い〜ン♪」とおねだりする男の歌なんですが、その注文が↓以下のような内容。

・真赤な口紅つけて黒い靴下履いて脚広げてウィンクして〜♪
・人さし指で手まねきして誘って〜♪
・コトの最中「ステキ!」と叫んで〜♪
・下品な女になって〜♪
・自分で乳房をつかみ僕に与えて〜♪

鞭だの蝋燭だの変態レベルに凝ったものならまだしも、中途半端に小市民レベルでイライラします! そもそも「時には娼婦(プロ)のようになれ」と一般ピーポーに求める方がどうかと思うのです。んなことおねだりするんなら、いっそプロのテクに身を委ねた方が早いじゃろうて! と呆れ言の一つでも垂れたくなるのですが、きっと世の男性陣は私に反論するでしょう。
「男の夢とはそんな単純なものではないのだ」
と……。

 

 

さて、次。
歌謡曲では男はティーンエイジャーまで傲慢です。シブガキ隊「NAI-NAI 16」。
こともあろうか、歌の主人公は自分の靴箱にラブレターを入れるというカワイイ同級生の行為を
「少女マンガでもこんなことしねーって」
とあざ笑います(許せん!)。挙句の果てに、
「授業中に手を挙げて俺を好きだって宣言したら抱いてやるぜ」
とまで言う始末ッ! ムキ―――ッ!!

なんでそんな公開処刑みたいなことせにゃならんのじゃコラ!!!(怒)

しかも畳み掛けるように
「欲しけりゃすがりつけ!」
と彼はゴーマンをかまし続けます。
もうね、義務教育終わったばっかのボーズが何をほざいとんのじゃ、と。
この男子高生、将来DVの香りプンプンです。ラブレターを書いた女子高生も
「このオレオレなところがたまんないんだよねー」
などとすがりついてはいけません。サッサと見切りをつけて、新しい恋に切り替えましょう!

……と私は誰に説教してるんでしょうか。

 

 

ではラストに。中条きよしの「うそ」。
こぬぉ男ぬぉつく嘘がぁ犯罪レベルなぬぉですっ!!(←怒り心頭で口がまわらんッ)

・エプロンが似合うね♪
・あ、爪はそめない方が好きだな、俺。
・帰り道気を付けて。1人の体じゃないんだから…

んもう結婚前提を匂わすようなキーワードを振りかざしまくり、トドメに吐くのが

「花嫁衣装どうする? 俺は着物が好きだなあ」

結婚する気もないクセにこーれーはーいーかーがーなーもーのーかー(震え声)。
結婚詐欺として訴えてもいいっすね。
スッテンテンになるほど罰金取られりゃいいんだい!!

んもう歌の世界とはいえ、殺意が湧きますね。
時にはメンタルをヤバい方向に傾けさせる昭和歌謡。
嗚呼、怒り疲れたわ、私。傲慢はダンスの後にしてね……。
 

 

 
 
 
-ヒビレポ 2013年4月30日号-

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